ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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★2011年 ヌルボの個人的映画ベスト10

2011-12-31 20:52:48 | 韓国映画(&その他の映画)
[2011年]
①サラの鍵 
②テザ 慟哭の大地
③愛する人
彼とわたしの漂流日記
⑤アリス・クリードの失踪
⑥阪急電車 片道15分の奇跡(日)
牛と一緒に7泊8日
⑧未来を生きる君たちへ
⑨ゴーストライター
⑩エンディングノート(日)
 次点:その街のこども 劇場版(日)、昼間から呑む
 

赤色は韓国映画または韓国・北朝鮮に関係する映画です。

 2011年観た映画は、ちょうど80本。家でDVDで観たものは数えていません。うち韓国映画は25本でした。ただし、「波瀾万丈」等のショートショートは含んでいません。また北朝鮮映画は「安重根 伊藤博文を撃つ」の1本だけです。
 80本の中から、例年通りベストテンを並べてみました。昨年迷いつつ4位にしたのが「ゲキシネ 蛮幽鬼」。今年観た「ゲキシネ 薔薇とサムライ」もすごくおもしろかったのですが、「オペラ座の怪人 25周年特別公演」も含めて、やはり舞台そのままの映画は外すことにしました。
 また旧作の再上映、たとえば「風吹く良き日」「鯨とり ナドヤカンダ」「夫婦善哉」「猫と庄造と二人の女」「春婦伝」「蜘蛛之巣城」「裏窓」等も除外しました。(未見の人にはどれも観てほしいものです。)

※一般的注目作で未見の映画、観ようかな?と思って観ていない主な映画は次のとおり。たくさんあるなー・・・。基本的に誰でも知ってるハリウッドの話題作は観ません、というわけでもないですが、結果的にはほとんど観ていません。
 「大鹿村騒動記」「一枚のハガキ」「八日目の蝉」「冷たい熱帯魚」「恋の罪」「けいおん」「わたしを離さないで」「ステキな金縛り」ブラック・スワン」「トゥルー・グリット」「ヒア アフター」「ソーシャル・ネットワーク」「リアル・スティール」「スーパー!」「宇宙人ポール」等。・・・「わたしを離さないで」は、原作は読みましたが、設定だけで泣けてきます。映画も、予告編だけで十分切ないです、うるうる。園子温監督の映画、来年は観なければ・・・。


 さて、冒頭に掲げた今年のベスト10。自分で分析するに、1位をはじめ社会的なドラマが多いですね。それも歴史がらみの洋画。リストにはありませんが「灼熱の魂」も印象に残っています。また日本映画は、こぢんまりとした、日常の中での人と人のつながりを温かく描いた作品が並びました。
 1位は「サラの鍵」。今年は少し迷いました。一昨年・去年の「グラン・トリノ」「息もできない」のような傑出した文句ナシの作品はなかったので・・・。しかし暮れに観た「サラの鍵」は強く印象に残りました。感動というだけでなく、いろいろ考えさせられたという点で。同じヴェル・ディブ事件(1942年7月16・17日フランスでのユダヤ人一斉検挙事件)を扱った「黄色い星の子供たち」とセットで1位にします。
※<黄色い星>とはユダヤ人たちが一見してわかるようにと胸に付けさせられた「ダビデの星」のこと。
※「考えさせられたこと」の1つは、今の北朝鮮の人権状況についてです。この件については、近く別立てで記事にします。たぶん。
 2位の「テザ 慟哭の大地」は、めずらしいエチオピア映画(ハイレ・ゲリマ監督)。エチオピアでは1974年の王政廃止クーデター後、社会主義をめざしながらも、その後恐怖独裁政治や粛清により数10万人が殺害され、とお決まりの道をたどります。そんな時代に翻弄されながらも希望を持って生き続ける知識人男性の半生を、時間的空間的広がりの中で描く。コチラを1位にしてもいいくらい。もっともっと注目されてしかるべき映画だと思うのですが・・・。
 3位、女性が主人公という作品が多いということに今気づきました。「愛する人」がまさにそうですね。逆に男のナサケナイこと! 「サラの鍵」もそうだったなー。これって、現実の反映?
 4位「彼とわたしの漂流日記」、2010年に見逃した韓国映画を新年早々神戸の元町映画館で観ました。原題の「キム氏漂流記」と全然違うからわからなかったのです。以後注意深くなったので(?)「黄海」が「哀しき獣」になったり、「詩」が「ポエトリー アグネスの詩」になったりしてることは承知してますよ。
 5位、「アリス・クリードの失踪」、わずか3人の登場人物で展開する緊迫の密室劇。同じ3人の密室劇の秀作ポランスキーの「死と乙女」に深みでは劣るものの、<映画生活>の評点66点は低すぎだなー。とくに「女優が可愛くない」等の理由で50点をつけたTさん、可愛いじゃないですかっっ(`Д´)ノ
 6位「阪急電車 片道15分の奇跡」、思いがけない拾い物という感じの映画でした。ふつうに良かったというのはたぶんこういう時に使う言葉ですか? 翔子(中谷美紀)が駅のホームでイジメにあっている小学生女児(高須瑠香)に声をかける場面がとくに印象に残っています。
 7位「牛と一緒に7泊8日」は、昨年観た「飛べ!ペンギン」のイム・スルレ監督の作品。10月24日の記事で感想を書きました。私ヌルボ、この監督とは相性がいいみたいです。主演の牛먹보(モクポ.食いしんぼ)は貴重な演技派の牛だそうです。
 8位「未来を生きる君たちへ」は第83回アカデミー賞外国語映画賞作品。理不尽な暴力が横行するアフリカのキャンプと、デンマークの学校でのいじめがどう結びつくの?とは観る前に抱いた疑問。観終わって納得。「サラの鍵」の過去と現在の関係性も同様か?
 9位「ゴーストライター」は上記のポランスキー監督作品。作品よりも彼自身の人生の方がドラマチック。2月18日公開予定の「おとなのけんか」も楽しみ。
 10位「エンディングノート」。ガンを告げられた父親の生前の姿と葬式後までを、こんなに微笑ましく描けるとは! 父親も娘(監督)もたいしたものです。うらやましいものです。
 次点の「その街のこども 劇場版」は、阪神淡路大震災のその後。観たのが2月25日。そのちょうど2週間後が3月11日。災害救護活動の支援を目的に日本赤十字社へ寄付されていた配給収入の一部は、3月11日以降は、寄付先がを日本赤十字社の東日本大震災義援金に切り替えられたそうです。
 もう1つの次点「昼間から呑む」は、5月16日の記事で感想を書きました。映画の内容は、記事のタイトル通り<いいかげんで、無責任で、おしつけがましくて、酒好きで、愛すべき韓国人>を描いたものです。

