[2] 「乙巳年(ウルサニョン)=1905年が{ウルシニョンスロプタの語源」という有力な説がある。
→2つ前の記事の続きです。
その最後に書きましたが、「을씨년스럽다」(ウルシニョンスロプタ)」という言葉は「(天気や雰囲気などが)もの寂しい」「非常に貧しい」「みじめだ」といった意味の形容詞です。
この言葉を私ヌルボが知ったのは、5週間前ほど前に韓国統監の官邸跡についての記事(→コチラ)の冒頭で書いた第2次日韓協約について韓国記事をいくつか見た中に出てきたからです。
1905年11月に締結された第2次日韓協約は、日本が大韓帝国の外交権を接収することを内容としたもので、これにより統監が置かれ(初代統監=伊藤博文)、大韓帝国は事実上日本の保護国となりました。
3週間前の外交史料館の記事(→コチラ)でも書きましたが、韓国ではふつうこの第2次日韓協約のことを乙巳条約(을사조약)または乙巳勒約(을사늑약)と呼んでいます。
「乙巳」(을사.ウルサ)というのは、この1905年が干支の組み合わせで「乙巳」の年だからです。※干支による年の表記については→1つ前の記事参照。
この乙巳条約関連の言葉で、韓国には「乙巳五賊」という言葉があります。この協約に賛同した李完用をはじめとする5人の閣僚のことで、彼らに対する非難は当時だけではなく、むしろ今世紀に入ってから、廬武鉉政権時代に制定された日帝強占下反民族行為真相糾明に関する特別法(2004)・親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法(2005)に象徴されるように一段と厳しくなっている感があります。
本論に戻ります。「을씨년스럽다」(ウルシニョンスロプタ)」という言葉が出てきた乙巳条約関係の韓国記事というのは2014年12月の<こども東亜>(어린이동아)の記事。(→コチラで、その骨子は次の通りです。
「을씨년스럽다」という言葉は「을씨년」という名詞に「そのような性質がある」という接尾辞の「~스럽다」が付いたものだが、その「을씨년」とは1905年の「을사년(乙巳年)」が変形したものという説がかなり有力」である。
この説は、記事によるとチョ・ハンボム忠北大教授によるもので、チョ教授は、当時(20世紀初頭)の新小説作家・李海朝(イ・ヘジョ.1869~1927)が1908年発表した小説「鬢上雪」(빈상셜.ピンサンショル)中に<을사년시럽다>という言葉を見つけ、<을씨년>が<을사년>に由来する十分な根拠となると唱えていると説明しています。
ただ、この記事では「明快ではあるが、できてから100年にしかならないこの言葉が変化した過程が他の記録には残っていない点が疑問だ」とも書いていて、「乙巳年」説を100%正しいとみているわけでもありません。
しかし、下のようなイラストまで載せているし、かなりの思い入れが込められた記事ではあります。
あいかわらず日本人は出っ歯に描かれていますね。(いつからなんだろ??)
この記事が読まれたためかどうかはわかりませんが、この「을씨년스럽다」は日本の保護国とされてしまった「乙巳年(1905年)」に対する朝鮮の人々の「もの寂し」く「みじめ」な心情に基づくという語源説はそれなりに広まっているようにも思えます。
語源説の例は「無数に」と言っていいほど数多くあり、私ヌルボの好きな落語「やかん」にある茶碗の語源(「見てごらん。ちゃわんとそこにあるだろう」)のような笑っちゃうようなレベルのものだけでもいくつもあります。最近知ったのは、日本語の「ありがとう」はポルトガル語の「obrigado」(オブリガード)に由来する、というトンデモ語源説ですが、それでも信じやすい人は信じるのですねー。(笑) 以前韓国語の「바다(パダ)」は日本語の(ワタツミ等の)「ワタ」に相通じるという話をしたら、「英語のwaterもそうやないか!?」と言った友人がいましたㅋㅋㅋ。
こんな即座に「ありえねー!」というレベルからマユツバのレベル、そしてほとんど信じてよさそうなレベルまでいろいろあるのが語源説で、言語学N先生の話では「専門家も非専門家と大きな差はない」のだそうです。ヌルボの理解では、明確な反証が出てこなければどこまでも<仮説>のまま、ということなのかな?
で、この「乙巳年」語源説はわりと信じてよさそうなレベルと言えそうです。上記の李海朝の小説も乙巳年の3年後と「ほどよい」時期だし・・・。
しかし、私ヌルボは直感的に「これは違うのでは?」と思いました。理由はというと、今の韓国人の歴史認識がそのまま投影されていると思ったから。
その時代の大韓帝国で、どれほどの人が乙巳条約のことを知り、憤りを感じていたのか? たしかにその後各地で義兵運動は各地で展開されはしましたが・・・。
そこで、もしかして、「乙巳年」語源説以外の説があるのでは?と韓国記事を探してみたら、案の定ありました。
あと1回続きます。
→ [韓国語] 「ウルシニョンスロプタ」(ものさびしい・みじめだ)の語源は? ③「乙巳年(ウルサニョン)」(=1905年)説以外の説がやっぱりあった!
