ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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北朝鮮に関心を持つ人の必読書! 国分隼人「北朝鮮の鉄道事情」(新人物文庫)

2012-01-07 23:57:11 | 北朝鮮のもろもろ
        

 4ヵ月近くツンドクになっていた国分隼人「北朝鮮の鉄道事情」(新人物文庫)をイッキ読み!

 結論を先に書いておきます。決して鉄道マニアのためたけの本ではありません。北朝鮮の社会・政治に関心のある人、これは必読書です。

 2007年刊の「将軍様の鉄道 北朝鮮の鉄道事情」(新潮社)を改題し、新編集をして11年8月に刊行された本です。

 この本は、北朝鮮の鉄道にとことん絞って、車両や路線、鉄道の歴史等々、いかにもマニアらしくつぶさに調べ上げていますが、まさにそのことによって、北朝鮮の社会全体が相当程度見通せるのではないかと思います。
 
 今回の記事では、私ヌルボがとくに関心を持った点について列挙します。

①北朝鮮の鉄道は遅い!
 中朝国境(丹東)から平壌までの225㎞に5時間もかかる。戦前の蒸気機関車の時代には4時間15分だったから、退化しているのです。その理由は、補修作業が行き届かないため。バラストが間引かれ、腐食した枕木も多く、脱線のおそれがある。早い列車で時速40㎞、地方路線では20~30㎞、山岳地帯では15㎞がやっと。また自動信号化率はわずか1%。日本では骨董品ともいえる腕木式信号機やタブレット交換等、手動で安全確認が行われているとか。

②時刻表は機密文書!
 北朝鮮では時刻表はあるものの、ふつう必要とされない、というのはよくわかります。しかし「国外持ち出し禁止品目に指定されているため、海外からの旅行者は購入すらできない」とは!
 それでも「北朝鮮からの行商人によって持ち出され、中国国内の闇市場で高値で取引されることもある」そうで・・・。
 本書の「おわりに」によると、著者は「藁半紙に印刷された粗末な北朝鮮の時刻表」を「ふとしたことで手に入れた」そうです。本書に(小さくて見づらいですが)そのページの一部と路線図のコピーが載せられています。

③「1号列車」(将軍特別専用列車)の運行のものものしさ!
 防弾防爆のため床部に鉄板を入れ、窓ガラスは電動で上下する防弾二重窓。装備はテーブルやソファ等はもちろん、映画やテレビの観賞用に大型スクリーンが2つあるとかパソコンが設置されているとか・・・。また3台のベンツを格納する車載車もあるとか。
 しかし、この金正日を載せた1号列車の運行自体が一大行事。ダイヤの変更だの、安全を期しての先発列車と後発列車の運転、沿線には50mおきに兵士や鉄道員を立たせる。金正日が降り立つ時には真っ先に狙撃兵が降り立つ等々。
 さらに大変なのは沿線の住民。以前金日成が中国に行く時は、「線路周辺のあらゆるものを磨き、ペンキを塗り、掃除をして装飾をする」とある駅員の証言。その平壌~新義州の沿線は外国人の目にもふれるので、倒れそうな家や建物はなく、観賞用にごまかすために建てた家や建物があるのみだそうです。
 おおよそは「さもありなん」という感想のヌルボも呆れたのは、「学生までも動員して、線路と道路横の石ころを並べて五色模様で塗り、線路周辺の草は全部抜かなければならない」というくだり。まさにホンマカイナ!?という感じです。

④一般国民が鉄道に乗るのは一苦労、どころではない!
 私ヌルボが北朝鮮に行った時も、荷台に人々を満載したトラックを目にしました。しかし、本書によると「都市間バスは存在せず、乗り合いトラックは料金が高額なため、国内の中長距離移動は鉄道に頼らざるを得ない」し、「平壌へ向かうには鉄道が唯一の移動手段」なのだそうです。ところが、この鉄道旅行というのが並大抵の大変さではないのです。その<関門>を順序通りに書きます。
 (1)公民証(住民登録証)
 (2)役所発行の通行証
 (3)切符・・・座席数が限られ、高価で購入困難。賄賂が必要。一般人民が乗れる一般座席者には窓ガラスのない車両もある。
 (4)食料と飲料・・・列車の遅れが多く、途中で飢える危険性もある(!)
 (5)客車内には切符や通行証等をチェックする<列車安全員>、実弾を込めた銃を携帯する<列車保安員>がいる。
 (6)平壌に入るには特別な承認番号が必要。警務取締官が乗り込み検査をするため、平壌駅に到着するまで相当数が強制的に降ろされる。
 (7)改札を出る際のチェック・・・公民証や通行証等のチェックのため確認口に並ばされて出るまでに30分以上かかる。通行証は保管される。

⑤報道されない大事故!
 本書中の<北朝鮮鉄道事故史>には1970年代から2006年まで13の大事故がリストアップされています。1996年12月の慈江道熙川郡で、屋根まで人を乗せたため過積載で制動が利かなくなった12両の列車が断崖から天せくして2千~6千人死傷した事故、2004年4月22日龍川駅で貨物列車が爆発し、周辺住民3千人以上が死傷した事故(これは金正日を乗せた列車が狙われたのでは?と伝えられましたね)、06年4月23日に咸鏡南道浮来山駅付近で急行列車と貨物列車が正面衝突し、千人以上が死亡した事故等々。・・・しかし、事故や犯罪が報道されない国なのに、どこから情報を得たのでしょうね?