 上記以外、まず韓国映画では、「悪魔を見た」「ビー・デビル」は、手当たり次第に殺しまくる!チェ・ミンシクとソ・ヨンヒのすごさに圧倒されました。「パジュ」、なかなかよかった。主演女優ソウの目ヂカラが印象的。しかし「ハウスメイド」の奥様役はミスキャストでは? 「クイック!!」は大型B級映画のアンバランスさをどう評価するか? 「ささやきの夏」は話題になりませんでしたが、好感がもてる佳品。「ソウルのバングラデシュ人」は多文化社会の一側面を知る。女子高生(ペク・チニ)が「息もできない」のキム・コッピ的雰囲気。「アジョシ」、十分ベスト10入りレベルの娯楽映画。ウォンビンはアイドルからリッパに脱皮!
 韓国映画以外では、「再生の朝に」は中国の死刑や裁判官について知識を得るとともに考えさせられました。「台北の朝、僕は恋をする」は青春映画の佳作。ヒロイン(アンバー・クォ)がカワイイ! 「見えないほどの遠くの空を」、若い人たちの間に口コミで評判が広がり、レイトショーはヌルボが行った時はほとんど満員。観てみてナットク。「蜘蛛之巣城」、バーナムの森が動く!? (黒澤映画、怒鳴りすぎだって。字幕をつけてください。) 「マイ・バック・ページ」、川本三郎氏は自殺した保倉幸恵さんとああいう感じのコミュニケーションがあったのか・・・。竹本信弘は1989年に「滝田修解体」を出版してかつての革命の非を認めたとか。思えば実にいろんな時代の区切りとなった年です。76年生まれの山下敦弘監督、よく60年代の雰囲気を再現したものです。
 他にもいろいろ観ましたが、ここらへんでまた来年。よいお年を・・・。

[参考]過去4年のベスト10

[2010年]息もできない過速スキャンダル冬の小鳥④ゲキシネ蛮幽鬼(日)⑤実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(日)⑥告白(日)⑦瞳の奥の秘密⑧飛べ!ペンギン⑨川の底からこんにちは(日)⑩ONE SHOT ONE KILL

[2009年]①グラン・トリノ②ディア・ピョンヤン(日)③妻が結婚した母なる証明チェイサー⑥チェンジリング⑦劔岳 点の記(日)⑧チョコレート・ファイター⑨戦場のワルツ⑩牛の鈴音

[2008年]①ダークナイト②パコと魔法の絵本(日)③ウリハッキョ(日)④休暇(日)⑤シークレット・サンシャイン⑥ラスト・コーション⑦接吻(日)⑧おくりびと(日)⑨闇の子供たち(日)⑩火垂るの墓・実写版(日)

[2007年]①世界最速のインディアン②パンズ・ラビリンス③キサラギ(日)④ドリームガールズ⑤それでも僕はやっていない(日)⑥夕凪の街 桜の国(日)⑦幸福(しあわせ)のスイッチ(日)⑧檸檬の頃(日)⑨幸福(こうふく)の食卓(日)⑩私たちの幸せな時間

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2 コメント

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新年おめでとうございます (ヌルボ)
2012-01-02 03:09:11
「ポエトリー アグネスの詩」、楽しみにしてます。ほかにも観たい韓国映画はたくさんあるんですけどね。

アメリカと日本で、韓国関係の情報にいろんな差があるようですね。
これは、という情報等がありましたらぜひお知らせください。
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そうそう アグネスの詩 なんです (ユタ)
2012-01-01 12:02:13
あ、さすがです。実はリ・チャンドンの「詩」についての言及がこちらでされてないか拝見していたのですが、日本では2月の公開、しかもタイトルは要注意ものであるため、これらの日本情報をインターネットで知るには多少時間がかかっていました。

「詩」は私の今年観たナンバーワン映画でしたので、どうかお楽しみに。そちらは既に新年ですね。あけましておめでとうございます。
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