ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [7月26日(金)~7月28日(日)]

2019-07-30 23:56:36 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸<NAVER映画>の韓国ネチズンの評点について。例の<日本製品ボイコット>運動の関連です。韓国で24日公開の「名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)」(→コチラ)は、ネチズン927人の平均評点は5.67で、観覧客56人の平均評点は8.66。前者は10点をつけた人が40%で、1点の人が38%。後者は10点が66%で1点が2%です。実際にこの映画を観た人よりもはるかに大勢の人が「今! この時期に観なければならないものですか?」とか「わが国を笑って見ている日本が作った映画です」等々のコメントと共に1点をつけています。一方10点のコメントには「おもしろかった!」の他に「不買運動はなぜ罪もない漫画にまで。作家が右翼というわけでもないのに・・・」とか「不買運動が愛国であるかのように言う連中のためにも観なくては」というコメントもありました。
 また7日から公開されている「劇場版 おしりたんてい:カレーなる事件」(→コチラ)の場合は10点が26%で、1点は56%。千人を越えるネチズン中実際に観た人は1割もいません。しかしコチラにも「映画も観ないで評点テロ・・・ホントに水準低い」「現在の時代にもこんな文化弾圧があるとは・・・」といった少数派はいます。また「この配給会社は韓国の会社で、「スパイダーマンはソニーピクチャーズ・コリア(=日本の会社)だが、ソチラは不買しないでコチラだけとは(笑)」との指摘も・・・。
 こうした映画興行面でも表面化している不買運動ですが、この熱気(?)ははたして今後狂牛病騒ぎや朴槿恵退陣の時のように盛り上がるのかどうか? 私ヌルボは全然読めません。

▸27日(土)、先週お知らせした<夢見るコリア・アニメーション>を観にシネリーブル池袋に行って来ました。この映画館は初めて。ここは前から2列目だとほとんど見上げる感じ。画面が台形に見えます。イメージフォーラムとかもそうだったかな? で、「にわか雨」はやっぱりアン・ジェフン監督らしく、ヨン・サンホ監督作品もやっぱり彼らしい作品でした。チキンの出前を頼んだら配達人(ブタだが)についてきたのがニワトリで、姿焼き?フライドチキンになっちゃったわが子を前に涙ボロボロという短編「愛はタンパク質」には笑っちゃいました。(スミマセン・・・って監督の期待通り?)。

▸昨日(29日)はkino cinema横浜みなとみらいで「凪待ち」を観てきました。内容的に好みに合わないかなと思っていたのが、観た人たちの評価がけっこう高そうなので散策を兼ねて行って来ました。で、感想はやっぱり「自分の好みには合わない」です。主人公に共感する部分がほとんどなかったのが大きな理由。ただ香取慎吾は熱演で、他の俳優陣もよかったですが・・・。そういえば、同じ
白石和彌監督の「彼女がその名を知らない鳥たち」でも同じ感想だったな。「孤狼の血」と「止められるか、俺たちを」は内容的にもすごく良かったんだけどねー。・・・ふと「凶悪」にもリリー・フランキーが出てたな、ということをなんとなく思い出しました。

         ★★★ NAVERの人気順位(7月30日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(2) 星の庭園(韓国)  9.65(180)
②(1) 痛いほど愛する(韓国)  9.65(147)
③(4) アラジン  9.43(23,643)
④(6) 遠回りの道(韓国)  9.43(46)
⑤(-) 主戦場  9.39(210)
⑥(5) アベンジャーズ/エンドゲーム  9.39(67,983)
⑦(-) レッドシューズ(韓国)  9.35(1,499)
⑧(-) ポロロ劇場版 宝島大冒険(韓国)  9.28(2,400)
⑨(7) 教会のお兄さん(韓国)  9.27(1,480)
⑩(8) 劇場版 シャイニングスター
       :新しいルナクィーンの誕生!(韓国)  9.22(80)

