12月初めにソウルに行った時、行きのアシアナ機内で東亜日報に目を通していたら、<여태 우리가 먹은 건 붕어빵? 잉어빵?(今までわれわれが食べてきたのはプンオパン? インオパン?)>という見出しが目に留まりました。
プンオパン(붕어빵)は直訳すると鮒(ふな)パン。日本でいう鯛焼きのことで、日本の統治期の1930年代に日本から入ってきました。※なぜタイがフナになったのかはよくわからず。
※その時期からの韓国の食べ物について「実は日本のパクリだった」などと批判的に言うのはちょっと無理があると思うゾ。(たとえば→コチラ。) すると日本の洋食や洋菓子も全部パクリじゃないの?
そして戦後も長く韓国の人々に好まれてきました、・・・と続けて書こうと思ったら、戦後は朝鮮戦争等があって小麦の供給も不十分だったりしてしばらく絶えていたのが、1990年代懐古ムードが高まる中で再登場した、と→日本のウィキペディアや、いくつかの韓国記事に記されていました。
※しかし、韓国アニメ「追憶のプンオパン(추억의 붕어빵)」(2011)[右画像]の時代設定は1960年なんだけどなー。
(それはそれとして)とくに寒い冬、日本での鯛焼き人気は言うに及ばずですが、韓国はもしかしたらそれ以上? おなじみの<ナムウィキ>の記事(→コチラ)によると、韓国の軍隊には冬季限定で各警備隊を廻ってプンオパンを作る<プンオパン兵士>がいたとか今もいるという余談も書かれています。また上記の「東亜日報」の記事によると、最近では<역세권(ヨクセクォン.駅勢圏)>=<駅チカ>という言葉をもじって<붕세권(プンセクォン)>=<鮒焼き屋の近所>という新造語もあるそうです。(って、どれだけ定着してるのか?)
このプンオパンという物および<붕어빵>という単語はずっと前(90年代半ば?)から知っていました。おそらく、初級レベルの韓国語学習者の皆さんの多くもご存知なのでは?
そして私ヌルボが初めて韓国でこのプンオパンを食べたのは1999年10月でした。水原華城のナントカ門近くの屋台で。
ところが、その後何年か経って<잉어빵(インオパン)>=<鯉パン>という同じようなものが出回り始めたということを聞きました。その時は、なんとなく「フナよりコイの方が大きいんだろうな」くらいしか思いませんでした。※プンオパンは、一般的に日本の鯛焼きよりやや小ぶりです。
ところが(と、ここから本論)、上記の東亜日報の記事(→コチラ.韓国語)によると形や作り方、食感といったものが少し違うようなのですね。その見分け方を簡単に書くと・・・。
《プンオパン》(左)
・中のあんが見えない。
・あんが入っているのは腹の部分だけ。
・形が丸みを帯びている。
・表面がパリッとしている。
・中のあんが見えない。
・あんが入っているのは腹の部分だけ。
・形が丸みを帯びている。
・表面がパリッとしている。
《インオパン》(右)
・生地が薄く、中のあんが透けて見える。
・尾まであんが入っている。
・形がスマート。
・表面に油が多い。
・食感が柔らかくてしっとりしている。
・生地が薄く、中のあんが透けて見える。
・尾まであんが入っている。
・形がスマート。
・表面に油が多い。
・食感が柔らかくてしっとりしている。
・・・と、こんなところ。
このプンオパンとインオパンの違いは韓国人の間でもよくは知られていないとみえて、だからこそこうした記事が書かれるわけで、同じネタの記事も相当数ありました。
中央日報2013年1月の<붕어빵이냐, 잉어빵이냐…프랜차이즈 전쟁 불 붙었다(プンオパンか、インオパンか・・・フランチャイズ戦争に火が点いた)>(→コチラ)では次のようなことを記しています。
・プンオパンも、チキン同様ブランドを前面に出して熾烈な競争が繰り広げられている。
