5月21日の記事「<韓国漫画名作100選>① ベスト10を紹介 ★第1位は「恐怖の外人球団」の続きです。
①では、「ソウル新聞」と韓国漫画映像振興院の共同企画「韓国漫画名作100選」の1~10位を紹介しました。
今回は、4月23日付「ソウル新聞」の「[韓国漫画名作100選] 80年代をリードした「恐怖の外人球団 思い出を超えて伝説へ」に載っていた、専門家が選んだベスト10を紹介します。
先の記事と重なる作品については説明を省略します。
【この表の左の列が専門家推薦の順位。】
【専門家推薦】
①イ・ヒョンセ(이현세.李賢世)「恐怖の外人球団(공포의 외인구단)」(1982)
②キム・スジョン(김수정)「赤ちゃん恐竜 ドゥリ(아기곡룡 둘리)」(1983)
③ホ・ヨンマン(허영만.許英萬)「おー! 漢江(ハンガン)(오! 한강)」(1987)
「食客」等々、現在も第一線で活躍しているホ・ヨンマンですが「私が選んだ70年代最高の漫画家ベスト10」という韓国のブログ記事にはすでに彼の名前が入っています。この「おー! 漢江」は80年代民主化運動が最も高揚した1987年刊行。本ブログの過去記事「韓国の代表的漫画家15人」では、「デモ学生が正しいとした、画期的な<80年代運動圏の必読漫画>とのこと」と書きましたが、その後も未読のまま。(少し昔の漫画は相変わらず入手困難で、再刊もされていません。)
しかし、今回は韓国サイトをいくつか見て若干情報を得ました。中でも「ホ・ヨンマンの「おー! 漢江」を再び読む」というブログ記事によると、前半こそ主人公は革命的情熱に燃えたが、後半は懐疑的になり煩悶して、ラストではやや陳腐な反共の内容に落着してしまった、ということで、「安企部の支援を受けた反共漫画ではないか」との臆説も広まったそうです。しかし、この記事の筆者は、今読み直して、むしろその後半に深く感動したと記しています。
【「おー! 漢江」第1巻】
④コ・ウヨン(고우영.高羽榮)「三国志(삼국지)」(1968)
⑤コ・ウヨン(고우영.高羽榮)「林巨正(イム・コクチョン)(임꺽정)」(1974)
コ・ウヨンは、大人向け長編歴史劇画の先駆者。「林巨正」は洪命憙(ホンミョンヒ.홍명희)の歴史小説が原作。他に「十八史略」「一枝梅」等も描いています。
⑥ユン・スンウォン(윤승운.尹勝雲)「メンコンイ書堂(맹꽁이 서당)」(1983)
書堂(学塾)の先生が弟子たちに歴史を教えるという形式の、歴史学習漫画の元祖。この漫画のことは、一昨年(2010年)富川のミュージアム漫画奎章閣に行って初めて知りました。(過去記事参照→コチラ。) 「メンコンイ」はアマガエルの一種のジムグリガエル。孔子(コンジャ)と孟子(メンジャ)の名から1字ずつ取った「孔孟書堂」が本来の書堂の名ですが、それをふざけて逆にしたもの。漫画雑誌の「ポムルソム(보물섬.宝島)」に25年間連載され、連載終了時には「ハンギョレ」にも記事が載りました。(→コチラ。)
【富川市・ミュージアム漫画奎章閣の「メンコンイ書堂」展示物。(2010年9月)】
⑦キル・チャンドク(길창덕.吉昌悳)「コボンイ(꺼벙이)」(1970)
キル・チャンドクは、上記のユン・スンウォンやシン・ムンス(申文壽)等とともにいわゆる<明朗漫画>の開拓者。「コボンイ」は、1968年から14年間「少年韓国日報」に連載された「チェドンイ」と並ぶ彼の代表作。2010年81歳で亡くなりましたが、そのニュース記事によると「チェドンイ」の連載回数4800回は韓国最長連載記録だそうです。
【これもミュージアム漫画奎章閣の「コボンイ」の展示物。手前、犬に追っかけられている少年がコボンイ。】
⑧ヤン・ヨンスン(양영순)「ヌードルヌード(누들누드)」(1995)