⑥金正日専用の鉄道駅をグーグルアースで確認!
 平壌中心部から車で北へ15分の所に<22号招待所>、すなわち金正日の専用施設があり、そして専用の鉄道駅があります。
 本書によると、その駅とアクセス線の存在はこれまで噂レベルの話でしかなかったとのこと。しかしそれが「近年、「グーグルアース」によって確認できてしまった」そうです。
 その位置(北緯39゚0638.19東経125゚4721.02)も書かれているので、ヌルボもさっそく見てみました。たしかに駅舎とプラットフォームが確認できます。しかし、よくこれがその駅だとわかるものです。

  
    【本書にあるように、敷地の北側には機関車庫や転車台(上部右の小さな円形の所)もあります。】

⑦3つの鉄道博物館に展示されている歴史的機関車!
 平壌駅近くの<鉄道省革命事績館>には、日本の統治期の伝説の存在とされる、今は廃された金剛山電気鉄道の電車が美しく整備され展示されているとか。
 平壌市北方の100haという広大な<三大革命展示館>中の重工業館の外部には現代の鉄道車両が並んでいるとのこと。また同じく平壌市内にある<地下鉄革命事績館>には、韓国より早く1973年に開設した地下鉄の1号車がガラスケース内に収められていて「一見の価値はある」と書いてあるからには著者は見たのでしょうね。

⑧外国製の機関車もすべて自国製とプロパガンダ!
 1961年に北朝鮮最初の本線法電気機関車<赤旗1型>誕生。北朝鮮製造と報じていたが実はチェコスロバキア製。1960年代末に登場して今も現役の内燃機関車(ディーゼル機関車)<新星>(実はソ連製)も、70年代の地下鉄(実は中国製)も、80年代の路面電車(実はチェコスロバキア製)も、すべて自国製とされているそうです。

⑨大きな謎は著者その人!
 上記以外に、本書にはまだまだ詳細な情報がいっぱい。外国人が北朝鮮に行っても自由な取材が困難な国で、どのようにしてこんな内容の本が書けたのか、驚きとともに疑問もわいてきます。先に出た「将軍様の鉄道 北朝鮮の鉄道事情」ではSLの運転室の映像まで収録したDVDまで付録についていたとか! 誰がどのように撮ったのか? また時刻表は一体どこでどうして入手したのでしょうね?
 国分隼人さんはトラベルライターとなってますが他の著作もないし、名前自体鹿児島県にある2つの隣接した駅名を合わせたもの。イラストの国分錦江の錦江も同じ鹿児島県の駅名です。つまり、どう見ても偽名(というかペンネームというか・・・)ですね。
 北朝鮮にとってはおそらく書かれるとまずいような内容の本なので実名を避けたのかな?
 すると誰が書いたか?ということについて、ヌルボなりの推定はないこともないですが、確証のないことは書くべきではないと思われるので書きません。

 オマケの話。
 私ヌルボが北朝鮮に行った1991年当時の板門店ツアーは平壌~開城は鉄道で行ったのですが、本書によると1992年4月に高速道路が水通したため、海外旅行者の移動は自動車に転換されたということです。あの古~い中国製?客車に乗ったのは、思えば貴重な体験でした。
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2011年の韓国を代表する本は? (2)教保文庫の<2011年今年の本>を見る

2012-01-05 23:57:16 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
  YES24の<第9回ネチズン選定、今年の本2011>に続いて、教保文庫の2011年今年の本を見てみます。参考サイトは→コチラ
 これまでは読者の人気投票で決めていましたが、今回は社会各界の専門家56人が 2011年の主要な流れを把握できる図書10種を選定しました。YES24と意図的に差別化をはかったのでしょうか?
 つまり、YES24が多くの人によく読まれた本=ベストセラーの順位とほとんど重なるのに対して、教保文庫の方は日本でいえば新聞の読書欄担当者が挙げる<今年の本>ですね。

①バーバラ・エーレンライク「ポジティブ病の国、アメリカ」(韓国題「긍정의 배신(肯定の背信)」
②シム・ボソン「目の前にいない人々(눈앞에 없는 사람)」
③金愛爛(キム・エラン)「ドキドキ私の人生(두근두근 내 인생)」
④ムン・ヨンミ「ディファレント(디퍼런트)」
⑤クレイ・シャーキー「多くなれば違ってくる(많아지면 달라진다)」(原題「Cognitive Surplus(認知余剰)」)
⑥ニコラス・カー「ネット・バカ~インターネットが私たちの脳にしていること」(韓国題「생각하지 않는 사람들.考えない人たち)
⑦ウォルター・アイザックソン「ステイーブ・ジョブズ」
⑧ニーアル・ファーガソン「Civilization: The West and the Rest(文明:西洋とその他の国(シビライゼイション)」
⑨野間秀樹「ハングルの誕生」
⑩鄭裕靜(チョン・ユジョン)「7年の夜(7년의 밤)」
 
※①~⑩の数字は元の記事にはありません。便宜上つけました。


            
  【ベスト10にあげられた野間秀樹「ハングルの誕生」韓国版。帯には「ハングルは世界文字史の奇跡だ」とあります。】

 YES24と重なっているのは⑦の1つだけ。昨年の教保文庫の<今年の本>が上位7位中3点まで重なっていたのと比べると大きな違いです。
 それぞれの本について、簡単に紹介します。

