もう先々週のことになりますが、6月10日(月)は「この味がいいね」と君が言ったけど 六月十日は時の記念日(清水義範)と詠まれた時の記念日、・・・は関係なくて、新聞休刊日で朝刊はナシでした。で、その日の「毎日新聞」夕刊を見て、私ヌルボ、ありゃっ!と驚いたのです。
何の記事かというと、3日から始まった韓国人の女性ピアニストHJリムのピアノリサイタル評。
音楽評論家でもある平野昭慶応大教授が書いているのですが、見出しが「楽譜を読み直して」なんですよ。
自分自身が「楽譜を読み直して」思ったという意味ではなくて、(このピアニストは)「楽譜を読み直して」ほしいものだ、と厳しい注文をつけているのです。
新聞の音楽評等は、必ずしも予定調和的な提灯持ち記事というわけでもありませんが、ここまでの酷評はめずらしいのではないでしょうか? 平野教授も、長年のベートーヴェン研究者として覚悟をもって書いたものだと思います。
※この記事、ネット検索してもぜんぜんヒットしないのはなぜ?
HJリムは本名イム・ヒョンジョン(임현정)。最近急速に注目を集めている若手(26歳)ピアニストです。12歳の時からフランスに留学してパリ国立高等音楽院等で学んだ彼女ですが、広く知られるようになったのは、コンクールで優勝して、というよくあるパターンではなく、韓国の家族に演奏を見せるためにYouTubeにアップした動画がネットユーザーの間で評判になったというもの。これに注目したEMIクラシックスが2011年に専属契約を結んだことも、またいきなりベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集でデビュー(2012年5月発売)したのも異例で、おまけにこのアルバムが米ビルボード誌のクラシカル・アルバムで1位を記録してイッキに話題のピアニストになった、というわけです。
上記のYouTubeで注目された演奏というのが、具体的には次の3曲等。
①リムスキー・コルサコフの「熊蜂の飛行」 (→YouTube)
②ショパンのエチュードop10-4、op10-5「黒鍵」 (→YouTube)
③ラフマニノフの「エチュード」op.39-6、op.39-2 (→YouTube)
①はピアノ以外にもいろんな楽器の演奏家が演奏していますね。私ヌルボ、ずーっと以前にフルーティストのゴールウェイの演奏(→コチラ)をカセットテープで聴いて驚いたことがあります。鼻で息を吸っている間に口に溜めていた息を出すという循環呼吸法!(笑)
数多くのピアニストの中では、最近話題の、これも最近(4月)日本各地で公演を行ったユジャ・ワンの演奏(→コチラ)はすごいなーと思いました。中国人の女性ピアニストで、年齢は26歳。ということはHJリムと同い歳か。
ところが、ユジャ・ワンが1分24秒で演奏しているのに対して、HJリムはもっと速くて1分20秒。まあ速さがそのまま演奏の評価になるわけではないですけどね。聴き比べて、いかがなもんでしょうか?
