前回の<韓国の死刑制度と、連続大量殺人事件(1)>では、韓国の死刑制度の概況について記しました。
ポイントは、韓国では法的には死刑が存続しているが、1997年を最後に10年以上執行されていないので、アムネスティでは事実上の死刑廃止国としている、ということです。
このような状況を韓国の人たちはどう見ているのか、探ってみました。
【死刑の存廃をめぐる韓国の世論】
韓国の一般国民は、過半数が死刑の存続を望んでいる。
世論調査に表れた数字は次の通りである。
[「朝鮮日報」の記事より] ・1994年「死刑を存続すべき」 70% 「死刑を廃止すべき」 20%
・2003年「死刑を存続すべき」 52.3% 「死刑を廃止すべき」 40.1%
・2009年「死刑を存続すべき」 64.1% 「死刑反対」 13.2% 「分からない」 22.7%
[2006年の「タンジ日報」の世論調査]、
・「死刑制度は廃止しなければならない」 37.9% 「死刑制度は存続しなければならない」 46.1%
※存続意見が高い地域は、大田/忠清道、江原道、全羅北道で、首都圏と慶尚道は廃止意見がわずかに多かった。
年齢別では、高齢者ほど存続意見が多く、若年層は廃止意見が多かった。
支持政党別では、ハンナラ党(保守系)支持者は存続意見が多く、開かれたウリ党と民労党支持者(ともに革新系)は廃止意見が多かった。
大量連続殺人事件や、子どもが犠牲となった事件がマスコミで大きく取り上げられたり、とくに犯人が悪びれるようすが全くなかったことが報道されると死刑廃止を疑問視する声が強まる。
【2006年2月22日「朝鮮日報」より。型にはまった加害者像。】
一方、韓国社会で大きな影響力を持つキリスト教団体が死刑制度を撤廃することを要請している。
仏教界からも死刑廃止を求める声が高い。
2001年に仏教・プロテスタント・カトリックが「死刑廃止のための汎宗教人連合」を結成、死刑廃止を政府に働きかけるなど、死刑廃止運動をリードしてきた。
【死刑を合憲とした憲法裁判所に抗議する市民・社会団体(2010年2月25日)※出典→コチラ。】
なかでもカトリック矯正司牧委員会は、死刑囚の教誨だけでなく、犯罪被害者の支援、アメリカの「ジャーニー・オブ・ホープ」(犯罪被害者遺族と死刑囚の家族が旅をしながら死刑について語るプログラム)への参加とドキュメンタリー映画『赦し』の製作、坂上香氏の著作『赦しと和解への旅』の韓国語出版など、幅広く活動してきた。
※キリスト教団体が必ずしも死刑廃止の立場とは限らない。
韓国キリスト教総連合会という組織は2010年「われわれは・・・ある人が故意に他の人を殺した場合には、死刑が施行されるよう神が意図され命令されたことを信ずる」との声明書を出している。
大統領選の時に死刑制度維持を明言した李明博大統領も所望(ソマン)教会の信者(長老)であることはよく知られている。同じ所望教会に属するオム・サンイク弁護士(法廷小説等の著作もある)も「死刑は善良な市民を保護するため必要」と述べている。
また、その人がどんな立場(職業等)の人であるかによって死刑に対する意見がかなり異なった傾向がみられるのは、下の表からもうかがわれる。
【死刑囚と直接接触していても、刑務官と矯正委員の意見は大きく異なる。】
【死刑と殺人事件の関係の有無について】
1993~2007年の殺人事件の件数と死刑の執行数の推移(下表)をどう解釈するかは、死刑に対する賛成・反対の立場によって分かれる。
【刑罰のことを考えて殺人を犯す殺人者がどれほどいるのだろうか? 】
1997年の死刑執行停止の前と後について、死刑存続派は2003年頃までの殺人事件増加に注目し、死刑反対派はそれ以後の減少を重視している。
私ヌルボ、個別に事例をいろいろ知れば知るほど、加害者にも、被害者・加害者の家族にもいろんな人がいるなあ、ということがわかってきました。
犯罪遂行の時から罪におののく者もいれば、何人殺してもまるっきり罪悪感も反省もない殺人鬼もいる。家族3人を殺されても犯人を「赦す」という高貞元さんや、弟を殺された原田正治さんのように「許さないが死刑には反対」という被害者遺族もいれば、光市母子殺人事件の遺族の本村洋さんのように「もし犯人が死刑にならずに刑務所から出てくれば、私が自分の手で殺す」と明言した遺族もいる・・・。
遺族ではないのに「被害者遺族の気持ちがわかるか?」と言う人がいますが、「自分はわかる」と思っているのでしょうね、きっと。ヌルボもヌルボなりに、高貞元さんの言葉にも、本村さんの言葉にも共感する部分はあります。しかし肝心なところは本人ではないし、わかりませんというしかありません。
おっと、個人的見解については最後にまとめて書くことになってたんだ! さらにあと2回続きます。