 ①「ポジティブ病の国、アメリカ」は、日本では2010年刊行。自身の乳癌体験を契機に、いかにもアメリカらしい「ポジディブ・シンキング」について批判的に考察したジャーナリストの著作。大病に対しても「乳癌になったからこそ感謝と愛を知ることができた」等のポジティブな反応がよしとされ、不安や弱音をもらすことは許されない雰囲気。ポジティブ思考で病気が治ると主張する疑似科学も生まれ、ビジネス本出版や企業向けの講演で利益を上げる一つの産業ともなり、一部のキリスト教のセクトとも結びついて宗教化・イデオロギー化する。そんなポジティブ・シンキングは搾取・抑圧の道具と化す。失業や貧困、さらに病気や天災までもが当人の怠慢とネガティブ思考のせいにされて、社会的弱者や貧困国を切り捨てる根拠になる。・・・たしかに今の日本でも、わりを食ってる若年層に、その理由を自分の努力や能力の不足に帰する人が多くいるそうですが、たしかにそういう思考法に知らないうちに導かれてしまっているようです。
 ②の「目の前にいない人々」は、「読者の愛と文壇の注目を浴びてきた」詩人の第二詩集。タイトルは「不在の恋人」のことだそうですが・・・。
 ③の金愛爛は1980年生まれの女性作家。昨年(2011年)4月21日の記事で少しふれたように、「毎日新聞」連載の「新世紀 世界文学ナビ」韓国編できむふなさんが最初に紹介した作家です。小説集「달려라,아비(走れ、父さん)」で韓国日報文学賞、今日の若い芸術家賞、申東曄創作賞、李孝石文学賞、金裕貞文学賞、若い作家賞などを受賞した韓国文壇の次世代作家です。この作品は、青春の愛を描いた彼女の初の長編小説。17歳で妊娠して子供持った若い親と早老症を持って生まれて来た子供、一番幼い親と一番老けた子の青春と愛、そして希望の物語。・・・とほとんど高麗書林の紹介文そのまま。リンクを張ったので許して下さい。
※「달려라,아비」は読んだなー。それから昨年(2011年)6月17日の記事で紹介したように、文芸誌「新潮」2010年6月号に「水の中のゴライアス」という作品が掲載されています。
 ④の「ディファレント」は、ハーバード経営大学院学生たちが選んだ<最高の教授賞>を受賞したムン・ヨンミ教授による経営戦略の本。キャッチ・コピーは「人と同じ戦略では生き残れない!」。スターバックスとマクドナルドが似てくる理由は?等々、競争が熾烈になる中で、すべての企業が全く同じになっている。そんな「同一」が支配する世の中でアイディア・ブランドはいかにマネージすべきか?
 ⑤は、日本では未訳。今までテレビに使っていた思考の余剰を、インターネットに使うことで、ウィキペディアなどの媒体を作るのに貢献できる、とのこと。デジタル技術と個々人の余暇が数10億人を連結した結果、人類は遙かに賢くなっているというのですが・・・。
 ⑥、ニコラス・カーの「ネット・バカ」は日本では2010年刊行。⑤の本とは正反対に、ネットから情報を得てばかりいると、注意力が散漫になって長文の読解能力が衰え、ものごとを深く考えることができなくなり、長期記憶力も衰えるため個々の知識量も減っていくんだって!? 私ヌルボ、ネット利用以前からそんな症状は発現していたような・・・。
 ⑦については省略します。
 ⑧ハーバード大教授の歴史学者ニーアル・ファーガソンの著作は、日本でも「憎悪の世紀」や「マネーの進化史」が刊行されていますが、この本は未訳。東洋に遅れをとっていた西洋文明がどのように追いつき追い越すことになったのか、600年間の世界史を競争、科学、財産権、医学、消費、職業の6つのキーワードを通じてたどって「文明進歩の秘密」を明らかにし、さらには現代の政治経済まで眺望する・・・。「憎悪の時代」のような、多くの興味深い史実が満載(巨視的にはイマイチ?)の本なのかな?
 ⑨、野間秀樹先生の「ハングルの誕生」については、本ブログ2010年6月2日の記事でも少しふれました。その後第22回アジア・太平洋賞の大賞を受賞したのも順当なところです。そして韓国では昨2011年10月に翻訳書が刊行。好評をもって迎えられています。ある読者は「日本人が書いたということに対して偏見の目をもたないこと」と前置きして、「ハングルが持っている言語史的・音素的・歴史的・構成的な要素等の多様な部分を深くて理解しやすく語っていて、教科書にもなるほど」と評価し、また別の読者は涙まで流し、「韓国人であれば必読書中の必読書」「野間秀樹教授はハングルの柳宗悦のようだ」と絶賛して野間先生に謝意を表しています。
 ⑩、innolifeの記事によると、「チョン・ユジョン(45)、キム・エラン(31)という20万部に迫る新人小説家が登場し、ベストセラー作家の世代交代がされている」とのことです。チョン・ユジョンの作品は、デビュー作「私の人生のスプリングキャンプ」も第2作の2009年の世界文学賞受賞作「私の心臓を撃て」も、そしてこの第3作も映画化が進められているとか。サスペンスの要素を備えた視覚的な文体に映画会社が注目したようです。彼女の小説は、どうも純文学というより<ジャンル小説>と見られているところもありそうです。この作品の梗概は次の通り。「7年前偶発的に幼い少女を殺害した殺人犯の息子は、父親の死刑執行の消息を聞いて7年前のその日の夜に誘われる。一方、小説の中の小説では、7年前偶発的に幼い少女を殺害した後罪悪感で狂っていく男と、加害者(とその息子)に復讐を敢行する被害者少女の父親との息詰まる対決が繰り広げられる・・・。」