 ⑤と⑦の2作品が新登場です。
 ⑤「主戦場」は、言うまでもなく慰安婦問題をめぐる論客たちの論戦を扱ったデザキ監督によるドキュメンタリー。日本では4月20日公開されています。韓国題は「주전장」です。
 ⑦「レッドシューズ」については後述します。原題は「주전장」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 寄生虫[パラサイト](韓国)  9.06(16)
②(2) 幸福なラザロ  8.40(5)
③(3) トイ・ストーリー4  8.09(11)
④(5) アベンジャーズ/エンドゲーム  7.62(13)
⑤(6) キム君(韓国)  7.57(7)
⑥(-) 主戦場  7.33(6)
⑦(7) チェ 28歳の革命  7.25(4)
⑧(8) ミッドソマー[夏至祭]  7.22(9)
⑨(9) アマンダと僕  7.00(5)
⑩(-) ポロロ劇場版 宝島大冒険(韓国)  7.00(3)
⑩(-) サポート・ザ・ガールズ  7.00(3)

 ⑥と⑩「サポート・ザ・ガールズ」(仮)が新登場です。
 ⑥「主戦場」については上述しました。
 ⑩「サポート・ザ・ガールズ」(仮)は、アメリカのコメディ。ダブル・ワーミーズは高速道路沿いにあるキャバクラ風スポーツバー。(と言われてもイメージわかないけど・・・。) リサ・コンロイ(レジーナ・ホール)は、その店で管理責任者を務めている女性。面倒見がよく、多くの人々に愛されていました。黒人をあからさまに侮蔑する店の経営者キュビー(ジェームズ・レグロス)やセクハラ客に悩ませられながらも、彼女は懸命に働いてきました。そんなある日、リサが店員のトラブルを解決するために店のお金を使用していたことがキュビーにバレてしまいます。キュビーは問答無用でリサを解雇しましたが、リサを慕う店員たちはそれに反発してストライキを画策します。その日は格闘技の試合当日で、スポーツバーにとっては格好の稼ぎ時でした・・・。韓国題は「그녀들을 도와줘(彼女たちを助けてあげて)」です。レジーナ・ホールは本作で昨年のニューヨーク映画批評家協会賞で主演女優賞を受賞しました。日本公開は未定のようです。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績7月26金)~7月28日) ★★★
           「ライオン・キング」が2週連続1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・ライオン・キング・・・・・・・・・・・・・7/17 ・・・・・・・・・837,448・・・・・・3,706,724・・・・・・・・33,233・・・・・・1,435
2(14)・・わが国の語音(韓国) ・・・・・・・・・7/24 ・・・・・・・・・470,599 ・・・・・・・755,729・・・・・・・・・6,338・・・・・・1,084
3(2)・・アラジン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・435,610・・・・・11,662,016・・・・・・・・99,572・・・・・・1,015
4(3)・・スパイダーマン・・・・・・・・・・・・・・7/02 ・・・・・・・・・198,153・・・・・・7,872,688・・・・・・・・67,803 ・・・・・・・688
       ファー・フロム・ホーム
5(新)・・レッドシューズ(韓国)・・・・・・・・7/25 ・・・・・・・・・171,631・・・・・・・209,754・・・・・・・・・1,698 ・・・・・・・717
6(21)・・名探偵コナン・・・・・・・・・・・・・・・7/24 ・・・・・・・・・・83,679 ・・・・・・・167,765・・・・・・・・・1,347 ・・・・・・・576
       紺青の拳(こんじょうのフィスト)(日本)
7(8)・・ロング・ショット・・・・・・・・・・・・・7/24 ・・・・・・・・・・72,199 ・・・・・・・142,786・・・・・・・・・1,279・・・・・・・・454
8(4)・・トイ・ストーリー4・・・・・・・・・・・・6/20 ・・・・・・・・・・33,814・・・・・33,355,812・・・・・・・・28,419・・・・・・・・199
