毎年5~8月には<近所のスーパーでチャメ(韓国のマクワウリ)発見! さっそく食べてみました。>という記事(→コチラ)へのアクセスがぐんと増えます。
横浜在住の私ヌルボが近所のスーパーで売られていたチャメを買って食べ、この記事を書いたのが2014年7月。その後そのスーパーでチャメを見ていないのはちょっと気になるところです。やっぱり、日本では1960~70年代にプリンスメロン、そしてアンデスメロンが登場して以来甘くてやわらかくて、ジューシーなメロンが席捲して今に及んでいるので、ちょっと歯ごたえがあって甘さもイマイチのチャメはなかなか浸透しにくいのでしょうか?
また上記の記事ではチャメ(韓国のマクワウリ)と書いたものの、マクワウリが夏の店頭でふつうに見られた頃から半世紀以上経った現在、マクワウリを知らない40歳代もめずらしくはなくなってきたようです。
やっと本論。チャメはハングルでは참외と書きます。漢字語ではなく、固有語の참と외を組み合わせた言葉です。
참は「真の」という意味で、初~中級レベル(←たぶん)ではたとえば次のような単語があります。
・참새=スズメ ・・・真の새(鳥)
・참기름=ゴマ油 ・・・真の기름(油)
・참치=マグロ ・・・魚は물고기(←生物として)または생선(←食材として)といいますが、個々の魚の名はさまざま。その中で1番多い(約18%)のが치が付く魚。갈치(タチウオ)・꽁치(サンマ)・멸치(カタクチイワシ)・날치(トビウオ)・넙치(ヒラメ)あたりが中級の上レベルの語彙かな? というわけで、참치も一応は真の魚といった意味。
したがって、참외の場合も真の외ということ。では외とは何か? 実は私ヌルボ、わりと最近までなんとなく참외を「真の瓜」だと漠然と思い込んでいました。ところが、ちゃんと辞書を引いてみると次のように記されています。
「오이の縮約形:キュウリ(胡瓜)。」
なんてこった! なるほど、오と이をつづめて書けばたしかに외だ。
つまり、참외=真の외[오+이](キュウリ)ということ。
なあんだ、初級レベルでキュウリ=오이と教わった時に言ってくれればよかったのに・・・。テキストで読んだ憶えもないな。
いやいや、韓国サイトをいくつか見てみると、韓国人でも참외の외が実は오이ということはそんなに知ってるわけでもないみたいだゾ。
・・・というわけで、このネタはここで一応オシマイなんですが・・・。
ことのついで。その1です。
ウリ科植物は박과식물。
박は「ユウガオ;フクベ;ヒョウタン」です。
ここで思い出す単語が次の2つ。
・수박=スイカ
・호박=カボチャ
수박の「수」は「水」のこと。水分が多いからで、英語でもwatermelonですね。
[7月21日の追記!] この「수」=「水」説については、そういう俗説はあるものの「疑問あり」です。詳しくはコメント欄参照。
호박の「호」は漢字だと「胡」。この字は西アジア・中央アジア方面から中国に入って来たことを意味しています。胡麻・胡椒・胡桃(クルミ)等々、みんなそう。食品関係以外では、李白の漢詩「少年行」に胡姫という言葉があります。つまり西アジア系の女性。きっと胡坐(あぐら)をかいて座っていたのでしょう。(アラビア等では正式な座り方だとか。)
ところが、日本では漢字で胡瓜と書けばもちろんキュウリのこと。スイカは西瓜、カボチャは南瓜です。
ちなみに中国語でも西瓜と南瓜は日本と同じ漢字。ところがキュウリは黄瓜と書くそうです。何十年も前に話をした香港人は青瓜だと言ってましたが・・・。(どっちでもいい?) なんで日中韓3ヵ国でビミョーに違うんでしょうね? (この件だけじゃないけど。)
ことのついで。その2です。
호박색といえば琥珀色のこと。つまりカボチャも琥珀も호박です。
호박색のウイスキーを「カボチャ色の~」と誤解しないように要注意!(・・・って言わずもがな、か?)