 実は、冒頭には書きませんでしたが、教保文庫はこれまで通り「毎日経済新聞」との共催で<2011 BEST BOOK50>というのもやっていて、ソチラではベストセラー本も多く入っています。(YES24<今年の本2011>の①~⑥もリスト中にあります。) これについては、面倒なので(!)書きませんが、その50点の中に日本人の著作が6つありましたので、それだけ紹介しておきます。
○村上春樹「雑文集」 
○塩野七生「十字軍物語(십자군 이야기)」
○野間秀樹「ハングルの誕生」
○小池龍之介「考えない練習(생각 버리기 연습)」

 ・・・この本については、本ブログ2011年7月31日の記事でふれました。
○稲盛和夫「稲盛和夫のガキの自叙伝」(韓国題「좌절하지 않는 한 꿈은 이루어진다.挫折しないかぎり夢は達成される」)
 ・・・ウィキ(稲盛和夫)によれば、朝子夫人は禹長春の四女とのことです。
○エアーダイブ「義男の空(요시오의 하늘)」 
 ・・・12月12日に刊行したばかりの本ですが、主催の「毎日経済新聞」で発行して書評を載せて、<今年の本>にまで入れるというのはお手盛りもいいところ。しかし多くの人が感動したという感想を寄せていて、その点については非難する理由はありません。この本をご存知ない方は→コチラで。

 ところで、「東亜日報」も独自に<2011今年の本10>を選定しました。同紙で提示した150冊の中から各界の専門家などによる選定委員と同紙出版チームの論議を経て10冊を選んだものですが、10冊中6冊は上述のYES24または教保文庫のベスト10と重なっているし、もう字数も一杯なので、興味のある方はリンク先をご覧ください、ということにしておしまいにします。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績[12月27日(金)~1月1日(日)]

2012-01-03 22:37:42 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 <★2011年 ヌルボの個人的映画ベスト10>(12月31日の記事)を選定するにあたり、参考としていくつもの(30くらいかな?)ブログを見てみました。毎年のことですが、皆さんテンデンバラバラ。私ヌルボと3作品重なっていたら相当に趣味が合う人といってよさそう。「テザ 慟哭の大地」「彼とわたしの漂流日記」「牛と一緒に7泊8日」以外は一般的な作品が並んでいると思うんですけどねー。

 それぞれのベスト10については、観客動員数のベスト10とあまり変わらないようなものであるか否かで大別されると思いました。ヌルボはどちらかというと後者。しかし、以前ある集まりで「アメリカの娯楽大作は観たあと心に何も残らない」と批判めいたことを言ったら、「私たちはいっときスカッと楽しめればいいんです」という言葉が返ってきて、なるほどそれもありかも、とナットクしたことがありました。話題作しか観ない人を貶める理由はありません。また、多くの人が低い評価しかつけない作品に感動したという人に対しても同様です。(それでも名作・駄作の基準はあると思いますが・・・。)

 ・・・ということで、韓国映画についても、観客動員数だけを指標にするのは見方が一面的になると思って本ブログではDAUMの評点についても載せてきました。

 ところが最近、毎週見ているKOFIC(韓国映画振興委員会)の興行成績の2ページ目、とくに下位の韓国映画に注目したり、<INDIESTORY>というサイト(韓国語)中の「映画上映情報」でインディーズ系の映画の情報を仕入れたりもするようになると、まだ韓国映画の全貌を見るには網の目が粗かったなあ、ということに思い至りました。
 さらに<コネスト>中の「ソウルの映画館」の記事で紹介されている各映画館のラインナップをたまに見たりすると、とくにCINE CODEソンジェハイパーテック・ナダ創造マダン等の映画館は、もしヌルボがソウル在住であれば、ちょくちょく足を向けるような気がします。
 そんなマイナーな映画の中から3作品だけ紹介。どれもYouTubeに予告編がありましたので、リンク先を見てみて下さい。
 A.「古い人力車(오래된 인력거)」
 B.「羊が1匹、羊が2匹(양 한 마리, 양 두 마리)」
 C.「水のない海(물 없는 바다)」
 ・・・Aは先々週の記事で紹介しました。
 ・・・Bは、長い間連絡が途絶えていた中学校の同級生(ともに女子)がおとなになって再会すると1人は大企業秘書で、もう1人は非正規職それも解雇された労働者だ 彼女たちは中学校の頃を回想してうれしがる。しかし思い出を語る時は楽しくても現実に戻ればどこかズレが・・・。友情の行方ははたして? この映画については、すでに2年前SARUさんが2009年釜山映画祭で観たということで<韓国映画掲示板>に書いていらっしゃいました。
 ・・・C、無意識に悪口を口にしてしまう障害を持った青年ドンスは、週2回アルバイトで生活用品をエリという女性の家に届けるが、彼女は妹の死に対する罪意識から引きこもりになっている。そんな2人の出会いはどう展開するか・・・。
 こういう映画は日本で公開されることはないのかなあ? 今年韓国に行った時に観に行ってみるか・・・。

