いよいよ申京淑の大ベストセラー小説「엄마를 부탁해」が9月16日集英社文庫から発売されます。表紙の配色が爽やかで、明るくて、広がりが感じられて、少し寂しいようで、良い雰囲気です。
単行本で出るものと思い込んでいましたが、いきなり文庫で出るとはねー。
実のところはもっと早く刊行してほしかったのですが、翻訳の安宇植先生(昨年12月逝去)の御事情もあって遅れたのかもしれません。私ヌルボも、本格的な韓国小説を初めて原書で読んだのがこの作品だったということもあって、何はともあれうれしいです。
実はちょっとひっかかっていることがひとつ。
今年4月28日の記事でこの英訳本がアメリカで刊行されたことを書きましたが、その中で、タイトルの訳し方について、「「母をお願い」だと、「オンマ」という語に込められた子→母の情が感じられないので、ヌルボとしては納得できません」とめずらしくハッキリと書いちゃってるんですよ、ははは。
今自分の記事を読み返してみると、その時点できむ ふなさんはたぶん「母をお願い」と訳されていることをご存知だったから「毎日新聞」にそう書いたと読めますね。
まあ、安宇植先生としては、「オンマ」という言葉は一般の日本人読者にとってはなじみがないだろう、と判断されたということでしょうね。
ついでに言えば、「부탁해」の訳の「お願い」、これも関係ブログ等を見ると人によっては「頼むわ」等と訳していました。「お母さんを頼むわ」とか・・・。
ヌルボが最初にナルホドと思った「お願い」という訳し方は、映画「子猫をお願い」。日本語タイトルを最初に見て、原題は何だろうと思ったら「고양이를 부탁해」だったというわけです。
この「母をお願い」は、アメリカの他にもヨーロッパ各国等、現在では29ヵ国で翻訳されているそうです。(英語もそうですが、人称代名詞の訳し方が言語によってはむずかしいでしょうね。)
「聯合通信」の8月15日の記事によると、申京淑さんはアメリカの7都市と、ヨーロッパ8都市を巡回してブック・ツアー行事を展開しているとか。また最近本が出刊されたイスラエルでも8月初め現地サイン会を開いたりしたそうです。(イスラエルではベストセラー第2位になったとも・・・。台湾では第3位。)
そしてこの本の刊行に合わせて9月14~17日日本を訪れる予定だそうです。<日韓ビジネスは宝の山!>というブログの記事には、申京淑の知人である作家・津島佑子氏も参加して「10月22日には名古屋で出版記念会を行うそうです」という情報が記されていました。
「韓国経済」紙は、この作品の日本刊行を伝える記事の中で、次のようにも記しています。
日本で出刊される韓国文学は1年に10余作品にしかすぎない。このような状況で「母をお願い」日本語版の出刊が日本国内の韓国文学ブームをよびおこすのに寄与することを出版会は期待している。
※続けて、「去る6月に出刊されたハン・ガンの連作小説「菜食主義者」も最近出版し1刷5000部が売り切れて、すぐ2刷に入る等、好評を得ている」ともあります。「菜食主義者」は、今年の<韓国文学読書感想文コンテスト>の課題図書にもなっています。詳細は→コチラ。
私ヌルボとしましても、この名作の刊行を機に、日本でも韓国文学に目を向ける人が増えるといいと思います。
集英社さんには、この際すでに単行本で出ている申京淑「離れ部屋」もぜひ文庫化してほしいところです。
もちろん、他の出版社も、申京淑のみならず他の作家・作品にも目を向けて、翻訳書の発行数を増やしてください。1年に10余作品とは少なすぎです。「最初から韓国小説は売れないものだ」との先入観を打破してくださいな~。
私自身が連載している読書日記の、今年のラストを飾る作品として本作(原書)を選び、数日前に読み始めたところでしたので、楽しく拝見しました。
10月22日に名古屋で出版記念会があるとのことですが、一般参加もOKなのでしょうか?
名古屋から30分の距離に住んでいるので参加OKであればぜひとも出席したいと思うのですが詳細情報がつかめません。
詳しくご存知でしたらぜひご紹介ください。
翻訳小説の紹介等をしているライター江南亜美子さんのTwitterに「たまたま手にした、申京淑『母(オムマ)をお願い』(集英社文庫)のパイロット版を泣きそうになりながら一晩で読んじゃった!」等々書かれていました。
さらに別件ですが、8月8日の記事でのんきさんがコメントに書かれていたように、孔枝泳さんの「진지한 남자」はたしかにおもしろいですね。今ちょうど関連記事を書いているところです。
申さんは一作しか読んでいないのですが愛読しています。
韓国文化院のHPに載るそうですが
10月19日 下北沢で
10月20日 四谷韓国文化院でトークがあるそうです。集英社。文化院に問い合わせました。
私も3日連続で集英社に電話しましたが、3日とも直接の担当者とはつながらず。3日目の今日は、別の方が「韓国文化院のHPに東京での催しについて載っているはず」とのことで見てみましたが、見つからず。
ナグネさんの情報の方が早かったですね。
名古屋での催しについては、韓国観光公社のHPのニュースの中に載っていました。(そのHPの検索窓に「申京淑」と入れて検索するとヒットします。)
◎10月19日(水)コリアプラザ名古屋13:30~14:30
文化講演「小説に見るオンマ(お母さん)の味」
with兼若逸之先生
※先着50名!
◎10月22日(土)CBCホール 15:00~17:00
星野智幸さんとの対談