※「熊蜂の飛行」の韓国語タイトルは「왕벌의 비행」です。
②のショパンのエチュードop10-4嬰ハ短調は、ホロヴィッツ、ポリーニ等々錚々たる顔ぶれの演奏をYouTubeで聴くことができます。
で、たとえばその定評あるポリーニが1分58秒で演奏(→コチラ)しているのに対して、HJリムは1分43秒。つまり、とにかく指が速く動くのです。この曲も、それなりに速さ勝負みたいな面も(①ほどではないにしろ)ありますが、聴いてると急かされているような感もあります。
・・・と、ここで私ヌルボ、あらためて凄いなと舌を巻いたのがリヒテル(→コチラ)。1分32秒とHJリムよりさらに早く、それ以上に(直前にハンカチを投げるところから(笑))まさに入魂の演奏という感を受けます。
③ラフマニノフの「エチュード」は、私ヌルボ、これまでちゃんと聴いたことがありませんでした。
聴いてみると、速さといい力強さといい、たしかにスリリングであるとともに、上記の平野昭教授が(ベートーヴェンのソナタについてですが)指摘しているような「まるで・・・団子になって主題の旋律性を犠牲あるいは放棄するスピード」というようなのはこのあたりについても言えるかな、という箇所も。
平野教授は、ベートーヴェンの「告別ソナタ」については「終楽章の悪はしゃぎには高貴な大公との再会の喜びの表現が微塵も感じられなかった」とまで書いています。
一方高評価もたくさんあって、評論家も宇野功芳氏を筆頭に賛辞が寄せられています。
また6月16日の読売新聞の演奏会評(無署名)では、「楽聖ベートーベンの特性 浮き彫りに」との見出しで、批判的用語は用いないでそのユニークさを伝えています。いわく「急速楽章での異常なまでに速いテンポには驚く」、「無理のある楽曲構成をものともしない破天荒な推進力」、「ベートーベンの音楽が持つ暴力性を浮き彫りにしている」等々。
クラシックファンの人たちのブログ評も賛否こもごも。
たとえば→コチラの記事の「意気軒昂はいいけれども、正直なところ、聴いていると非常に疲れる」という受けとめ方はめずらしくない、というよりむしろふつう。
一方、→コチラや→コチラは、音楽に関わっている方の感想ですがとても肯定的に受けとめています。その他絶賛記事もありますが、省略します。
なお、6月28日まで(?)→コチラで彼女の東京(浜離宮朝日ホール)での「ハンマークラヴィーア」演奏の動画を視聴できるようになっています。
この日本での公演に先立って、HJリムは故郷の韓国で5月23日初のステージに立ちました。
それに先立って、「中央日報」等が詳しい紹介記事を掲載しています。
また、それより前に、彼女が広く知られる以前の2010年の時点でインスタントメッセンジャーによるインタビュー記事がオーマイニュースのサイト中にありました。
そしてHJリムがデビューアルバムを出した後の昨年5月、ショーケースのため韓国に立ち寄った際、そのインタビュアーのスンイ(쑹이)さん(女性)が招待されて、会場(COEXのヤマハ)で直接いろいろ話を聞いたとのことで、その記事が→コチラです。
ヤマハを愛用している理由等を聞いた後、意外に小さい体格なのに、どうしてあんな強い打鍵力がでるのかと問うと、そこにいたお母さんが言うには子供の頃力が強くてあだ名が林巨正(イム・コクチョン)だったとか。
そしてこの記事中に、その時演奏した「ピアノソナタ第8番"悲愴"」1楽章の動画があります。これは聴きものです!
演奏後、会場から当然のごとく出た「テンポが少し早いようですが」との指摘にも、彼女は(たぶん毎度のように)よどみなく次のように答えています。
「私の演奏の速さは、ベートーヴェンが作曲した当時、メトロノームで音の一つひとつに直接速さを記録し、ていねいに作曲したその速さです。現代の便宜のためゆっくりと、演奏者にとって楽に演奏するというのは正しくないです。彼が定めた速さを弾くために手から血が出ても、その限界を跳び越えようと努力するのが正しい姿勢だと思います。」
さて、私ヌルボの感想ですが、とても独創的な演奏だと思いました。しかし「衝撃」というものではありません。
もっとも、これまでの音楽との衝撃的な出会いというのはそんなに数多くはありませんでしたが・・・。
たとえばジュリアードSQによるバルトーク「弦楽四重奏曲」とか、大方の同世代(以上か?)の共通体験のグールドの「ゴルトベルク変奏曲」とか、アルバート・アイラーとかチック・コリアとかレッドツェッペリンとか・・・。
・・・あ、若かりし頃のばっかりだな。その後感性が鈍ったということかもなー。 年をとると音楽的感性も保守的になるのかもしれない・・・、ということも思ったりして・・・。
[2015年7月21日の追記] 2014年12月HJリムの来日公演がありました。その時の堀内悠希の指揮する都響と共演したチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」等について、私ヌルボが「なるほど」と思ったブログ記事は→コチラ。バッハのリサイタルの曲目解説を担当した鷲尾仁美さんの「HJリムの音楽について、音大ピアノ専攻卒の私が思うこと。」という記事です。また、→コチラの方の感想記事も興味深く読みました。私ヌルボはというと、別のオケと共演した→コチラの動画でチャイコンを聴いただけですが、少なくとも「これは自分の知っているチャイコフスキーではない」といった感じで、音楽を聴く「心地よさ」はありませんね。ま、「心地よさ」以外の感動が得られる方もいるかもしれませんが・・・。
何の記事かというと、3日から始まった韓国人の女性ピアニストHJリムのピアノリサイタル評。
音楽評論家でもある平野昭慶応大教授が書いているのですが、見出しが「楽譜を読み直して」なんですよ。
自分自身が「楽譜を読み直して」思ったという意味ではなくて、(このピアニストは)「楽譜を読み直して」ほしいものだ、と厳しい注文をつけているのです。
新聞の音楽評等は、必ずしも予定調和的な提灯持ち記事というわけでもありませんが、ここまでの酷評はめずらしいのではないでしょうか? 平野教授も、長年のベートーヴェン研究者として覚悟をもって書いたものだと思います。
※この記事、ネット検索してもぜんぜんヒットしないのはなぜ?