         ★★★ Daumの人気順位(1月3日現在上映中映画) ★★★

【ネチズンによる順位】

①古い人力車(韓国)  9.6(37)
②猫おどり(韓国)  9.5(52)
③オペラ座の怪人 25周年特別公演  9.5(52)
④白いジャングル(韓国)  9.4(30)
⑤私の選択 – 忘れられたカバン その終わらない物語(韓国)  9.3(29)
⑥ナデルとシミン  9.2(31)
⑦ワンドゥギ(韓国)  9.2(1965)
⑧願い(グザーリシュ)  9.0(212)
⑨ライオン・キング 3D  9.0(106)
⑩パーフェクト・ゲーム(韓国)  9.0(737)

 新登場は⑨だけ。日本でも公開されているので、説明は省略。。

【専門家による順位】

①ナデルとシミン  8.0(8)
①ドライブ  8.0(8)
③紫(韓国)  8.0(2)
④古い人力車(韓国)  8.0(1)
⑤奇跡(日本)  7.8(6)
⑥ミッション・インポッシブル  7.6(5)
      ゴースト・プロコトル
⑦ツリー・オブ・ライフ  7.2(10)
⑧豚の王(韓国)  7.0(5)
⑨ル・アーヴル  7.0(4)
⑩人生はビギナーズ  7.0(3)

 今回は新登場はなし。⑨⑩は再登場です。

   ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[12月30日(金)~1月1日(日)] ★★★

         「ミッション・インポッシブル」が3週連続トップ

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・封切り日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・上映館数
1・・ミッション・インポッシブル・・・・12/15 ・・・・・・・・1,013,756・・・・・・・・・・5,386,883・・・・・・・・807
     ゴースト・プロコトル
2・・シャーロック・ホームズ・・・・・・12/21 ・・・・・・・・・・448,315 ・・・・・・・・・1,432,135・・・・・・・・・410
       シャドウ ゲーム
3・・マイウェイ 12,000キロの真実(韓)・・12/21・・・・・416,676・・・・・・・・・・1,735,635・・・・・・・・・746
4・・パーフェクト・ゲーム(韓)・・・・・12/21 ・・・・・・・・・・238,197・・・・・・・・・・・・890,267・・・・・・・・・504
5・・フレンズ もののけ島のナキ(日)・・12/29・・・・・・・166,354・・・・・・・・・・・・203,125・・・・・・・・・381
6・・ぞっとする恋愛(韓)・・・・・・・・・12/01 ・・・・・・・・・・147,206 ・・・・・・・・・・2,819,415・・・・・・・・・326
7・・ライオン・キング 3D・・・・・・・・・12/29 ・・・・・・・・・・139,181・・・・・・・・・・・・170,965・・・・・・・・・279
8・・劇場版ポケットモンスター・・・・12/22・・・・・・・・・・・75,750・・・・・・・・・・・・285,509・・・・・・・・・240
     ベストウイッシュ キュレムVS聖剣士「ビクティ二と白き英雄 レシラム」(日)
9・・アルビンとスーパーバンド3・・12/15 ・・・・・・・・・・・61,473・・・・・・・・・・・・516,732・・・・・・・・・227
10・・劇場版ポケットモンスター・・・12/22・・・・・・・・・・・57,113・・・・・・・・・・・・234,721・・・・・・・・・222
     ベストウイッシュ キュレムVS聖剣士ビクティ二と黒き英雄 ゼクロム」(日)
                                      ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。

 「ミッション・インポッシブル」が3週目もダントツでトップ。
 新登場は、5位と7位の2作品ですが、どちらも日本では既知のものなので新味はありません。
「フレンズ もののけ島のナキ」の韓国題は「프렌즈:몬스터섬의 비밀(モンスター島の秘密)」。最初見た時「?」と思いました。しかし日本公開が12月17日だから、韓国公開がずいぶん早いですね。ヌルボは未見ですか、日本でも好評のようで、「ナキました~!!」等のコメントも。
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2011年の韓国を代表する本は? (1)YES24の<今年の本2011>を見る

2012-01-02 23:59:25 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 韓国最大のインターネット書店YES24が年末に実施した第9回ネチズン選定、今年の本2011の結果から、2011年に韓国ではどんな本が読まれたか見てみます。
※参考記事は →コチラコチラ

 あらかじめ提示された5つの分野、120冊の候補の中からインターネットで投票するという形式で、今回はの88,581人が参加。前年の97,556人から9千人も減ったのは、韓国でも読書人口が減っているからなのでしょうか?