2001年タイガーコミックスとして日本語訳が出た韓国漫画中の1つ。私ヌルボはこの作家の「千一夜話」は表紙(→コチラ参照)に惹かれて購入しましたが、内容は今ひとつ、だっかな。「ヌードルヌード」は未読ですが、アマゾンのコメントには1件とはいえ「アイロニカルというかシュールというか、ただのエロマンガではありません。子供にはもったいない、大人のための1冊です」と★5つをつけた方がいます。
⑨キム・サンホ(김상호)「正義の使者 ライパイ(정의의 사자 라이파이)」(1959)
【タイトルも図柄も時代を感じさせます。】
この漫画については知りませんでした。→コチラの韓国ブログで、往年の漫画ファンがこの作品への思い入れを何枚もの画像とともに綴っています。
⑩ユン・テホ(윤태호)「苔(이끼)」(2007)
笞(むち)ではなくて苔(こけ)ですよ。2010年日本でも公開された映画「黒く濁る村」の原作漫画です。
先に掲げた表の2列目は「読者選好度」。一般読者による順位ですが、これは前回のものと同じなので説明は略します。
【読者選好度】
①イ・ヒョンセ(이현세.李賢世)「恐怖の外人球団(공포의 외인구단)」(1982)
②ホ・ヨンマン(허영만.許英萬)「食客(식객)」(2002)
③パク・ソヒ(박소희.朴韶希)「宮(궁)」(2002)
④カンプル(캉풀)「あなたを愛しています(그대를 사랑합니다)」(2007)
⑤チョン・ククチン(전극진)作:ヤン・ジェホン(梁載賢양재현)画「熱血江湖(열혈강호)」(1994)
⑥キム・スジョン(김수정)「赤ちゃん恐竜 ドゥリ(아기곡룡 둘리)」(1983)
⑦チョン・ゲヨン(천계영)「オーディション(오디션)」(1998)
⑧チョソク(조석)「心の声(마음의 소리)」(2006)
⑨キム・セヨン(김세영)作:ホ・ヨンマン(허영만.許英萬)画「タチャ[イカサマ師](타짜)」(1999)
⑩イ・ウォンボク(이원복.李元馥)「遠い国 隣りの国(먼나라 이웃나라)」(1987)
①では、「ソウル新聞」と韓国漫画映像振興院の共同企画「韓国漫画名作100選」の1~10位を紹介しました。
今回は、4月23日付「ソウル新聞」の「[韓国漫画名作100選] 80年代をリードした「恐怖の外人球団 思い出を超えて伝説へ」に載っていた、専門家が選んだベスト10を紹介します。
先の記事と重なる作品については説明を省略します。
【この表の左の列が専門家推薦の順位。】
【専門家推薦】
①イ・ヒョンセ(이현세.李賢世)「恐怖の外人球団(공포의 외인구단)」(1982)
②キム・スジョン(김수정)「赤ちゃん恐竜 ドゥリ(아기곡룡 둘리)」(1983)
③ホ・ヨンマン(허영만.許英萬)「おー! 漢江(ハンガン)(오! 한강)」(1987)
「食客」等々、現在も第一線で活躍しているホ・ヨンマンですが「私が選んだ70年代最高の漫画家ベスト10」という韓国のブログ記事にはすでに彼の名前が入っています。この「おー! 漢江」は80年代民主化運動が最も高揚した1987年刊行。本ブログの過去記事「韓国の代表的漫画家15人」では、「デモ学生が正しいとした、画期的な<80年代運動圏の必読漫画>とのこと」と書きましたが、その後も未読のまま。(少し昔の漫画は相変わらず入手困難で、再刊もされていません。)
しかし、今回は韓国サイトをいくつか見て若干情報を得ました。中でも「ホ・ヨンマンの「おー! 漢江」を再び読む」というブログ記事によると、前半こそ主人公は革命的情熱に燃えたが、後半は懐疑的になり煩悶して、ラストではやや陳腐な反共の内容に落着してしまった、ということで、「安企部の支援を受けた反共漫画ではないか」との臆説も広まったそうです。しかし、この記事の筆者は、今読み直して、むしろその後半に深く感動したと記しています。
【「おー! 漢江」第1巻】
④コ・ウヨン(고우영.高羽榮)「三国志(삼국지)」(1968)