HJリムは本名イム・ヒョンジョン(임현정)。最近急速に注目を集めている若手(26歳)ピアニストです。12歳の時からフランスに留学してパリ国立高等音楽院等で学んだ彼女ですが、広く知られるようになったのは、コンクールで優勝して、というよくあるパターンではなく、韓国の家族に演奏を見せるためにYouTubeにアップした動画がネットユーザーの間で評判になったというもの。これに注目したEMIクラシックスが2011年に専属契約を結んだことも、またいきなりベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集でデビュー(2012年5月発売)したのも異例で、おまけにこのアルバムが米ビルボード誌のクラシカル・アルバムで1位を記録してイッキに話題のピアニストになった、というわけです。
上記のYouTubeで注目された演奏というのが、具体的には次の3曲等。
①リムスキー・コルサコフの「熊蜂の飛行」 (→YouTube)
②ショパンのエチュードop10-4、op10-5「黒鍵」 (→YouTube)
③ラフマニノフの「エチュード」op.39-6、op.39-2 (→YouTube)
①はピアノ以外にもいろんな楽器の演奏家が演奏していますね。私ヌルボ、ずーっと以前にフルーティストのゴールウェイの演奏(→コチラ)をカセットテープで聴いて驚いたことがあります。鼻で息を吸っている間に口に溜めていた息を出すという循環呼吸法!(笑)
数多くのピアニストの中では、最近話題の、これも最近(4月)日本各地で公演を行ったユジャ・ワンの演奏(→コチラ)はすごいなーと思いました。中国人の女性ピアニストで、年齢は26歳。ということはHJリムと同い歳か。
ところが、ユジャ・ワンが1分24秒で演奏しているのに対して、HJリムはもっと速くて1分20秒。まあ速さがそのまま演奏の評価になるわけではないですけどね。聴き比べて、いかがなもんでしょうか?