 総合ベストテンは次のとおりです。

①キム・オジュン「黙って政治(닥치고 정치) -キム・オジュンの明朗市民政治教本」(36,054票)
②ウォルター・アイザックソン「ステイーブ・ジョブズ」(33,872票)
③金蘭都(キム・ナンド)「苦しいから青春だ(아프니까 청춘이다)」(29,918票)
④朴慶哲(パク・キョンチョル)「田舎医者朴慶哲の自己革命」(19,626票)
⑤文在寅(ムン・ジェイン)「文在寅の運命」(14,956票)
⑥兪弘濬(ユ・ホンジュン)「私の文化遺産踏査記 6」(12,347票)
⑦キム・ジェドン「キム・ジェドンが会いに行きます」(11,769票)
⑧チャン・ハジュン「世界経済を破綻させる23の嘘」(11,604票)
⑨金辰明「高句麗(1)」(11,262票)
⑩キム・ヨンミン「「私はコムスだ」裏話:あなたもコムスPDになれる」 


 ①、キム・オジュンは李明博政権批判の立場で若年層の支持を集めるインターネットラジオ放送「ナヌン コムスダ(私は小ざかしい)」(略称ナコムス)の司会で「タンジ日報」(←アンチ「朝鮮日報」系のパロディーオンライン新聞)の総帥。朴槿惠など多くの政治家たちを辛辣かつ滑稽に批評しながらも、私たちがなぜ政治に関心を持たなければならないのかについて回答を与えてくれる、ということです。(具体的にどの政党や政治家を推す、というものではありません。)
 ②、ジョブズへの関心の高さは韓国でも同じ。
 ③、金蘭都ソウル大教授は、学生が直接評価する「ソウル大学の優秀講義」に選ばれるなど<ソウル大学のマイケル・サンデル教授>ともよばれているとか。
 ④、4月27日の記事「韓国人が一番会いたい作家」にも出てきた朴慶哲氏の「田舎医師の金持ち経済学」はベストセラーになりました。この本では人生について若者向けに書いています。
 ⑤の著者は盧武鉉政権で大統領秘書室長を担当し、現在は盧武鉉財団理事長という<永遠の盧武鉉の友人>。最近は、民主党を中心とする野党圏大統合だけが唯一の大統領選挙勝利方案だと述べています。そんな彼、文在寅の自伝。
 ⑥、1991年の第1巻刊行以来全国的な踏査ブームを起こしたミリオンセラー(220万部)「私の文化遺産踏査記」の10年ぶりの新刊。著者兪弘濬氏はその間2004~08年には文化財庁長を務め、現在は明知大学美術史学科教授。この新刊ではソウルの景福宮や光化門とそれにまつわる話、古都扶余での百済美術等を探訪しています。
※安保上の理由で1960年代から立入禁止区域だった北岳山と粛靖門が開放された。また景福宮の慶会楼の中にも入れるようになり、景福宮の北門にあたる神武門が一般開放されたのは、文化庁長だった兪弘濬さんの功績だそうです。
 ⑦は、<国民的MC>キム・ジェドン氏がいろんな人に会いに行くのですが、その相手が実に多様。小説家李外秀(イ・ウェス)、オリンピック・サッカー代表監督洪明甫、少女時代のスヨン、民労党の李正姬代表、女優コ・ヒョンジョン、その他政治家・野球選手・詩人・歌手・映画監督・済州島の海女等々計25人。これは私ヌルボ、ぜひ読まなくっちゃ・・・。
 ⑧、新自由主義を批判する経済学者。実はこの本、今読んでます。わかりやすく、うなづきながら読んでいます。オススメ!
 ⑨、あの反日小説「ムクゲの花が咲きました」の著者金辰明氏、この本では矛先を中国に向けました。東北工程以降高句麗はウチらのナワバリとの声を強めている中国に立ち向かいます。どこまでも愛国心旺盛で、御苦労様なことです。
 ⑩、時事評論家キム・ヨンミンも上記の「私はコムスだ」でキム・オジュン氏等とともに司会を担当している人。この投票結果は、やっぱり反李明博政権の若年層ネチズンの性向が反映しているのかな?

 各分野別のトップは次のとおりです。
[文学] キム・ナンド「苦しいから青春だ」
[人文/教養] キム・オジュン「黙って政治 -キム・オジュンの明朗市民政治教本」
[ビジネス/自己管理] ウォルター・アイザックソン「ステイーブ・ジョブズ」\t
[幼児・子ども・青少年] ノ・ギョンヒ「たい焼きオンマ(풀빵엄마)」
[家庭/実用] チョン・ジウン、キム・ミンテ「子どもの自尊心」

 前掲の本とダブっていない本について紹介しておきます。
 「たい焼きオンマ(プルパン・オンマ)」は2010年MBCテレビのヒューマン・ドキュメンタリー<愛のシリーズ>で歴代最高の視聴率を記録し、国際エミー賞を受賞した番組を童話にしたもの。末期がんに侵されながらも子どもたちのためにパン屋の仕事を懸命に続ける母親の姿を描いた感動の実話。
 「子どもの自尊心(아이의 자존감)」人を成功に導く力がまさに自尊心なのだそうで、正しい自尊心を形成するための実践的な方法を提示する、ということです。両親の児童期養育経験が子どもの養育に大きな影響を及ぼすので、誤った養育方式がそのまま相続されないように、両親の過去と現在をチェックして改善していくように方向を提示する、というあたりは興味ないこともないですが・・・。

 さて、代表的大型書店教保文庫の<今年の本>の方は、これまではYES24とあまり大きな差異はなかったのですが、今回は意図的に差別化をはかったのか、趣向を変えて、内訳もかなり異なっています。・・・ということで、1年前は同じ記事で両方紹介しましたが、今回は別立てにします。