9(5)・・寄生虫[パラサイト](韓国) ・・・・・5/30 ・・・・・・・・・・18,084・・・・・10,042,253・・・・・・・・85,524・・・・・・・・・99
10(11)・・天路歴程(韓国)・・・・・・・・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・・・8,033 ・・・・・・・283,934・・・・・・・・・2,121・・・・・・・・・43
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は2・5・6位の3作品です。
 2位「わが国の語音」は、韓国の歴史ドラマ。文字と知識を権力がに独占していた時代。すべての臣下たちの反対を押し切って、訓民正音を創製した世宗の最後の8年間。国の最も高貴な国王世宗(ソン・ガンホ)と最も卑しい身分の僧侶の信眉[シンミ](パク・ヘイル)が出会って、民のために国の文字を作り始めます。誰もが知っているが、誰も知らないハングル創製の隠された物語です・・・。原題は「나랏말싸미」です。人気俳優の出演で前評判も高かったはずのこの作品、ネチズンの平均評点の3.65という低さにビックリ! 観覧客の平均は7.59なのですが・・・。ハングルで検索すると、韓国ではこの映画に対して<歴史歪曲>との非難の声が高まっているようですね。信眉大師は実在の人物ですが、彼が世宗のハングル創製を助けたという説は在野史学にもないとのこと。冒頭「この映画は「訓民正音」の多様な創製説の1つを映画的に再構成しました」という字幕で始まりますが、事実は「多様な創製説の1つ」でさえないとか。・・・ということは→<ナムウィキ>で読みましたが、信眉が世宗に対して礼を欠いている等々他にもいろんな批判があるようです。すでに日本等々外国での公開も決まっているが誤解されそうで心配だ、との声も・・・。
 5位「レッドシューズ」は、韓国のアニメ。事件や事故が後を絶たない童話の島。消えたお父さんを探していたホワイト王国の王女は偶然みつけた魔法の靴を履いて、今までとは全然違う<レッドシューズ>に生まれ変わります。一方、緑の小人になってしまった7人の王子たちは<レッドシューズ>が自分たちにかけられた呪いを解く唯一の希望だと考えて彼女を助けることにします。一方、永遠の美しさを夢見る王妃レジーナは 魔法の靴を履いて城を抜け出した<レッドシューズ>を追い始めます・・・。え、クロエ・グレース・モレッツが声の出演してる!? 原題は「레드슈즈」です。
 6位「名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)」は、日本では今年4月公開。私ヌルボは例によって観てないので語る資格ナシ。<NAVER映画>の韓国ネチズンの評点については記事冒頭に書きました。韓国題は「명탐정 코난: 감청의 권」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・天路歴程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・8,033 ・・・・・・・283,934・・・・・・・・2,121 ・・・・・・・・・・43
2(13)・・主戦場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/25 ・・・・・・・・・3,987 ・・・・・・・・・6,896 ・・・・・・・・・・55 ・・・・・・・・・・54
3(-)・・ぼくを探しに ・・・・・・・・・・・・・2014/7/24・・・・・・・・・・3,136 ・・・・・・・148,965・・・・・・・・1,169 ・・・・・・・・・・32
4(5)・・私は、マリア・カラス・・・・・・・・・・・・7/11 ・・・・・・・・・2,250 ・・・・・・・・15,460 ・・・・・・・・・114・・・・・・・・・・・20
5(2)・・クローゼットに閉じこめられた・・7/18 ・・・・・・・・・1,519 ・・・・・・・・12,759 ・・・・・・・・・105・・・・・・・・・・・28
       僕の奇想天外な旅

 2・3位の2作品が新登場です。
 3位「ぼくを探しに」は、フランスのドラマ。日本では2014年8月に公開されています。韓国題は「마담 프루스트의 비밀정원(マダム・プルーストの秘密庭園)」です。