ことのついで。その3です。
今年4月28日の「朝鮮日報」に<오이가 싫어서…(キュウリが嫌いで・・・)>という女性記者のコラムが載っていました。(→コチラ。→google翻訳。)
それによると、FACEBOOK内で<キュウリ嫌いの会>ができてわずか1ヵ月で加入者が10万人近くにもなったとか。記者自身幼い時から数m離れてもその「異臭」に気づくほどのキュウリ嫌いで、小4の時にはそれが原因でガールスカウトをやめたとの体験を書いています。
日本にももちろんキュウリ嫌いの人はいて、そんな人が書いた<きゅうり社会の否定論>(→コチラ)の記事はとても説得力があります。「きゅうりが好きな人は塩と味噌などの、きゅうりにつける調味料と食感が好きなだけなんです」とか、「きゅうりと呼ばれる食材は、世界で一番栄養素が無い食材としてギネスに登録されており、きゅうりから摂取できるカロリーより、消化に使うカロリーの方が大きいとのこと」とか・・・(笑)。
なお、この筆者もそうですが、キュウリが苦手な人はメロンもダメという人が多いそうです。
「おまえ、食わず嫌いだろ」と言って無理に食べさせるのも本人にとっては拷問に等しいというのはその通りだと思います。遺伝子のせいという説もあるようだし・・・。うーん、かわいそうになーと思うばかりです。
話が広がってしまいましたが、続きは참외以外の참が付く言葉と、それらについての考察(?)です。(まあ1週間以内には・・・。)
★しつこく、オマケ画像
【日本のマクワウリ(左。2010年8月徳島県のスーパーで)と、韓国のチャメ(2014年6月ソウルの清涼里駅前。)】
これでは大きさ違いがよくわかりませんね。左のマクワウリは黄色が薄い感じ。(実際に薄かった。) それにしても、チャメがひと山で2千ウォンとは安い!
横浜在住の私ヌルボが近所のスーパーで売られていたチャメを買って食べ、この記事を書いたのが2014年7月。その後そのスーパーでチャメを見ていないのはちょっと気になるところです。やっぱり、日本では1960~70年代にプリンスメロン、そしてアンデスメロンが登場して以来甘くてやわらかくて、ジューシーなメロンが席捲して今に及んでいるので、ちょっと歯ごたえがあって甘さもイマイチのチャメはなかなか浸透しにくいのでしょうか?
また上記の記事ではチャメ(韓国のマクワウリ)と書いたものの、マクワウリが夏の店頭でふつうに見られた頃から半世紀以上経った現在、マクワウリを知らない40歳代もめずらしくはなくなってきたようです。
やっと本論。チャメはハングルでは참외と書きます。漢字語ではなく、固有語の참と외を組み合わせた言葉です。
참は「真の」という意味で、初~中級レベル(←たぶん)ではたとえば次のような単語があります。
・참새=スズメ ・・・真の새(鳥)
・참기름=ゴマ油 ・・・真の기름(油)
・참치=マグロ ・・・魚は물고기(←生物として)または생선(←食材として)といいますが、個々の魚の名はさまざま。その中で1番多い(約18%)のが치が付く魚。갈치(タチウオ)・꽁치(サンマ)・멸치(カタクチイワシ)・날치(トビウオ)・넙치(ヒラメ)あたりが中級の上レベルの語彙かな? というわけで、참치も一応は真の魚といった意味。
したがって、참외の場合も真の외ということ。では외とは何か? 実は私ヌルボ、わりと最近までなんとなく참외を「真の瓜」だと漠然と思い込んでいました。ところが、ちゃんと辞書を引いてみると次のように記されています。
「오이の縮約形:キュウリ(胡瓜)。」
なんてこった! なるほど、오と이をつづめて書けばたしかに외だ。
つまり、참외=真の외[오+이](キュウリ)ということ。