※「熊蜂の飛行」の韓国語タイトルは「왕벌의 비행」です。
②のショパンのエチュードop10-4嬰ハ短調は、ホロヴィッツ、ポリーニ等々錚々たる顔ぶれの演奏をYouTubeで聴くことができます。
で、たとえばその定評あるポリーニが1分58秒で演奏(→コチラ)しているのに対して、HJリムは1分43秒。つまり、とにかく指が速く動くのです。この曲も、それなりに速さ勝負みたいな面も(①ほどではないにしろ)ありますが、聴いてると急かされているような感もあります。
・・・と、ここで私ヌルボ、あらためて凄いなと舌を巻いたのがリヒテル(→コチラ)。1分32秒とHJリムよりさらに早く、それ以上に(直前にハンカチを投げるところから(笑))まさに入魂の演奏という感を受けます。
③ラフマニノフの「エチュード」は、私ヌルボ、これまでちゃんと聴いたことがありませんでした。
聴いてみると、速さといい力強さといい、たしかにスリリングであるとともに、上記の平野昭教授が(ベートーヴェンのソナタについてですが)指摘しているような「まるで・・・団子になって主題の旋律性を犠牲あるいは放棄するスピード」というようなのはこのあたりについても言えるかな、という箇所も。
平野教授は、ベートーヴェンの「告別ソナタ」については「終楽章の悪はしゃぎには高貴な大公との再会の喜びの表現が微塵も感じられなかった」とまで書いています。
一方高評価もたくさんあって、評論家も宇野功芳氏を筆頭に賛辞が寄せられています。
また6月16日の読売新聞の演奏会評(無署名)では、「楽聖ベートーベンの特性 浮き彫りに」との見出しで、批判的用語は用いないでそのユニークさを伝えています。いわく「急速楽章での異常なまでに速いテンポには驚く」、「無理のある楽曲構成をものともしない破天荒な推進力」、「ベートーベンの音楽が持つ暴力性を浮き彫りにしている」等々。
クラシックファンの人たちのブログ評も賛否こもごも。
たとえば→コチラの記事の「意気軒昂はいいけれども、正直なところ、聴いていると非常に疲れる」という受けとめ方はめずらしくない、というよりむしろふつう。
一方、→コチラや→コチラは、音楽に関わっている方の感想ですがとても肯定的に受けとめています。その他絶賛記事もありますが、省略します。
なお、6月28日まで(?)→コチラで彼女の東京(浜離宮朝日ホール)での「ハンマークラヴィーア」演奏の動画を視聴できるようになっています。
この日本での公演に先立って、HJリムは故郷の韓国で5月23日初のステージに立ちました。
それに先立って、「中央日報」等が詳しい紹介記事を掲載しています。
また、それより前に、彼女が広く知られる以前の2010年の時点でインスタントメッセンジャーによるインタビュー記事がオーマイニュースのサイト中にありました。
そしてHJリムがデビューアルバムを出した後の昨年5月、ショーケースのため韓国に立ち寄った際、そのインタビュアーのスンイ(쑹이)さん(女性)が招待されて、会場(COEXのヤマハ)で直接いろいろ話を聞いたとのことで、その記事が→コチラです。
ヤマハを愛用している理由等を聞いた後、意外に小さい体格なのに、どうしてあんな強い打鍵力がでるのかと問うと、そこにいたお母さんが言うには子供の頃力が強くてあだ名が林巨正(イム・コクチョン)だったとか。
そしてこの記事中に、その時演奏した「ピアノソナタ第8番"悲愴"」1楽章の動画があります。これは聴きものです!
演奏後、会場から当然のごとく出た「テンポが少し早いようですが」との指摘にも、彼女は(たぶん毎度のように)よどみなく次のように答えています。
「私の演奏の速さは、ベートーヴェンが作曲した当時、メトロノームで音の一つひとつに直接速さを記録し、ていねいに作曲したその速さです。現代の便宜のためゆっくりと、演奏者にとって楽に演奏するというのは正しくないです。彼が定めた速さを弾くために手から血が出ても、その限界を跳び越えようと努力するのが正しい姿勢だと思います。」
さて、私ヌルボの感想ですが、とても独創的な演奏だと思いました。しかし「衝撃」というものではありません。
もっとも、これまでの音楽との衝撃的な出会いというのはそんなに数多くはありませんでしたが・・・。
たとえばジュリアードSQによるバルトーク「弦楽四重奏曲」とか、大方の同世代(以上か?)の共通体験のグールドの「ゴルトベルク変奏曲」とか、アルバート・アイラーとかチック・コリアとかレッドツェッペリンとか・・・。
・・・あ、若かりし頃のばっかりだな。その後感性が鈍ったということかもなー。 年をとると音楽的感性も保守的になるのかもしれない・・・、ということも思ったりして・・・。
[2015年7月21日の追記] 2014年12月HJリムの来日公演がありました。その時の堀内悠希の指揮する都響と共演したチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」等について、私ヌルボが「なるほど」と思ったブログ記事は→コチラ。バッハのリサイタルの曲目解説を担当した鷲尾仁美さんの「HJリムの音楽について、音大ピアノ専攻卒の私が思うこと。」という記事です。また、→コチラの方の感想記事も興味深く読みました。私ヌルボはというと、別のオケと共演した→コチラの動画でチャイコンを聴いただけですが、少なくとも「これは自分の知っているチャイコフスキーではない」といった感じで、音楽を聴く「心地よさ」はありませんね。ま、「心地よさ」以外の感動が得られる方もいるかもしれませんが・・・。
Abudullah Ibrahimは、私にとっては「アフリカン・ピアノ」のダラー・ブランドとして頭に入っています。学生時代にレコード店の店頭で聴いてLPを衝動買いしました。 この曲です。 →
http://www.youtube.com/watch?v=0UKRXzCW2PE
Lynne Arrialeは初めて聴きました。ご紹介下さってありがとうございました!