<2011年の韓国を代表する本は? (2)教保文庫の<2011年今年の本>を見る>

        
   【キム・オジュン「黙って政治(닥치고 정치)」。写真はもちろん著者自身。】
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2011年の個人的総括と、2012年の抱負

2012-01-01 23:35:37 | お知らせ、その他いろいろ
 今年も何ということもない正月を迎えました。1年前のこの時間もNHKの「ケータイ大喜利」を見ながらキーボードを叩いていたなあ・・・と、例年ならただそれだけのことですが、今年は特にその「何ということもない」ことの継続がいかに幸運なことかとつくづく思います。happyかどうかは別にして、とにかくはfortunate。考えてみれば私ヌルボの場合、そんな日々が何十年も続いています。となると、これはすごくluckyなことなのかも。いや確実にluckyな人生です、ここまでは。いかにそれが「語るに値する人生」ではないにしても。

 そんな「あいかわらず」の日々を過ごした1年間。また1年前と同様にこの1年の自身と韓国のかかわりを振り返って<ヌルボと韓国 2011年の収穫と今年の抱負>を数え上げてみました。

①作家・申京淑さんと直接話をしました。
 10月20日の記事に書きましたが、本ブログの記念すべき(?)最初の記事で「翻訳本刊行を期待!」と書いて紹介したのが申京淑さんの「母をお願い」。たまたま手に取って読んだこの小説がその後2年の間に世界各国で愛読され、作家ご自身と10月19日にちょっとですが直接話をすることになるとは思いもよりませんでした。

②光州に一人旅、大収穫!
 9月に2011年唯一の韓国旅行。その光州旅行の記録(簡略版)は→コチラ。今回の旅行も、偶然の出会いに恵まれました。光州博物館で日本語ガイドのキム・ヨンチョルさんに5.18墓地に案内していただいた後、ご自宅でいろんな話ができてホントにラッキーでした。大収穫の中身、まだ書ききっていません。

③韓国・朝鮮がらみの国内旅行。雨森芳洲庵に舞鶴引揚記念館。金沢にも・・・。
 3.11の後、逃げるような感じで東アジア交流ハウス雨森芳洲庵(滋賀県長浜市高月町)と舞鶴引揚記念館へ。10月には別の用件で高岡に行ったついでに金沢在住の旧友に会いに行き、そのついでに野田山の陸軍墓地付近にある尹奉吉の密葬地にまで行ってきた、というところがわれながらオタク。

④ジャンルを問わず、いろんな催しに足を運ぶ。
 一葉記念館の企画展「樋口一葉と韓国」、横浜そごう「韓流 美・味展」で聞いた「韓流セミナー」の李映林さん&コウ静子さんのお話と八田靖史さんのお話。同じく横浜そごうの「柳宗悦展」と、首都圏という地の利を生かして・・・。
 ヌルボのあまり詳しくない美術関係情報はちゃんと友人が知らせてくれたおかげで東京オペラシティ アートギャラリーの「李禹煥と韓国の作家たち」展や、横浜のBankART Studio NYKの「韓国建築の新たな地平」展を観にいきました。また、後述の孔枝泳の小説「まじめな男」をきっかけに興味を持った韓国80年代の民衆芸術運動の担い手の1人金鳳駿さんの作品展&宗教学者・阿満利麿との対談も行って大正解!
 本ブログの新ジャンルとしては韓国プロ野球。門倉健選手のトークライブはとても楽しかったです。今年はぜひ現地で観戦したいものです。

⑤読んだ韓国書は多くはありません。
 内容が日本と、とくに蓮池薫さんと関わるということで読んだ孔枝泳の李箱文学賞受賞作「裸足で文章の路地を廻る(맨발로 글목을 돌다)」が昨年読んだ韓国書の最初。同作家の「まじめな男」は80年代に民主化運動の中で注目された版画家を主人公にした興味深い作品でした。純文学では金仁淑「アンニョン、エレナ」も読みましたが、以上全部短中編ばかり。
 児童~ヤング・アダルト小説は「さよなら、マジンガー」「ねこぐち村のこどもたち」。どちらも読みやすく、韓国社会の知識も得られ、読んでよかった!
 漫画ではヌルボのおなじみカンプルの「あなたを愛しています」「26年」・「パボ(ばか)」とともにカンプルのベスト3です。映画もヒットしました。
 ネット漫画で完読した「당신의 모든 순간(あなたのすべての瞬間)」の評価はビミョー。

⑥読みごたえのあった日本語訳の韓国小説2作品
 名作映画「風の丘を越えて~西便制」の原作者・李清俊の「あなたたちの天国」は、全羅南道小鹿島(ソロクト)にあるハンセン病施設の戦前からの歴史を踏まえた重厚な小説。日本統治期の朝鮮でのハンセン病対策と、この施設の歴史について初めて知りました。
4月23日の記事で「国民歌手」チョー・ヨンピルがその小鹿島で公演をしたというニュースを紹介しました。(そのチョー・ヨンピルの自伝を古書店で入手して読んだのも収穫。)
 黄皙暎(ファン・ソギョン)については「パリデギ」を読んで認識を改めました。小説もさることながら、作家自身の経歴の方がドラマチックかも。脱北者を扱った小説では姜英淑「リナ」が今一部で話題になっているようです。そのうち読んでみようと思っています。
 現代の代表作家の一人金英夏の「光の帝国」も読みました。長年韓国で家庭を持ち生活する北朝鮮のスパイが主人公。しかし、テーマ自体から受ける政治性・社会性とは裏腹に、政治意識・社会意識が稀薄化しつつあることがうかがわれる小説でした。
 在日作家の作品では金石範の「死者は地上に」。1925年生まれですか、すごいなー。
 光州で詩人朴龍喆(パク・ヨンチョル)生家に行きましたが、あの映画「鯨とり」の副題「ナドヤカンダ」が彼の詩の一節なんですねー。関連でその詩の翻訳をいくつか比べてみたりしました。記事にはしていませんが、そのうちに・・・。