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1 コメント

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コナン映画 (yab)
2019-08-03 21:53:12
昨今の日韓情勢を受けて、「韓国は「敵」なのか」の共同声明のサイトがネット上で取り上げられてますね。(https://peace3appeal.jimdo.com/
賛同人の名を連ねる人やその内容には興味深いと思いましたが、これまた右から左の両方向からまた批判が起こってますね。
アジア女性基金の時と似たような現象といってもいいのでしょうか?
若者の僕の立場としては、
嫌韓の立場には共感できず、その面々の出しゃばりぶりにうんざりしますが、
植民地支配の贖罪意識の左派の立場もそんなにのめり込めないなんていう、微妙な立場でいます(これはこれで軟弱過ぎ?)。

ところで、また韓国の話とは逸れまして、今回はコナンの話です。
最近の劇場版だけ見ると、「右翼的」というのも否定はできないかもしれないからです。

前置きしておきますが、結構ネタバレしちゃいます。
まず一つは、2013年公開の自衛艦が舞台の「絶海の探偵」。
https://movies.yahoo.co.jp/movie/344381/

劇中に旭日旗が出たということで、これはある種定番?みたいになっていますかね。
https://news.livedoor.com/article/detail/8168587/

その他には「自衛隊協力映画」という本に、
自衛隊の協力の下製作された映画の中の一つとして上げられてました。(以前ヌルボさんの記事でもこの著者を取り上げてましたね)
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b122874.html
大分前に読んだ本なのでうろ覚えですが、「絶海」の登場人物の心情とナショナリズムをつなげている点を指摘されていました。

映画の内容はコナン達一行が自衛艦の観覧ツアーに参加し、そこでスパイの潜入騒動と殺人事件が展開されていくのですが、
そのスパイのモデルが「かの国」をイメージされており、確かにこれだけ見れば反共(!?)映画と見なすことはできるかもしれません。
ただ、スパイ騒動については物語の前段に過ぎなかったのですが…。

もう一つは去年公開の「ゼロの執行人」。
https://movies.yahoo.co.jp/movie/362613/

公安警察の登場人物がメインの「テロとの戦い」を繰り広げるストーリーです。
コナンとしても邦画としても大ヒットの記録を残した作品ですが、こんな批判の記事もあります。(この記事の内容自体結論ありき的ではあります)
https://lite-ra.com/2018/08/post-4202.html

一番問題だと思ったのは、
先述の記事にもあるように、
クライマックスシーンでのその公安警察の人物が愛国心をドストレートに述べるシーンの
「僕の恋人は、この国さ」。
このセリフは映画の名言としてファンの間で有名なのですが、
そのシーンを観た時、昔慣れ親しんでいた少年漫画のコナンで、こんなファッショナブルなナショナリズムに走るのかと、残念な気持ちになりました。
こうした意見も絶賛の評価の中に埋もれてしまっている気もしますが…。

シン・ゴジラの影響もあって、日本ではナショナリズムのエンタメ化が進んでいるのかなと。
そこで思い出されるのは、
こうしたナショナリズムのエンタメ化に警鐘を鳴らしている佐藤浩市さんのインタビューです。
https://www.asahi.com/articles/ASJ3R4S9ZJ3RUPQJ00W.html
最近インタビューの発言がぼや騒ぎ?を起こしていましたが、その炎上ぶりはまさに記事での危惧したことが起こってしまっているのではという感じもします。

佐藤浩市さんの主演作の「KT」を最近観たんですが、70年代のリアリティを感じ、この日本でこんな事が起きたのか?と、一体これは何なのかと疑問がひたすら頭の中を駆けめぐり、衝撃を受けた作品です。

ちなみに、三國連太郎、佐藤浩市、寛一郎と三代揃って、韓国(朝鮮)とつながりのある映画に出てますね。割とどれも印象に残る作品だったかなと。
何か縁があるのでしょうか。
三國連太郎さんを取り上げたヌルボさんの記事は興味深く拝見させていただきました。
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