なあんだ、初級レベルでキュウリ=오이と教わった時に言ってくれればよかったのに・・・。テキストで読んだ憶えもないな。
いやいや、韓国サイトをいくつか見てみると、韓国人でも참외の외が実は오이ということはそんなに知ってるわけでもないみたいだゾ。
・・・というわけで、このネタはここで一応オシマイなんですが・・・。
ことのついで。その1です。
ウリ科植物は박과식물。
박は「ユウガオ;フクベ;ヒョウタン」です。
ここで思い出す単語が次の2つ。
・수박=スイカ
・호박=カボチャ
수박の「수」は「水」のこと。水分が多いからで、英語でもwatermelonですね。
[7月21日の追記!] この「수」=「水」説については、そういう俗説はあるものの「疑問あり」です。詳しくはコメント欄参照。
호박の「호」は漢字だと「胡」。この字は西アジア・中央アジア方面から中国に入って来たことを意味しています。胡麻・胡椒・胡桃(クルミ)等々、みんなそう。食品関係以外では、李白の漢詩「少年行」に胡姫という言葉があります。つまり西アジア系の女性。きっと胡坐(あぐら)をかいて座っていたのでしょう。(アラビア等では正式な座り方だとか。)
ところが、日本では漢字で胡瓜と書けばもちろんキュウリのこと。スイカは西瓜、カボチャは南瓜です。
ちなみに中国語でも西瓜と南瓜は日本と同じ漢字。ところがキュウリは黄瓜と書くそうです。何十年も前に話をした香港人は青瓜だと言ってましたが・・・。(どっちでもいい?) なんで日中韓3ヵ国でビミョーに違うんでしょうね? (この件だけじゃないけど。)
ことのついで。その2です。
호박색といえば琥珀色のこと。つまりカボチャも琥珀も호박です。
호박색のウイスキーを「カボチャ色の~」と誤解しないように要注意!(・・・って言わずもがな、か?)
ことのついで。その3です。
今年4月28日の「朝鮮日報」に<오이가 싫어서…(キュウリが嫌いで・・・)>という女性記者のコラムが載っていました。(→コチラ。→google翻訳。)
それによると、FACEBOOK内で<キュウリ嫌いの会>ができてわずか1ヵ月で加入者が10万人近くにもなったとか。記者自身幼い時から数m離れてもその「異臭」に気づくほどのキュウリ嫌いで、小4の時にはそれが原因でガールスカウトをやめたとの体験を書いています。
日本にももちろんキュウリ嫌いの人はいて、そんな人が書いた<きゅうり社会の否定論>(→コチラ)の記事はとても説得力があります。「きゅうりが好きな人は塩と味噌などの、きゅうりにつける調味料と食感が好きなだけなんです」とか、「きゅうりと呼ばれる食材は、世界で一番栄養素が無い食材としてギネスに登録されており、きゅうりから摂取できるカロリーより、消化に使うカロリーの方が大きいとのこと」とか・・・(笑)。
なお、この筆者もそうですが、キュウリが苦手な人はメロンもダメという人が多いそうです。
「おまえ、食わず嫌いだろ」と言って無理に食べさせるのも本人にとっては拷問に等しいというのはその通りだと思います。遺伝子のせいという説もあるようだし・・・。うーん、かわいそうになーと思うばかりです。
話が広がってしまいましたが、続きは참외以外の참が付く言葉と、それらについての考察(?)です。(まあ1週間以内には・・・。)
★しつこく、オマケ画像
【日本のマクワウリ(左。2010年8月徳島県のスーパーで)と、韓国のチャメ(2014年6月ソウルの清涼里駅前。)】
これでは大きさ違いがよくわかりませんね。左のマクワウリは黄色が薄い感じ。(実際に薄かった。) それにしても、チャメがひと山で2千ウォンとは安い!