ポイントは、韓国では法的には死刑が存続しているが、1997年を最後に10年以上執行されていないので、アムネスティでは事実上の死刑廃止国としている、ということです。
このような状況を韓国の人たちはどう見ているのか、探ってみました。
【死刑の存廃をめぐる韓国の世論】
韓国の一般国民は、過半数が死刑の存続を望んでいる。
世論調査に表れた数字は次の通りである。
[「朝鮮日報」の記事より] ・1994年「死刑を存続すべき」 70% 「死刑を廃止すべき」 20%
・2003年「死刑を存続すべき」 52.3% 「死刑を廃止すべき」 40.1%
・2009年「死刑を存続すべき」 64.1% 「死刑反対」 13.2% 「分からない」 22.7%
[2006年の「タンジ日報」の世論調査]、
・「死刑制度は廃止しなければならない」 37.9% 「死刑制度は存続しなければならない」 46.1%
※存続意見が高い地域は、大田/忠清道、江原道、全羅北道で、首都圏と慶尚道は廃止意見がわずかに多かった。
年齢別では、高齢者ほど存続意見が多く、若年層は廃止意見が多かった。
支持政党別では、ハンナラ党(保守系)支持者は存続意見が多く、開かれたウリ党と民労党支持者(ともに革新系)は廃止意見が多かった。
大量連続殺人事件や、子どもが犠牲となった事件がマスコミで大きく取り上げられたり、とくに犯人が悪びれるようすが全くなかったことが報道されると死刑廃止を疑問視する声が強まる。
【2006年2月22日「朝鮮日報」より。型にはまった加害者像。】
一方、韓国社会で大きな影響力を持つキリスト教団体が死刑制度を撤廃することを要請している。
仏教界からも死刑廃止を求める声が高い。
2001年に仏教・プロテスタント・カトリックが「死刑廃止のための汎宗教人連合」を結成、死刑廃止を政府に働きかけるなど、死刑廃止運動をリードしてきた。
【死刑を合憲とした憲法裁判所に抗議する市民・社会団体(2010年2月25日)※出典→コチラ。】
なかでもカトリック矯正司牧委員会は、死刑囚の教誨だけでなく、犯罪被害者の支援、アメリカの「ジャーニー・オブ・ホープ」(犯罪被害者遺族と死刑囚の家族が旅をしながら死刑について語るプログラム)への参加とドキュメンタリー映画『赦し』の製作、坂上香氏の著作『赦しと和解への旅』の韓国語出版など、幅広く活動してきた。
※キリスト教団体が必ずしも死刑廃止の立場とは限らない。
韓国キリスト教総連合会という組織は2010年「われわれは・・・ある人が故意に他の人を殺した場合には、死刑が施行されるよう神が意図され命令されたことを信ずる」との声明書を出している。
大統領選の時に死刑制度維持を明言した李明博大統領も所望(ソマン)教会の信者(長老)であることはよく知られている。同じ所望教会に属するオム・サンイク弁護士(法廷小説等の著作もある)も「死刑は善良な市民を保護するため必要」と述べている。
また、その人がどんな立場(職業等)の人であるかによって死刑に対する意見がかなり異なった傾向がみられるのは、下の表からもうかがわれる。
【死刑囚と直接接触していても、刑務官と矯正委員の意見は大きく異なる。】
【死刑と殺人事件の関係の有無について】
1993~2007年の殺人事件の件数と死刑の執行数の推移(下表)をどう解釈するかは、死刑に対する賛成・反対の立場によって分かれる。
【刑罰のことを考えて殺人を犯す殺人者がどれほどいるのだろうか? 】
1997年の死刑執行停止の前と後について、死刑存続派は2003年頃までの殺人事件増加に注目し、死刑反対派はそれ以後の減少を重視している。
私ヌルボ、個別に事例をいろいろ知れば知るほど、加害者にも、被害者・加害者の家族にもいろんな人がいるなあ、ということがわかってきました。
犯罪遂行の時から罪におののく者もいれば、何人殺してもまるっきり罪悪感も反省もない殺人鬼もいる。家族3人を殺されても犯人を「赦す」という高貞元さんや、弟を殺された原田正治さんのように「許さないが死刑には反対」という被害者遺族もいれば、光市母子殺人事件の遺族の本村洋さんのように「もし犯人が死刑にならずに刑務所から出てくれば、私が自分の手で殺す」と明言した遺族もいる・・・。
遺族ではないのに「被害者遺族の気持ちがわかるか?」と言う人がいますが、「自分はわかる」と思っているのでしょうね、きっと。ヌルボもヌルボなりに、高貞元さんの言葉にも、本村さんの言葉にも共感する部分はあります。しかし肝心なところは本人ではないし、わかりませんというしかありません。
おっと、個人的見解については最後にまとめて書くことになってたんだ! さらにあと2回続きます。
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