⑤コ・ウヨン(고우영.高羽榮)「林巨正(イム・コクチョン)(임꺽정)」(1974)
コ・ウヨンは、大人向け長編歴史劇画の先駆者。「林巨正」は洪命憙(ホンミョンヒ.홍명희)の歴史小説が原作。他に「十八史略」「一枝梅」等も描いています。
⑥ユン・スンウォン(윤승운.尹勝雲)「メンコンイ書堂(맹꽁이 서당)」(1983)
書堂(学塾)の先生が弟子たちに歴史を教えるという形式の、歴史学習漫画の元祖。この漫画のことは、一昨年(2010年)富川のミュージアム漫画奎章閣に行って初めて知りました。(過去記事参照→コチラ。) 「メンコンイ」はアマガエルの一種のジムグリガエル。孔子(コンジャ)と孟子(メンジャ)の名から1字ずつ取った「孔孟書堂」が本来の書堂の名ですが、それをふざけて逆にしたもの。漫画雑誌の「ポムルソム(보물섬.宝島)」に25年間連載され、連載終了時には「ハンギョレ」にも記事が載りました。(→コチラ。)
【富川市・ミュージアム漫画奎章閣の「メンコンイ書堂」展示物。(2010年9月)】
⑦キル・チャンドク(길창덕.吉昌悳)「コボンイ(꺼벙이)」(1970)
キル・チャンドクは、上記のユン・スンウォンやシン・ムンス(申文壽)等とともにいわゆる<明朗漫画>の開拓者。「コボンイ」は、1968年から14年間「少年韓国日報」に連載された「チェドンイ」と並ぶ彼の代表作。2010年81歳で亡くなりましたが、そのニュース記事によると「チェドンイ」の連載回数4800回は韓国最長連載記録だそうです。
【これもミュージアム漫画奎章閣の「コボンイ」の展示物。手前、犬に追っかけられている少年がコボンイ。】
⑧ヤン・ヨンスン(양영순)「ヌードルヌード(누들누드)」(1995)
2001年タイガーコミックスとして日本語訳が出た韓国漫画中の1つ。私ヌルボはこの作家の「千一夜話」は表紙(→コチラ参照)に惹かれて購入しましたが、内容は今ひとつ、だっかな。「ヌードルヌード」は未読ですが、アマゾンのコメントには1件とはいえ「アイロニカルというかシュールというか、ただのエロマンガではありません。子供にはもったいない、大人のための1冊です」と★5つをつけた方がいます。
⑨キム・サンホ(김상호)「正義の使者 ライパイ(정의의 사자 라이파이)」(1959)
【タイトルも図柄も時代を感じさせます。】
この漫画については知りませんでした。→コチラの韓国ブログで、往年の漫画ファンがこの作品への思い入れを何枚もの画像とともに綴っています。
⑩ユン・テホ(윤태호)「苔(이끼)」(2007)
笞(むち)ではなくて苔(こけ)ですよ。2010年日本でも公開された映画「黒く濁る村」の原作漫画です。
先に掲げた表の2列目は「読者選好度」。一般読者による順位ですが、これは前回のものと同じなので説明は略します。
【読者選好度】
①イ・ヒョンセ(이현세.李賢世)「恐怖の外人球団(공포의 외인구단)」(1982)
②ホ・ヨンマン(허영만.許英萬)「食客(식객)」(2002)
③パク・ソヒ(박소희.朴韶希)「宮(궁)」(2002)
④カンプル(캉풀)「あなたを愛しています(그대를 사랑합니다)」(2007)
⑤チョン・ククチン(전극진)作:ヤン・ジェホン(梁載賢양재현)画「熱血江湖(열혈강호)」(1994)
⑥キム・スジョン(김수정)「赤ちゃん恐竜 ドゥリ(아기곡룡 둘리)」(1983)
⑦チョン・ゲヨン(천계영)「オーディション(오디션)」(1998)
⑧チョソク(조석)「心の声(마음의 소리)」(2006)
⑨キム・セヨン(김세영)作:ホ・ヨンマン(허영만.許英萬)画「タチャ[イカサマ師](타짜)」(1999)
⑩イ・ウォンボク(이원복.李元馥)「遠い国 隣りの国(먼나라 이웃나라)」(1987)
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