ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 週末の興行成績 [2月14日(金)~2月16日(日)]と、人気順位 ►「1917 命をかけた伝令」は6本観たアカデミー賞作品賞候補中イチオシ!

2020-02-18 18:59:53 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸先週の記事で「自分が感動したか否か?と、薦めるか否か?は別」と書きました。自分が感動した映画でも人には薦めないこともあるし、その逆もあります。
 しかし、今回の記事のタイトル<1917 命をかけた伝令」は6本観たアカデミー賞作品賞候補中イチオシ!>というのは、この映画が私ヌルボ自身119分の上映時間中ずっと集中し没頭して観られたし、相手を選ばず「とにかく観てみて」と言える作品だからです。
 多くの戦争映画は、戦争<そのもの>よりも、その中のなんらかの<物語>を描いています。敵軍に勝つとか、作戦の遂行とか、ある極限状況とか、家族等の悲劇とか、戦友との友情とか・・・。この作品でもタイトルにもあるように、重要な任務を担う伝令に指名された兵士が主人公ですが、その任務の成否もさることながら、命令を受けて塹壕を出て、戦いの最前線に至るまでの戦場が非常にリアルに撮られているのです。(って、戦場を実際に見たことないからどこまでリアルか厳密にはわかりませんが。) それとともに緊張感が伝わってくる、というよりも、ほとんど「体感できる」感じ。その分、「映画作品としての物語性が不足」という批判もあると思いますが、それは二の次でよし(・・・としましょう)。いろんな記事で書かれているように全編が「ワンカット風」に編集されていますが、どのようにして撮影したかは→コチラのとても興味深いYouTube動画を参照されたし。約2時間が実際にワンカットだと、そんな短い間でこの内容の物語(15時間くらい ?)が全部展開されるワケがありません。ポイントは、このような撮影方式で臨場感を高めるというその効果です。
 戦争映画については、以前→コチラの記事で「ハクソー・リッジ」(&多くのアメリカの戦争映画)に対して①自国を超えた多角的な視点が欠けている。②(①に関連して)「敵」が人間として描かれていない。③「英雄」を称賛する物語になっていることが多い。④戦争そのものに対する省察にかけ、戦争一般を批判するメッセージはほとんどない。・・・といったことを書きました。また映画評論家ホ・ナムンさんの「英雄ではなく反戦が必要」という言葉も紹介しました。(コメント欄も見てみてください。) 私ヌルボの基本姿勢は変わっていません。「1917」では、主人公の伝令を英雄として描くのではなく、主に映像を通して戦争そのものを見せているように思いました。
 本作について2月16日毎日新聞の<藤原帰一の映画愛>(→コチラ)で、「第一次世界大戦を描いた映画は戦争に厳しいのが特徴」と書かれていて、その理由は「ヒトラーのドイツや日本軍国主義のような悪との戦いとして表現することのできる第二次世界大戦と違って、第一次大戦は善悪で語ることができない。だから戦争の犠牲を正当化することもできない」ということだそうです。なるほど、です。しかし、だからこそ、戦勝国と戦敗国、善と悪を超えた第二次大戦を描く視点が必要ではないかとも思います。

         ★★★ NAVERの人気順位(2月18日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(2) モンマルトルのパパ(韓国)  9.64(100)
②(1) 泣くな、トンズ2:シュクラン ババ(韓国)  9.60(145)
③(4) フォードvsフェラーリ  9.51(7,746)
④(3) 劇場版 ミニ特攻隊: 恐竜王 ディノ(韓国)  9.44(153)
⑤(8) 2人のローマ教皇  9.35(545)
⑥(9) スパイズ・イン・ディズガイズ  9.33(1,353)
⑦(7) ジョジョ・ラビット  9.32(780)
⑧(10) 家族を想う時  9.29(381)
⑨(-) 娘は戦場で生まれた  9.18(145)
⑩(-) 梨泰院[イテウォン](韓国)  9.18(72)

 今回の新登場はありません。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 燃え立つ若い女性の肖像  9.22(9)
②(2) アイリッシュマン  9.11(9)
③(3) パラサイト 半地下の家族[寄生虫](韓国)  9.06(16)
④(4) 小さな光(韓国)   8.67(3)
⑤(5) マリッジ・ストーリー  8.50(2)
⑥(6) はちどり(韓国)  8.38(13)
⑦(新) ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語  8.00(10)
⑧(7) ペイン・アンド・グローリー  8.00(7)
⑨(8) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド  7.90(10)
⑩(10) フォードvsフェラーリ  7.63(8)

 ⑧「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」が新登場です。この作品については後述します。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績2月14日(金)~2月16日(日) ★★★
           国会議員選挙間近の今、コメディ「正直な候補」が1位とは(笑)