韓国産は香りが豊かで実がしっかりしていますよね。
http://www.aeonworldfesta.com/report_korea2/
小さい分、何個も続けて食べるのでしょうかねー。
日本でももっと安く買えればいいのに。
それ以前に、近所のスーパーでまた売り出してほしいものです。
というのも韓国国立国語院などの辞書やウィキペディアなどを見ても、そうした意味だと確言している記述は(私の調べたかぎりは)見られないためです。
また참기름はむしろ참깨から絞った油という意味ではないでしょうか。もっとも참기름には진유(眞油)という別の言い方があるようですし、참깨こそは「真のゴマ」なのかも知れませんが、これまた明確な記述は見当たりません。
標準国語大辞典の「참」の項目「11」には、(一部の名詞の前につけて)として、
「1」本当、あるいは真実で正しいの意味を加える接頭詞→例として「참사랑」と「참뜻」を挙げています。
「2」品質が優秀だという意味を加える接頭詞→例として「참먹」「참젖」「참흙」
「3」食べられるという意味を加える接頭詞→例として「참꽃」「참배」
いずれの例にも上記の単語は含まれていません。
同様に標準国語大辞典等においては、「수박」の「수」が「水」、「호박」の「호」が「胡」という漢字だという記述も見られませんが、これまたどこかに語学的な根拠はあるのでしょうか?
常にネットや書籍、新聞等、多様な文献に直接ご自身で当たられて記事を書かれていらっしゃるのでいつも大変参考になっているのですが、今回は直接的な文献等が明示されていませんでしたので。
いつも細かいことばかりで申し訳ございません
標準国語大辞典中の[1]~[3]はうなずけますが、それ以外にも明らかにあるだろう、ということを続きで書くつもりです。
「수박」と「호박」について、各辞典に漢字がないのはもちろん確認済みですが、こんな一目瞭然なこと(?)はきっといろいろ書かれているに違いないと思ったら、ホバクについては案の定<ナムウィキ>にはありました。 →
https://namu.wiki/w/%ED%98%B8%EB%B0%95
他の項目同様おもしろいですが、学問的な信頼性は万全ではありませんが・・・。
また、 <原理漢字>というサイト →
http://hkpark.netholdings.co.kr/
の中の、「ハングルのような漢字語」のリスト中に2つともありました。 →
http://hkpark.netholdings.co.kr/web/vocabulary/default/vocabulary_list.asp?menu_id=95058&id=4082&page_no=91&keyword=&from=&toto=
そして、ある企業の記事にも両方出ています。 →
http://www.sindohblog.com/1186
以前に比べて、1つの記事が相当くだくだしくなっているという反省があるので、これらのことは省略しました。
俗説は俗説として分かるのですが、それが語学的・歴史的な裏付けに基づいているのかどうかと言いたかったのですが、言葉足らずで申し訳ございません。
「一目瞭然」というのは時として当てにならないことが多く、例えば日本語の「スイカ」を例に挙げるならば、http://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0106/10.html などにあるように、水分の多い瓜なので水瓜(すいか)が元々の表記だとする言う人もいますが、語学的には「すい」はむしろ中国語の「西瓜」(西から伝わった瓜)の「西」の唐音(すい)から来ているというのが定説になっていて、「水瓜」は当て字だと考えられているようです(上記の記事のように、英語のWatermelonに引っ張られている可能性もあります)。
上のリンクで「호=胡」という字は호떡や호주머니にも使われていると書かれていますが、これらについては確かに国語大辞典でも「胡」の表記があります。一方で上記の通り「호박」には「胡」の表記がなされておらず、それはやはり語学的な根拠が十分ではないからではないでしょうか。過去の文献等に基づいた他のソースがあるのであればいいのですけれども(基本的に私はウィキペディアやナムウィキなどは信じておりませんので←参考程度にはなると思いますが、個人的経験からしても、誤った情報が少なくないのも事実ですので)。
しかし単にふっと疑問を覚えただけで、もし具体的な例証をお持ちであればと思っただけですので、この問題についてこれ以上突っ込むつもりはありません。丁寧にご回答いただき、ありがとうございました。
http://gogen-allguide.com/su/suika.html
(日本のウィキペディアにも同様の記述がありました。基本的なところを見落としていましたね。)
韓国の国立国語院も素人でも思いつくような語源論を知らないわけはないので、学問的な確証に欠けるということだろうとは感づいてはいましたが・・・。
ある言語学の専門家は「専門家の語源論も、素人のそれとあまり変わらない」と語っていました。明らかな反証が出てくれば仮説は100%否定されますが、そうでなければ有力な説といえども「有力な仮説」に留まるということなのか・・・と私は理解しました。