・プンオパンのフランチャイズ業体は全国で40以上に上る。プンオパンを売る露店10店中9店が加盟していることになる。ソウルの場合は、元祖プンオパン(원조붕어빵)と黄金インオパン(황금 잉어빵)が全店舗の80%以上を占めているが、幸福なインオパン(행복한 잉어빵)と糯(もち)粉入り麦インオパン(찰보리잉어빵)も加盟店を増やしている。
・生地からあんまで全材料を一度に供給する方式。
・ブランドごとに特徴があり、鉄板で焼くのは同じだが、サイズ・形・中味等はすべて異なる。インオパンには糯米粉が入っていて、サクッとした食感が特徴的である。元祖プンオパンは、マーガリンやバターを入れて香ばしい風味を出している。生地にピーナッツ等を入れて高級化したインオパンは3匹千ウォンだが、伝統的なプンオパンは1、2cm小さくして7匹で千ウォン(安い!)である。
ちなみに、日本の鯛焼きについては、私ヌルボ全然詳しくありません。チェーン店は2つだけ知っていますが、韓国ほど系列化は進んでいないのではないでしょうか?(未確認) 近年は小豆あんとかクリームだけでなく実にいろんなものが入った鯛焼きが登場しているそうです。今度そんな店の近所に行ったら買って来るか。あ、1909年創業という老舗の浪花屋(麻布十番)等の鯛焼きも1度食べてみるかな、・・・と思って「東京 たい焼き」で検索すると<3大たい焼き>、<5選>、<10選>等々いろいろあるんですねー。毎度のことながら、何についても入れ込んでいる人たちがいるものです。
【おまけ】<新大久保で売上げベスト3の韓国菓子を食べてみました>という過去記事(→コチラ)で1位にランクされたオリオンのお菓子チャムプンオパン(참붕어빵)の画像を貼っておきます。
私は「韓国の文化は<ほとんど>日本のパクリ」という点に対して無理があると言っているのです。また<パクリ>という言葉をいかに定義づけるか、考える必要があると思います。
鯛焼きについて言えば、日本国内で誰かが最初に作って売り始めた頃、別の誰かが無断で真似をして売り出すのを非とする法令等がありましたか? また、鯛焼きが朝鮮に伝わった時代は、「朝鮮」も日本の「国内」だったじゃないですか。
現在の話なら、韓国で出回っている済州島産のハルラボンは日本のデコポンを無断で導入・栽培したもので、韓国メディア等もそれを認めています。この事例は私もパクリと言ってかまわないと思います。(以前の記事で書いた<かっぱえびせん>等々も。)
もう1つ、まったく根拠不明なのが「↑在日乙」とのご指摘。私は純粋な日本人だし、これまでも情緒的に韓国の肩を持つような記事を書いたことはありません。これまた全然根拠のない脊髄反射的「在日認定」は、(良くない意味で)「こんな日本人もいるんだな」と、日本人の評価を下げることになってしまいますよ。
↑在日乙、これこそ無理があるゾ
②韓国の<チョコソンイ.초코송이>と日本の<きのこの山>
③韓国の<17茶>と日本の<十六茶>
④韓国の<ペペロ,빼빼로>と日本の<ポッキー>
等についてはすでにご存じのことと思います。
※コチラの過去記事で書きました。 →
https://blog.goo.ne.jp/dalpaengi/e/ba3353b27a2a3480ca424af1de0848a8
その他にもテコンV(マジンガーZのパクリ)とか、漫画・映画等のコンテンツもいろいろ。
まあ、著作権やパテントに関わらない過去のモノについてはメクジラ立ててもしょうがない感じですが、モトは日本のモノという認識は持ってほしいと思いますね。
最近、早坂隆「世界はジョークで出来ている」(文春新書)を読んでいたら、次のようなジョークが載っていました。
●七段階
世界の製品は七段階より成る。
一・ユダヤ人が発明する。
二・アメリカ人が製品化する。
三・イギリス人が投資する。
四・フランス人がデザインを良くする。
五・日本人が小型化する。
六・中国人が海賊版を作る。
七・韓国人が起源を主張する。
鯛焼きもそのうち韓国起源ということにされる?
韓国の文化はほとんど日本のパクリです