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(68)・・正直な候補(韓国)・・・・・・・・・・・2/12 ・・・・・・・・・676,558・・・・・・・908,808 ・・・・・・・・7,723・・・・・・1,179
2(15)・・ストーリー・オブ・マイライフ・・2/12・・・・・・・・312,720・・・・・・・463,736 ・・・・・・・・3,947・・・・・・1,099
       わたしの若草物語
3(1)・・クローゼット(韓国)・・・・・・・・・・2/05 ・・・・・・・・・209,992 ・・・・・1,144,871 ・・・・・・・・9,931 ・・・・・・・798
4(50)・・パラサイト 半地下の家族(韓国)・・2009/5/30 ・・89,111 ・・・・10,228,438 ・・・・・・・86,857 ・・・・・・・180
5(34)・・ソニック・ザ・ムービー ・・・・・・2/12 ・・・・・・・・・・68,239・・・・・・・・87,121・・・・・・・・・・693 ・・・・・・・605
6(3)・・南山の部長たち(韓国)・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・・65,929 ・・・・・4,723,000 ・・・・・・・41,002 ・・・・・・・552
7(2)・・ハーレイ・クインの華麗なる覚醒・・2/05・・・・・・・40,498・・・・・・・373,729 ・・・・・・・・3,316 ・・・・・・・480
       BIRDS OF PREY
8(6)・・ジョジョ・ラビット ・・・・・・・・・・2/05 ・・・・・・・・・・22,685・・・・・・・・80,512・・・・・・・・・・693 ・・・・・・・165
9(5)・・劇場版 ミニ特攻隊・・・・・・・・・・・2/06 ・・・・・・・・・・21,508・・・・・・・・71,542・・・・・・・・・・558 ・・・・・・・315
       :恐竜王ディノ(韓国)
10(4)・・ヒットマン(韓国)・・・・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・・13,656・・・・・・2,400,382 ・・・・・・・20,567 ・・・・・・・327

     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1・2・5位の3作品が新登場です。
 1位「正直な候補」は、韓国のコメディ。国会議員3選目のチュ・サンスク(ラ・ミラン)にとって嘘は最大の武器。嘘がスイスイ出てきます。ところが<青天の霹靂>が落ち、1つの嘘もつけない<真実の口>を持つようになってしまいます。昨日までのほら吹きが今日からは一転して正直候補に!? 彼女の人生は根こそぎ揺れ動きますが・・・。原題は「정직한 후보」です。4月15日の国会議員選挙をひかえて、現実を逆手に取ったコメディといったところでしょうか。
 2位「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」は、有名なオルコットの小説「若草物語」の映画化作品。今回のアカデミー賞では作品賞等6部門にノミネートされ、受賞は衣装デザイン賞だけでしたが、トータルに高評価を得ている作品です。時代背景は19世紀半ば過ぎの南北戦争頃なのですが、本作ではグレタ・ガーウィグ監督が次女で作家志望のジョー(シアーシャ・ローナン)をはじめ4姉妹の生き方を女性の自立といった今日的テーマに重点を置き、当時の社会環境とともに描き出している点に特色があるようです。韓国題は、原題「Little Women」に近い「작은 아씨들(お嬢様方)」。日本公開は3月27日です。
 5位「ソニック・ザ・ムービー」は、アメリカの実写+3Dアニメ。人気ゲーム<ソニック・ザ・ヘッジホッグ>のキャラクター、音速で走る青いハリネズミのソニックが地球に不時着しますが、彼の特別な能力を知った科学者ドクターロボットニクは世界征服の野望を満たそうと企てます。警察官トムは危機に陥ったソニックを助けようとしますが、はたしてソニックは天才悪党に対抗して地球を守ることができるでしょうか・・・。韓国題は「수퍼 소닉」。日本公開は3月27日です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・燃え立つ若い女性の肖像 ・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・3,880・・・・・・・・135,830・・・・・・・・1,139 ・・・・・・・・・64
2(新)・・卒業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1971/6/19・・・・・・・・・・1,625・・・・・・・・・・3,996 ・・・・・・・・・・29 ・・・・・・・・・42
3(6)・・ネヴァー・ルック・アウェイ・・・・・・2/20・・・・・・・・・・・745 ・・・・・・・・・・1,857 ・・・・・・・・・・12 ・・・・・・・・・・5
4(新)・・青春物語 ・・・・・・・・・・・・・・・・・1957(米)・・・・・・・・・・・463・・・・・・・・・・5,592・・・・・・・・・・・11 ・・・・・・・・・・1
5(12)・・ジュディ 虹の彼方に・・・・・・・・・・・3/12・・・・・・・・・・・393・・・・・・・・・・2,646・・・・・・・・・・・21 ・・・・・・・・・・3

 2・4・5位の3作品が新登場ですが、うち2つは再上映作品です。
 2位「卒業」は、マイク・ニコルズ監督による1967年の青春映画の再上映。主演ダスティン・ホフマンが一躍スターになり、サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」「スカボロー・フェア」「ミセス・ロビンソン」もヒットしましたね。映画も歌も懐かしいです。韓国題は日本と同じ「졸업」です。
 4位「青春物語」は、「卒業」よりさらに10年古いアメリカ映画。グレース・メタリアスの小説「ペイトン・プレイス」(1956)の映画化作品です。後にソープオペラも「ペイトンプレイス物語」の邦題でTV放映されました。ソチラはミア・ファロー主演ですが、映画の方の主演はラナ・ターナー。彼女の写真は60年代に「スクリーン」誌等で見ましたが、映画は全然観ていません。韓国題は「페이톤 플레이스(ペイトンプレイス)」です。
 5位「ジュディ 虹の彼方に」は、アカデミー賞作品賞にノミネートされたイギリスのドラマ。「オズの魔法使」で主演し、一気に人気スターとなったミュージカル女優、ジュディ・ガーランド(1922~1969)が、亡くなる半年前の1968年冬に行われたロンドン公演に挑むまでの日々を描きます。ジュディを演じたレネー・ゼルウィガーは、下馬評通りアカデミー賞主演女優賞を受賞しました。「虹の彼方」は、もちろん「オズの魔法使」の作中歌でジュディの代表曲「虹の彼方に」によるものです。(この歌も懐かしいなー。) 韓国題は原題同様単に「주디(ジュディ)」。韓国での公式公開日は3月ですが、日本公開も3月6日です。

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