いきなりですが、次の画像を見てわかる人は今どれほどいるでしょうか?
1988年ソウル五輪のマスコット。・・・と答えらればまあ正解でしょう。で、その名前のホドリまで出てくれば「ほー、よくご存知!」レベル。
私ヌルボ、このホドリのかぶりもの(벙거지)のてっぺんについている長いサンモ(상모.象毛)がS字形になっているのはSeoulの頭文字であることは昨日知ったばかりです。・・・ということはおいといて、この「ホドリ(호돌이)」という名前の由来を説明しておきます。
トラは古来朝鮮民族にはなじみの深い動物で民話等にもよく登場します。この猛獣を五輪のマスコットにしよう!というのはごく自然な発想。トラは韓国語で호랑이(ホランイ)で、その最初の字호に、伝統的な男性の名前を示す돌(ドル)と愛称이(イ)をセットにして付けたものです。
돌(ドル)を漢字で書くと乭なのですが、この字は中国にも日本にもない韓国独自のものです。「伝統的な男性の名前」と書きましたが、今この字を名前に含む人はほとんどいません。ヌルボの知るところでは、韓国囲碁界のトップ棋士・李世乭(イ・セドル)9段くらいなものです。(※現時点の韓国棋院のランキングでは朴廷桓(パク・ジョンファン)9段に次いで第2位。)
この男性の名前「ドリ」に対応する女性の名前が「スニ(순이)」です。순(スン)に愛称이(イ)をつけたものです。
순(スン)は漢字ではふつう順です。ホドリ(호돌이)があるからにはホスニ(호순이)もあるだろうと考えますが、あることはあるんですね。右画像はソウル五輪の記念品の1つですが、ちゃんとカップルで並んでいます。しかしホドリばかりが目立っていたので、ホスニの認知度ははるかに低かったようです。
乭の字をほとんど目にしないのに対して、漢字2文字の後の方に順の字を含む女性の名前はけっこう見ることがあります。福順(복순.ポクスン)・今順(금순.クムスン)・鳳順(봉순.ポンスン)・末順(말순.マルスン)等々。ユ・グァンスン(유관순)も柳寛順ですね。この名前の女性は子ども時代あるいはそれ以後もポクスニとかポンスニ等「○スニ」の愛称で呼ばれてきたわけです。
また過去記事(→コチラ)でも書きましたが、朝鮮戦争後「がんばれ、クムスン(굳세어라 今順아)」という歌がヒットしました。なお最近の大ヒット映画「国際市場で逢いましょう」もその歌同様<興南撤収>の場面がありますが、そこで生き別れとなった主人公の妹の名はマクスン(莫順?)です。
※孔枝泳(コン・ジヨン)の小説に「ポンスニ姉さん(봉순이 언니)」 (1998)があります。ポンスン(鳳順)は朴景利の大河小説「土地」にも主要登場人物として登場しています。
※「愛してる、マルスンさん」(2005)は1970年代末の母子の物語。ムン・ソリが母親キム・マルスン役。
なお、作家玄基栄(ヒョン・ギヨン)の「順伊おばさん(순이 삼촌)」という小説がありますが、これはスニ(순이)だけで独立した名前になっています。
ただ、日本の名前にも流行があるように韓国にも古めかしい名前と現代風の名前があります。1945年・1975年・2005年の男女の名前ランキングが紹介されているブログ記事がありました。→<女の子編>、→<男の子編>、そして→ <2011年版>です。<女の子編>の1945年のランキングでは영자(ヨンジャ.英子or栄子)をはじめ10位中9つが「○자)」。つまり「○子」でした。唯一の例外が9位の정순(ジョンスン.正順)。しかし、これは新しい流行の始まりではなく、最後の事例です。
要するに、過去このようによく用いられた<○スン>という女性の名前も現代では(30年以上前から)昔風な名前として敬遠されているということでで、キム・ソナ主演のドラマ「私の名前はキム・サムスン(내 이름은 김삼순)」(2005)はまさにその「ダサい」名前が1つのキーポイントにもなっていて(ウィキペディアではなぜか金三と表記。金三順でいいのに)、その名前を言っただけで笑われたりする場面もあったりします。(同じように名前で悩んでいる視聴者多かっただろうなー・・。) 今世紀に入り上記「がんばれ、クムスン」と同タイトルの映画やドラマが作られましたが、モトの流行歌とは関係はないものの、どちらも名前のイメージは重要な要素です。
ことほどさように子どもの名前としてはほとんど用いられなくなった「トリ」と「スニ」ですが、今もいろんなところで目にします。とくに多いのが何かの団体・組織や催しのマスコット、イメージ・キャラクターの分野です。
たとえば上述のホドリとホスニ。これは今はプロ野球の起亜タイガーズのマスコットとして知られています。
さて、往年の韓国オタクで(なくてもOKですが)、次のマスコットは見覚えがあるでしょうか?