上原ひろみや小曽根真やウィントン・マルサリスといったミュージシャンは、大変お上手なのですが、ちっともおもしろくない。音楽学校で懸命に勉強した音なんですね。「どうだ、すごいだろ。この技術!」という音は、私はおもしろいとも思わないし、感動もしない。ヌルボさまとは好みが違い、私はオスカー・ピーターソン(上原が大好きなピアニスト)も、好きになれません。以上は好みの問題ですので、当然異論はあるでしょうが、まあ、しょうがない。
ちなみに、こういうピアニストは聴いたことがありますか。Lynne Arriale http://www.youtube.com/watch?
v=wOx5ZWVn8p0
Abudullah Ibrahim http://www.youtube.com/watch?v=LS8jdLO2n-U
リヒテルのことを詳しく書いているサイト →
http://www.ne.jp/asahi/ponpoko/tanuki/main.htm
の中のリヒテル年表 →
http://www.ne.jp/asahi/ponpoko/tanuki/nenpyou.htm
・・・を見ると、京都でのリヒテルの演奏会というのは、1970・73・80・88・93年の5回ですね。
私の感覚では80年以降は「大昔」にはならないのですが・・・。
(しかし、この年表は演奏曲目まで細かく書かれていてビックリ。)
高校時代、例のカラヤンとのチャイコフスキーP協奏曲1番のLPとか、「熱情」の17㎝盤をよく聴いたものです。
「リムの初来日公演、聴かねば大損をする!」と題した宇野功芳氏の推薦文はコチラです。 →
https://www.facebook.com/hjlim.japan/posts/591416137548701
1930年生まれで今83歳なんですね。
私が10代の頃「レコ芸」の増刊(?)を読んでクラシックの知識をいろいろ仕入れていたら、彼の文章がたくさん載っていた、というのが彼の名を知った最初でした。その時彼は40歳前だったのか・・・。(ということを今確認しました。)
いろんな意味で、日本のクラシックファンに大きな影響を及ぼした(及ぼし続けている)人ですね。
上原ひろみについて仰っているのは、もしかしてのコレあたりですか? →
http://www.youtube.com/watch?v=-HcKrd3K8_A
思えば、昔のジャズピアニストには技術を越えた魅力がそれぞれにありましたねー。「粋」だとか、「深い精神性」だとか・・・。そういったものが見えなくなってきたのは時代のせいか、自分のせいか?
オスカー・ピーターソンが懐かしい・・・。ビル・エヴァンスは長く愛聴しています。
(しかし、キース・ジャレット以降、「これだ!」というジャズ・ピアニストって誰がいるんですかねー?)
このかたの言う「ベートーベンが作曲した当時の早さ」と言うものがわかるんですねぇ、譜面を見ると? ビックリしました。
動画ではしきりと自論を主張している姿が見られますが、その理論的正当性や技術力が支持を得られ、かつ黒髪でエグゾティックな若い東洋人女性という付加価値が次第に減損していくなかで、今後も生き残っていけるのか、まだなんとも言えませんね。
いきなりベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集というのも挑発的(というか無謀?)で、音楽会社が無理やり話題作りをしているような気もしますし…。
それよりも、宇野功芳先生、まだご健在だったのですね。「宇野功芳氏を筆頭に賛辞」という部分を読んで吹き出しそうになりました(苦笑)。