→2つ前の記事の続きです。
その最後に書きましたが、「을씨년스럽다」(ウルシニョンスロプタ)」という言葉は「(天気や雰囲気などが)もの寂しい」「非常に貧しい」「みじめだ」といった意味の形容詞です。
この言葉を私ヌルボが知ったのは、5週間前ほど前に韓国統監の官邸跡についての記事(→コチラ)の冒頭で書いた第2次日韓協約について韓国記事をいくつか見た中に出てきたからです。
1905年11月に締結された第2次日韓協約は、日本が大韓帝国の外交権を接収することを内容としたもので、これにより統監が置かれ(初代統監=伊藤博文)、大韓帝国は事実上日本の保護国となりました。
3週間前の外交史料館の記事(→コチラ)でも書きましたが、韓国ではふつうこの第2次日韓協約のことを乙巳条約(을사조약)または乙巳勒約(을사늑약)と呼んでいます。
「乙巳」(을사.ウルサ)というのは、この1905年が干支の組み合わせで「乙巳」の年だからです。※干支による年の表記については→1つ前の記事参照。
この乙巳条約関連の言葉で、韓国には「乙巳五賊」という言葉があります。この協約に賛同した李完用をはじめとする5人の閣僚のことで、彼らに対する非難は当時だけではなく、むしろ今世紀に入ってから、廬武鉉政権時代に制定された日帝強占下反民族行為真相糾明に関する特別法(2004)・親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法(2005)に象徴されるように一段と厳しくなっている感があります。
本論に戻ります。「을씨년스럽다」(ウルシニョンスロプタ)」という言葉が出てきた乙巳条約関係の韓国記事というのは2014年12月の<こども東亜>(어린이동아)の記事。(→コチラで、その骨子は次の通りです。
「을씨년스럽다」という言葉は「을씨년」という名詞に「そのような性質がある」という接尾辞の「~스럽다」が付いたものだが、その「을씨년」とは1905年の「을사년(乙巳年)」が変形したものという説がかなり有力」である。
この説は、記事によるとチョ・ハンボム忠北大教授によるもので、チョ教授は、当時(20世紀初頭)の新小説作家・李海朝(イ・ヘジョ.1869~1927)が1908年発表した小説「鬢上雪」(빈상셜.ピンサンショル)中に<을사년시럽다>という言葉を見つけ、<을씨년>が<을사년>に由来する十分な根拠となると唱えていると説明しています。
ただ、この記事では「明快ではあるが、できてから100年にしかならないこの言葉が変化した過程が他の記録には残っていない点が疑問だ」とも書いていて、「乙巳年」説を100%正しいとみているわけでもありません。
しかし、下のようなイラストまで載せているし、かなりの思い入れが込められた記事ではあります。
「われわれは乙巳五賊!!」 「こんな痛嘆きわまりない・・・」 [乙巳条約文書」 「<乙巳年スロプタ> →<ウルシニョンスロプタ>」 |
あいかわらず日本人は出っ歯に描かれていますね。(いつからなんだろ??)
この記事が読まれたためかどうかはわかりませんが、この「을씨년스럽다」は日本の保護国とされてしまった「乙巳年(1905年)」に対する朝鮮の人々の「もの寂し」く「みじめ」な心情に基づくという語源説はそれなりに広まっているようにも思えます。
語源説の例は「無数に」と言っていいほど数多くあり、私ヌルボの好きな落語「やかん」にある茶碗の語源(「見てごらん。ちゃわんとそこにあるだろう」)のような笑っちゃうようなレベルのものだけでもいくつもあります。最近知ったのは、日本語の「ありがとう」はポルトガル語の「obrigado」(オブリガード)に由来する、というトンデモ語源説ですが、それでも信じやすい人は信じるのですねー。(笑) 以前韓国語の「바다(パダ)」は日本語の(ワタツミ等の)「ワタ」に相通じるという話をしたら、「英語のwaterもそうやないか!?」と言った友人がいましたㅋㅋㅋ。
こんな即座に「ありえねー!」というレベルからマユツバのレベル、そしてほとんど信じてよさそうなレベルまでいろいろあるのが語源説で、言語学N先生の話では「専門家も非専門家と大きな差はない」のだそうです。ヌルボの理解では、明確な反証が出てこなければどこまでも<仮説>のまま、ということなのかな?
で、この「乙巳年」語源説はわりと信じてよさそうなレベルと言えそうです。上記の李海朝の小説も乙巳年の3年後と「ほどよい」時期だし・・・。
しかし、私ヌルボは直感的に「これは違うのでは?」と思いました。理由はというと、今の韓国人の歴史認識がそのまま投影されていると思ったから。
その時代の大韓帝国で、どれほどの人が乙巳条約のことを知り、憤りを感じていたのか? たしかにその後各地で義兵運動は各地で展開されはしましたが・・・。
そこで、もしかして、「乙巳年」語源説以外の説があるのでは?と韓国記事を探してみたら、案の定ありました。
あと1回続きます。
→ [韓国語] 「ウルシニョンスロプタ」(ものさびしい・みじめだ)の語源は? ③「乙巳年(ウルサニョン)」(=1905年)説以外の説がやっぱりあった!
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