▶今回の記事で初登場の注目作その1は、韓国の時代劇「フクロウ」。1637年清に人質として連れて行かれた仁祖の長男昭顕世子は8年後人質を解かれて帰国しましたがその2ヵ月後急死します。毒殺と言われていますが真相は不明のようです。このような史実の隙間に想像力を加え、重厚な歴史サスペンスに仕上げたということで、目下興収ランキング1位。ネチズン、評論家共に高い評点を付けています。過去助演を主に務めてきたユ・ヘジンが主役それも国王仁祖(インジョ)を演じるとは「やったね!」です。
注目作その2は「アーマゲドン・タイム」(米・ブラジル)。アメリカのジェームズ・グレイ監督が「アド・アストラ」等とは全然違って、自身の少年時代(80年代初頭)の経験に基づく半自伝的映画で、親友だった黒人少年との別れ等を通じて社会を見る目を持つようになるという話のようで、韓国の映画評論家・記者の皆さん、高い評点を付けています。
▶27日(日)シネマート新宿に行って→1つ前の記事で「何をおいても観なくては」と書いた韓国映画「少女」を観て来ました。どこまでも執拗に事件の真相と関係者の心理を追及し、観客をホッとさせるような落としどころも設定しないという作品で、全編緊張が解けず目が離せませんでした。こういうフンイキの映画、いつ以来かな? 主演のチョン・ヨビン、数々の新人女優賞を受賞したのもナットク。アラサーなのに女子高生役に全然違和感を感じませんでした。
▶わりと高評価のようだし韓国の建築事情にも興味があるので観に行ったのが「奈落のマイホーム」(原題:シンクホール)。ソウル市内にマンションを購入して長年の夢を実現したのにその直後敷地が突然陥没して・・・という悲惨な設定なのにコメディっぽい映画で、現実離れしてるようでもあり、一方500人を越える犠牲者を出した三豊百貨店崩壊事故(1995)から近くは今年22年1月光州での建設中マンション壁崩落事故(ぜひ見て!→YouTube)等々、かの国の事故例を見ているからあながち荒唐無稽とも思えません。とは言っても、その深さが問題。私ヌルボ、なんとなく50mと思い込んでいましたが、500m(!)というのはいくらなんでも・・・(笑)。それで(ほとんど)無事とはねー。また関連記事を見ると「韓国では年間900件も発生する巨大陥没穴」といった記事があったりするので誤解を招きそう。まあ道路の穴ぼこはフツーにみますがねー。日本では博多駅前道路陥没事故(2016)がわりと最近ありましたが、あれは深さ約15m。右画像は中国四川省広元市の超大型シンクホール(2013)。さすがにスケールが大きい!とは言っても直径60m深さ30mですからねー。年間900件の陥没穴と言ってもあたこちでマンションが陥没!?というものでもないでしょう。
※小さくても深い穴もあるので要注意!
★★★ NAVERの人気順位(11月24日(木)現在上映中映画) ★★★
※[記者・評論家による順位]とも①など右の( )は前週の順位。評点の後の( )は採点者数。
初公開から1年以内の作品が対象。「初登場」とは本ブログでの初登場。
【ネチズンによる順位】
①(1) トップガン マーヴェリック(米) 9.76(42,345)
②(2) 初戦[CHOSEN](韓国) 9.49(39)
③(-) ARASHI Anniversary Tour 5×20(日本) 9.42(83)
④(-) SING/シング:ネクストステージ 9.38(2,844)
⑤(新) フクロウ(韓国) 9.38(1,681)
⑥(-) マリムさんをよろしく(韓国) 9.35(232)
⑦(4) 映画クレヨンしんちゃん 謎メキ! 花の天カス学園(日本) 9.30(1,420)
⑧(5) 劇場版呪術廻戦 0(日本) 9.24(1,714)
⑨(6) 人生は美しい(韓国) 9.22(7,784)
⑩(新) セイレ(韓国) 9.20(10)
⑤と⑩の2作品が新登場です。
⑤「フクロウ」は韓国の時代劇スリラー。