⑦朝鮮・韓国関係の本を雑読・乱読
 いろいろあるので、おもしろかった本、ためになった本の書目だけ羅列します。
本田靖春「私のなかの朝鮮人」・伊集院静「お父やんとオジさん」・駒尺喜美「雑民の魂」・五木寛之「運命の足音」・姜尚中「在日」・木村毅「兎と妓生と」(<戦争×文学>第6巻「日清日露の戦争」所収)・金文京「漢文と東アジア 訓読の文化圏」・島村恭則「日本より怖い韓国の怪談」・小林茂「外邦図」・アンドレイ・ランコフ「民衆の北朝鮮」・朴裕河「反日ナショナリズムを超えて」・芥川龍之介「金将軍」(「芥川龍之介妖怪文学館」(学研M文庫)所収)・李榮薫「大韓民国の物語」・大沼保昭「「慰安婦」問題とは何だったのか」・若宮健「なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか」・平松洋子「韓国むかしの味」・木村幹「朝鮮半島をどう見るか」・大木金太郎「自伝 大木金太郎 伝説のパッチギ王」・「現代詩手帖」3月号(特集・東アジアの詩)・戸田郁子「悩ましくて愛しいハングル」

⑧韓国映画あれこれ
 昨年観た映画は、目標の数値ちょうどの合計80本。仕事や勉強関係の目標と違って、趣味関係の目標は達成しやすい分、感動もさほど大きいものではありません。80本中韓国映画は25本、北朝鮮映画は「安重根 伊藤博文を撃つ」の1本でした。それ以外に、韓国文化センターで観た「望楼の決死隊」の他、「愛しきソナ」「まぶしい一日」も北朝鮮&韓国関係映画。「コクリコ坂」や旧作「春婦伝」も少しだけ韓国に関係。
 今年の期待は、まず近く公開される「哀しき獣」「ポエトリー アグネスの詩」。また韓国で大ヒットした「サニー」、「最終兵器 弓」の他、本ブログで原作を紹介した「あなたを愛しています」、「るつぼ」、「ワンドゥギ」は日本公開当然あるんでしょうね? ヌルボは確認してませんが。さらに昨年韓国でいくつも公開された北朝鮮関係の映画はぜひ観てみたいものです。1年前にも書いた「豆満江」「茂山日記」等々。それ以外に独立系の映画にも興味深い作品がいろいろ、ってキリがないなー。

⑨ブログの反省と今後の抱負
 2011年のこのブログの記事は1年間で合計245本。2010年は303本だったのが、こんなにも減っていたのか、とさっき数えて少しビックリ。まあ健康第一を旨に、無理しないことにしたから(汗笑)。「更新が早すぎる」とのコメントもあったようなので・・・。
反省としては、「いずれまた」とか「続く」と書いてペンディング状態のネタがたくさんあること。忘れているわけではないので、まあそのうち・・・。
 内容的には、これまた毎度書いているように、韓国語記事の紹介等よりも、他のブログにはほとんどないようなオリジナリティをもっと追求する必要がありますね。具体的には、とくに韓国文学関係。自分で原書を読み、文学史をもっと学習して韓国文学の今をヌルボなりに理解して伝えたいと思ってはいるのですが、それがなかなか難しいんですよねー、と最初から弱音。

⑩とりたてて書くに足るようなことをやらなかった韓国語学習・・・(←1年前とまったく同じ!)
 「今年は韓能かハン検を受けなくっちゃ・・・」とも書いたのに受けませんでした。登るほどに急斜面になる山みたいで、頂上に達するに要する労力を別の有意義な道にふりむけてもいいんじゃないの?と思ったり、語学上達はあくまでも手段であって目的ではないと考えたりするとカンタンに意欲がそがれてしまってダメですね。しかし、今のレベルが手段として十分といえるのか?と問われると一言もナイジェリア・・・。

⑪パソコンで韓国テレビを視聴
 3月18日の記事「韓国&日本のテレビ・ラジオをインターネットで視聴するには・・・」と12月14日の記事「韓国KBSテレビの過去の番組(ただし2週間以内)をパソコンで見る方法」で書いた方法で、ヌルボ自身パソコンで韓国のテレビ番組をポツポツ見るようになりました。これが苦手の韓国語の聴き取り能力アップにつながればいいのですが・・・(期待薄)。しかし韓国ドラマまではやっぱり手が回りそうにありません。

 ・・・というわけで、今年もマイペースで(←最初から非難をかわしておく実に便利な言葉)やっていきます。サークルや韓国同好会(?)等で日頃ヌルボとツキアイのある皆さん、今年も私たちなりに(←便利な言葉その2)健康で&楽しみながらがんばりませう! 
 そしてこのブログをご覧くださっている皆さんも!
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