「19歳の純情」がどんなドラマかというと、安直にウィキペディアを見るだけでおおよそことはわかります。
つまりは「韓国のKBS朝の連続テレビ小説」で、「国際結婚のため、中国東北地方からソウルに上京してきた19歳の朝鮮族の女性を主人公した作品」で、「異郷の土地で苦境に立たされながらなおかつ、明るさを失わずに成長する主人公をク・ヘソンが演じ、2006年から2007年上半期、『朱蒙』、『噂のチル姫』、『白い巨塔』に次ぐ最高視聴率を獲得した」というものです。
ところが、このドラマについていろいろネット内を見ていたら、YAHOO知恵袋に次のような質問がありました。
「韓国ドラマ「19歳の純情」を5話から見始めたんですが、グッカは中国人なんですか? ・・・中国人なのになんで韓国語も片言ながら話せるんですか?」
これに対する回答が、不十分なものであるにもかかわらずベストアンサーになってしまっています。
たしかに、中国内の少数民族事情についてある程度の知識をもっていないと、わからないのも無理はないかもしれません。
ましてや、日本&日本人の場合、
①日本列島という地図上も一目瞭然の国土の中で、
②居住民は黒目黒髪の黄色人種の<日本民族>がほとんどを占め、
③そのほとんどの住民は日本語を話し、一元的な伝統・文化を保持しており、
④そのほとんどの住民は日本国籍を持っている
・・・というわけですから、「日本人」という言葉も、上記①~④を無意識のうちにすべて包み込んだ概念になっています。
しかし、このような<民族>は、世界の中ではむしろごく少数です。
たとえばアメリカ人といえば④の国籍を示す概念であり、②のような<人種>としてのアメリカ人は存在しません。またユダヤ人は②の<人種>であって、国籍はイスラエル、アメリカ等々さまざまで、ユダヤという国家はありません。
中国の場合、昔から中国の歴史・文化を担ってきた主役は漢民族(漢族)でした。現在、中国の国籍を持っている人々の94%が漢族です。しかしそれ以外に多くの少数民族がいます。現在の中国政府は、漢族以外の少数民族の数=55としています。
その55の少数民族中、人口が最も多いのが約1600万人のチワン族(壮族)であるということは、私ヌルボ、つい今あるサイトで初めて知りました。2位が満州族(満族)、3位が回族、4位ミャオ族、5位ウィグル族と続きます。
そして朝鮮族は約190万人で13位。主に吉林・黒竜江・遼寧の東北三省に居住しています。
中国政府は少なくとも建前としては「少数民族とその文化を尊重し、保護している」と標榜していて、とくに朝鮮族が集住している吉林省内に<延辺朝鮮族自治州>を置いています。ウィキによると、集住地域といっても漢族が約6割、朝鮮族が約4割なんですね。(人口218万人中朝鮮族が88万人、と延吉でガイド氏から聞きました。)
延辺は韓国語で연변(ヨンビョン)、中国語読みでは옌볜(イェンビェン)。どちらも使われています。<延辺朝鮮族自治州>の州都が延吉です。韓国語の読みでは연길(ヨンギル)で中国語の読みは옌지(イェンジー)。
ヌルボが2004年8月に延吉に行った時撮った写真を紹介しましょう。
上記のように、「少数民族とその文化を尊重」ということで、下の写真のように店舗や官公署等の看板はどれも漢字とハングルが併記されています。延吉在住のガイド氏の説明によると、「朝鮮族はで小学校は朝鮮語で教わる。中学校から中国語を学ぶ」とのことでした。
【延辺朝鮮族自治州委員会の建物。左の看板は漢字、右はハングル。】
【現地のマイクロバスの文字も漢字とハングルを併記。】
・・・ということで、冒頭の質問に対する答えは以下の通り。
家族ヤン・グッカは国籍でいえば中国人。民族は朝鮮族。言葉はバイリンガル。内では朝鮮語だが、韓国語とは言葉遣いやイントネーションが異なる部分も多く、北朝鮮とも少し違う。だから韓国人はその言葉から中国朝鮮族or北朝鮮から来た人だな、とわかる。また、朝鮮民族の文化を保持しているので、この点でも韓国と重なる点もあり、また言語同様に違いもある。
※グッカの出身地は、延辺自治州の南部、和龍市という人口22万の都市です。
なお、ヤン・グッカの漢字表記は梁菊花。その양국화(ヤン・グッカ)という音は韓国語の読み方です。(名前自体、中国朝鮮族の女性によくある名前でしょう。)
下の写真はホテル(白山大厦)のロビー。やはり漢字とともに、右のBarの入り口にはハングルで<추억 만들기>(思い出つくり)という看板がかかってます。
【フロントの女性2人のうち1人はチマチョゴリでした。】
街の中心部は、車も少なくはなく、大きな建物もありますが、一般の住宅・アパートは・・・写真のようなものです。ガイド氏は「96㎡の新居を15万元で買いました」と語っていました。
【アパートは屋内(ガラス張りベランダ)で洗濯物を干すようになっています。寒いと凍るからでしょう。】
【13時頃の街の中心地。】
「延吉はレストラン、カラオケ、タクシーが多い。タクシーは上海の次に多い」とガイド氏が言ってましたが、「タクシーは・・・」というのはホントかなー??