ギョンス(リュ・ジュニョル)は盲目ですが優れた鍼治療の実力を侍医のイ・ヒョンイク(チェ・ムソン)に認められ、宮廷に入ります。その頃、清に人質として連れて行かれた昭顕世子(キム・ソンチョル)が8年ぶりに帰国し、仁祖(ユ・ヘジン)は息子に向かった喜びもしばし、正体不明の不安感に包まれています。そんなある夜、闇の中ではぼんやりと見えるギョンスが昭顕世子の死を目撃します。真実を知らせようとした瞬間、より大きな秘密と陰謀が明らかになり、命さえ危ない状況に陥ります。息子昭顕世子の死後、仁祖の不安感は狂気に変わって暴走し始め、世子の死を目撃したギョンスによって関連人物たちの素顔が徐々に明らかになっていきます・・・。原題は「올빼미」です。
⑩「セイレ」は韓国のサスペンス&ミステリー。<第26回釜山国際映画祭(2021)>のニューカランツ部門招待作の中で最も優れた作品性を披露した作品に授与する国際映画批評家連盟賞を受賞した作品です。
ウジン(ソ・ヒョヌ)は赤ちゃんが生まれたばかりの初心者パパ。玄関に注連縄を張って部外者の出入りを防ぎ、禁忌を徹底的に守る妻ヘミ(シム・ウヌ)が理解できません。会社に通いながら合間合間に子育てを手伝って忙しい日々を過ごしているある日、ウジンに過去の恋人セヨン(リュ・アベル)の訃報が届きます。赤ちゃんが生まれて21日間は葬儀場に行ってはいけないという妻の反対にもかかわらず、ウジン用心しながらも行ってきます。するとその日以来赤ちゃんが病気になり、不安と恐怖が大きくなっていきます・・・。韓国では赤ちゃんの出産後の三七日(삼칠일)つまり21日目には<セーレ>と言ってお祝いがありますが、それまでは守るべき禁忌があります。それを破ってしまったパパに、家族に見えない危険が迫ります・・・。原題は「세이레」です。
【記者・評論家による順位】
①(1) 別れる決心(韓国) 8.71(14)
②(2) 塔(韓国) 8.50(2)
③(3) トップガン マーヴェリック(米) 8.44(9)
④(4) エブリシング・エブリホエア・オール・アット・ワンス(米) 8.33(9)
⑤(5) 私は最悪(ノルウェー)。 8.00(9)
⑥(6) 同じ下着を着るふたりの女(韓国) 8.00(8)
⑦(7) 小説家の映画(韓国) 8.00(3)
⑧(新) アーマゲドン・タイム(米・ブラジル) 7.67(6)
⑨(-) #AfterMeToo(韓国) 7.67(3)
⑩(8) シン・エヴァンゲリオン劇場版(日本) 7.50(2)
⑧「アーマゲドン・タイム」が初登場。アメリカのドラマ。ジェームズ・グレイ監督が少年時代の80年代初頭に通っていた学校での経験に基づく半自伝的映画です。<第75回カンヌ国際映画祭(2022)>のコンペティション部門で上映された作品です。
1980年のニューヨーク。自由なアーティストを夢見る11歳のポール(バンクス・レペタ)にとって、パパ(ジェレミー・ストロング)とママ(アン・ハサウェイ)、そして兄は厳しすぎます。夢の話を真剣に聞いてくれる人はおじいさん(アンソニー・ホプキンス)だけ。学校では仲良しのジョニー(ジェイリン・ウェブ)だけがポールの気持ちをわかってくれますが、大人たちはジョニーが黒人という理由で距離を置けと言います。その後ポールとジョニーはトイレでの喫煙が校則違反によって転校を余儀なくされます。中流家庭の白人少年ポールは私学に転向しますが、ジョニーはポールとは別の道を辿らざるをえませんでした・・・。ある時代の終わりに、自分の世界を守りたかった少年の物語が始まります。なお<アーマゲドン>とはハルマゲドンつまり世界最終戦争のこと。ポール少年が初めて衝撃的な世界認識を得たことを指しているのかな? 韓国題は「아마겟돈 타임」。日本公開はいずれあると思いますが、今のところはググってみても全然ヒットしません。
諸般の事情で今月11日を最後にブログを更新していませんが新年から再スタートします。今後ともよろしく!
ではテヒさんもよいお年を!
>「三富百貨店崩壊事故」
「三富サンプ」ではなく「三豊サンプン」だと思うのですが・・
大晦日に細かいことを言って、恐縮です。
どうぞよいお年をお迎えください。