クムドリ(꿈돌이)とクムスニ(꿈순이)といい、'93大田エキスポの公式マスコット。<クム(꿈)>とは<夢>のことです。右の画像はエキスポ科学公園内の遊園地として続いてきたクムドリランドのものですが、2012年閉園して今はありません。
このマスコット、イメージキャラクターとしてのトリ&スニ。現時点での事例を探してみたら実にいろいろ見つかりました。・・・が、それについては続きで。
このシリーズはあと2回続く予定です。3回目が一番書きたいところで、今回は導入といった感じです。
→<「ドリ」と「スニ」をめぐるいろいろ ②ポドリ&ポスニ、その他イメキャラの数々>
1988年ソウル五輪のマスコット。・・・と答えらればまあ正解でしょう。で、その名前のホドリまで出てくれば「ほー、よくご存知!」レベル。
私ヌルボ、このホドリのかぶりもの(벙거지)のてっぺんについている長いサンモ(상모.象毛)がS字形になっているのはSeoulの頭文字であることは昨日知ったばかりです。・・・ということはおいといて、この「ホドリ(호돌이)」という名前の由来を説明しておきます。
トラは古来朝鮮民族にはなじみの深い動物で民話等にもよく登場します。この猛獣を五輪のマスコットにしよう!というのはごく自然な発想。トラは韓国語で호랑이(ホランイ)で、その最初の字호に、伝統的な男性の名前を示す돌(ドル)と愛称이(イ)をセットにして付けたものです。
돌(ドル)を漢字で書くと乭なのですが、この字は中国にも日本にもない韓国独自のものです。「伝統的な男性の名前」と書きましたが、今この字を名前に含む人はほとんどいません。ヌルボの知るところでは、韓国囲碁界のトップ棋士・李世乭(イ・セドル)9段くらいなものです。(※現時点の韓国棋院のランキングでは朴廷桓(パク・ジョンファン)9段に次いで第2位。)
순(スン)は漢字ではふつう順です。ホドリ(호돌이)があるからにはホスニ(호순이)もあるだろうと考えますが、あることはあるんですね。右画像はソウル五輪の記念品の1つですが、ちゃんとカップルで並んでいます。しかしホドリばかりが目立っていたので、ホスニの認知度ははるかに低かったようです。
乭の字をほとんど目にしないのに対して、漢字2文字の後の方に順の字を含む女性の名前はけっこう見ることがあります。福順(복순.ポクスン)・今順(금순.クムスン)・鳳順(봉순.ポンスン)・末順(말순.マルスン)等々。ユ・グァンスン(유관순)も柳寛順ですね。この名前の女性は子ども時代あるいはそれ以後もポクスニとかポンスニ等「○スニ」の愛称で呼ばれてきたわけです。
また過去記事(→コチラ)でも書きましたが、朝鮮戦争後「がんばれ、クムスン(굳세어라 今順아)」という歌がヒットしました。なお最近の大ヒット映画「国際市場で逢いましょう」もその歌同様<興南撤収>の場面がありますが、そこで生き別れとなった主人公の妹の名はマクスン(莫順?)です。
※孔枝泳(コン・ジヨン)の小説に「ポンスニ姉さん(봉순이 언니)」 (1998)があります。ポンスン(鳳順)は朴景利の大河小説「土地」にも主要登場人物として登場しています。
※「愛してる、マルスンさん」(2005)は1970年代末の母子の物語。ムン・ソリが母親キム・マルスン役。
なお、作家玄基栄(ヒョン・ギヨン)の「順伊おばさん(순이 삼촌)」という小説がありますが、これはスニ(순이)だけで独立した名前になっています。
ただ、日本の名前にも流行があるように韓国にも古めかしい名前と現代風の名前があります。1945年・1975年・2005年の男女の名前ランキングが紹介されているブログ記事がありました。→<女の子編>、→<男の子編>、そして→ <2011年版>です。<女の子編>の1945年のランキングでは영자(ヨンジャ.英子or栄子)をはじめ10位中9つが「○자)」。つまり「○子」でした。唯一の例外が9位の정순(ジョンスン.正順)。しかし、これは新しい流行の始まりではなく、最後の事例です。
要するに、過去このようによく用いられた<○スン>という女性の名前も現代では(30年以上前から)昔風な名前として敬遠されているということでで、キム・ソナ主演のドラマ「私の名前はキム・サムスン(내 이름은 김삼순)」(2005)はまさにその「ダサい」名前が1つのキーポイントにもなっていて(ウィキペディアではなぜか金三と表記。金三順でいいのに)、その名前を言っただけで笑われたりする場面もあったりします。(同じように名前で悩んでいる視聴者多かっただろうなー・・。) 今世紀に入り上記「がんばれ、クムスン」と同タイトルの映画やドラマが作られましたが、モトの流行歌とは関係はないものの、どちらも名前のイメージは重要な要素です。
ことほどさように子どもの名前としてはほとんど用いられなくなった「トリ」と「スニ」ですが、今もいろんなところで目にします。とくに多いのが何かの団体・組織や催しのマスコット、イメージ・キャラクターの分野です。
たとえば上述のホドリとホスニ。これは今はプロ野球の起亜タイガーズのマスコットとして知られています。
さて、往年の韓国オタクで(なくてもOKですが)、次のマスコットは見覚えがあるでしょうか?
このマスコット、イメージキャラクターとしてのトリ&スニ。現時点での事例を探してみたら実にいろいろ見つかりました。・・・が、それについては続きで。
このシリーズはあと2回続く予定です。3回目が一番書きたいところで、今回は導入といった感じです。
→<「ドリ」と「スニ」をめぐるいろいろ ②ポドリ&ポスニ、その他イメキャラの数々>
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