ホテルの食事も朝鮮料理、昼食は下の写真の店で冷麺を食べました。
【ここの冷麺、思ったよりマイルドな味でした。】
市街の中心部にある生鮮食料品主体の市場に行ってみると、<すごい濃ゆ~い感じ>。独特の臭いが漂っていました。
【延吉の繁華街(?)】
【市場の入口から中に入ると、野菜を売っていたり・・・】
肉売り場は牛肉・鶏肉等の表示と並んで、案の定犬肉も!
【3.5匹(!)の犬が腹を上に並べられていました。犬好きの人、ごめんなさい。】
で、このドラマに直接関係することですが、表通りに<韓国人との結婚相談>という表示のあるボックス(韓国の宝くじ売り場のような)を見かけました。写真がないのが残念。
この頃(2004年)から、中国朝鮮族で韓国に結婚のため、あるいは働きに行く人が増え、またそれに伴う問題(偽装結婚や差別問題等)も起こってきました。それでKBSではドラマを通じて視聴者に考えてもらおう、という啓発といった意味あいでこの「19歳の純情」を企画した、ということでしょう。
ところが初回からいろいろとクレームがついたようで・・・という話は次回に回しましょう。
つまりは「韓国のKBS朝の連続テレビ小説」で、「国際結婚のため、中国東北地方からソウルに上京してきた19歳の朝鮮族の女性を主人公した作品」で、「異郷の土地で苦境に立たされながらなおかつ、明るさを失わずに成長する主人公をク・ヘソンが演じ、2006年から2007年上半期、『朱蒙』、『噂のチル姫』、『白い巨塔』に次ぐ最高視聴率を獲得した」というものです。
ところが、このドラマについていろいろネット内を見ていたら、YAHOO知恵袋に次のような質問がありました。
「韓国ドラマ「19歳の純情」を5話から見始めたんですが、グッカは中国人なんですか? ・・・中国人なのになんで韓国語も片言ながら話せるんですか?」
これに対する回答が、不十分なものであるにもかかわらずベストアンサーになってしまっています。
たしかに、中国内の少数民族事情についてある程度の知識をもっていないと、わからないのも無理はないかもしれません。
ましてや、日本&日本人の場合、
①日本列島という地図上も一目瞭然の国土の中で、
②居住民は黒目黒髪の黄色人種の<日本民族>がほとんどを占め、
③そのほとんどの住民は日本語を話し、一元的な伝統・文化を保持しており、
④そのほとんどの住民は日本国籍を持っている
・・・というわけですから、「日本人」という言葉も、上記①~④を無意識のうちにすべて包み込んだ概念になっています。
しかし、このような<民族>は、世界の中ではむしろごく少数です。
たとえばアメリカ人といえば④の国籍を示す概念であり、②のような<人種>としてのアメリカ人は存在しません。またユダヤ人は②の<人種>であって、国籍はイスラエル、アメリカ等々さまざまで、ユダヤという国家はありません。
中国の場合、昔から中国の歴史・文化を担ってきた主役は漢民族(漢族)でした。現在、中国の国籍を持っている人々の94%が漢族です。しかしそれ以外に多くの少数民族がいます。現在の中国政府は、漢族以外の少数民族の数=55としています。
その55の少数民族中、人口が最も多いのが約1600万人のチワン族(壮族)であるということは、私ヌルボ、つい今あるサイトで初めて知りました。2位が満州族(満族)、3位が回族、4位ミャオ族、5位ウィグル族と続きます。
そして朝鮮族は約190万人で13位。主に吉林・黒竜江・遼寧の東北三省に居住しています。
中国政府は少なくとも建前としては「少数民族とその文化を尊重し、保護している」と標榜していて、とくに朝鮮族が集住している吉林省内に<延辺朝鮮族自治州>を置いています。ウィキによると、集住地域といっても漢族が約6割、朝鮮族が約4割なんですね。(人口218万人中朝鮮族が88万人、と延吉でガイド氏から聞きました。)
延辺は韓国語で연변(ヨンビョン)、中国語読みでは옌볜(イェンビェン)。どちらも使われています。<延辺朝鮮族自治州>の州都が延吉です。韓国語の読みでは연길(ヨンギル)で中国語の読みは옌지(イェンジー)。
ヌルボが2004年8月に延吉に行った時撮った写真を紹介しましょう。
上記のように、「少数民族とその文化を尊重」ということで、下の写真のように店舗や官公署等の看板はどれも漢字とハングルが併記されています。延吉在住のガイド氏の説明によると、「朝鮮族はで小学校は朝鮮語で教わる。中学校から中国語を学ぶ」とのことでした。
【延辺朝鮮族自治州委員会の建物。左の看板は漢字、右はハングル。】
【現地のマイクロバスの文字も漢字とハングルを併記。】
・・・ということで、冒頭の質問に対する答えは以下の通り。
家族ヤン・グッカは国籍でいえば中国人。民族は朝鮮族。言葉はバイリンガル。内では朝鮮語だが、韓国語とは言葉遣いやイントネーションが異なる部分も多く、北朝鮮とも少し違う。だから韓国人はその言葉から中国朝鮮族or北朝鮮から来た人だな、とわかる。また、朝鮮民族の文化を保持しているので、この点でも韓国と重なる点もあり、また言語同様に違いもある。
※グッカの出身地は、延辺自治州の南部、和龍市という人口22万の都市です。
なお、ヤン・グッカの漢字表記は梁菊花。その양국화(ヤン・グッカ)という音は韓国語の読み方です。(名前自体、中国朝鮮族の女性によくある名前でしょう。)
下の写真はホテル(白山大厦)のロビー。やはり漢字とともに、右のBarの入り口にはハングルで<추억 만들기>(思い出つくり)という看板がかかってます。
【フロントの女性2人のうち1人はチマチョゴリでした。】
街の中心部は、車も少なくはなく、大きな建物もありますが、一般の住宅・アパートは・・・写真のようなものです。ガイド氏は「96㎡の新居を15万元で買いました」と語っていました。
【アパートは屋内(ガラス張りベランダ)で洗濯物を干すようになっています。寒いと凍るからでしょう。】
【13時頃の街の中心地。】
「延吉はレストラン、カラオケ、タクシーが多い。タクシーは上海の次に多い」とガイド氏が言ってましたが、「タクシーは・・・」というのはホントかなー??
ホテルの食事も朝鮮料理、昼食は下の写真の店で冷麺を食べました。
【ここの冷麺、思ったよりマイルドな味でした。】
市街の中心部にある生鮮食料品主体の市場に行ってみると、<すごい濃ゆ~い感じ>。独特の臭いが漂っていました。
【延吉の繁華街(?)】
【市場の入口から中に入ると、野菜を売っていたり・・・】
肉売り場は牛肉・鶏肉等の表示と並んで、案の定犬肉も!
【3.5匹(!)の犬が腹を上に並べられていました。犬好きの人、ごめんなさい。】
で、このドラマに直接関係することですが、表通りに<韓国人との結婚相談>という表示のあるボックス(韓国の宝くじ売り場のような)を見かけました。写真がないのが残念。
この頃(2004年)から、中国朝鮮族で韓国に結婚のため、あるいは働きに行く人が増え、またそれに伴う問題(偽装結婚や差別問題等)も起こってきました。それでKBSではドラマを通じて視聴者に考えてもらおう、という啓発といった意味あいでこの「19歳の純情」を企画した、ということでしょう。
ところが初回からいろいろとクレームがついたようで・・・という話は次回に回しましょう。
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