グルメッチー☆TAKENAKA MUSIC PLANNING

☆アコースティックギターを愛し、Paul Simon、吉田拓郎などのカバー演奏を中心にライブ活動を継続中☆

東海道新幹線車内殴打事件簿 15

2006年03月16日 | 東海道新幹線車内殴打事件簿

会社に戻ると、机の上には外線電話の取り次ぎのメモがあり、電話を下さいと書いてあります★
《少し時間を取り過ぎたな・・・》
すぐに相手先に電話を掛けて、不在をお詫びして用件を片付けました★

しばらくすると、
『よー、グルメッチー!さっき喫茶店でお客さんを泣かしてたな!』
と、声が掛かりました★
振り返ると、三つ年上の男性社員です★
《うっ!まずい!見られたか! よりによってコイツとは!》

この男は所謂(いわゆる)放送局、おしゃべり男なんです★この男には昔から悩まされています★黙っていれば何事もなく済むものを、いちいち廻りに聞こえるように、それも脚色して声を掛けるものですから、何も知らない人が聞いたら誤解してしまいます★何でもない小さい事を大袈裟に言う男なので、私はアンプと呼んでいましたが・・・★
『あー、先輩、喫茶店に居たんですか』

『そうだよ、俺が入ったらお前が見えたんだよ、お客さんと一緒だったから、声を掛けようと思ったけど、なんか、深刻そうに話してたからさ-、やめたよ~、ははは~』
《相変わらず、何という非常識な奴だ、深刻そうにしてなければ間違いなくこちらへ来たな》

『そうですか』
私は気の無い返事をします★

『深刻な話は何だったんだ?金でも返せってか!あははは-』

廻りの人間は仕事をしている振りをしていますが、明らかに聞き耳を立てています★

『お客さんの事は何も言えませんので!』
変に言い訳がましい事を言うと、余計に厄介になるので、相手のプライベートの事だと言ってその場から逃げました★
《まったく、五月蝿(うるさ)い奴だ》
この男は以前、私の家に夜中の1時頃にいきなり来て、酒臭い息を吐きながら、『一晩泊めろ!』ときかなかったんです★私は嫌でしたが、仕方なく泊めたんです★ところが、翌日、私の家が狭いだの、散らかっていたなどと、社内中に吹聴して廻ったんです★

ここにも横暴野郎がいるのです★
《まったくもう!》


続く
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東海道新幹線車内殴打事件簿 14

2006年03月15日 | 東海道新幹線車内殴打事件簿

私が今までの登場人物をメモに書き出すと、相手の夫婦は食い入るように、私のペン先を見つめています★

『これが私、これがあなたです、そして同僚の方、車掌、乗客、弁護士、組合の課長、職員、、、、ここまでは分かりますか』

『あ、はい、分かります!』

『それぞれの人が言った事を書き足します』

『はい!』

『最初にあなたは私に謝罪する前に、ここに書いてある弁護士に電話した、、、そうですね』

『はい、そうです』

『その時点で警察の取り調べがあったにも関わらず、組合には未報告だった、、、どうですか』

『はい、報告してません』

『弁護士には、私にも悪い事があったと報告している、、、ですよね』

『は、はい、、、すみません』

『そこで弁護士は示談金として5万円を提示、、、あなたは承諾した』

『そ、そうです』

『そして書類の作成を依頼、あなたは、これで解決できると確信した、、、』

『はい!その通りです!』

『何か気付きませんか』

『あっ、私は謝ってない・・・』

『そうですよ、この図を見ると、あなたは自分の事だけで動いてたのが分かるでしょう』

『はい、分かります』

『では、どうしなければなりませんか』

『はい、誠意を持って謝らなければなりません』

『そうですよね、普通の人なら分かりますよね』

『申し訳ありません!』
ようやく顔を上げて私と目が合いました★

『・・・・・やっと誠意のこもった謝罪になりましたね』

『すみませんでした!』
横を見ると、奥さんも目に涙を浮かべて頭を下げています★

『奥さんは泣かないで下さい、女性の涙は苦手なので』

『本当にすみませんでした』
深く頭を下げていたのですが、この言葉でより一層深く下げてしましました★



その後、事の流れを把握できて、夫婦は気持ちの張りが取れたのか、少し穏やかな顔になっています★

私は二人が落ち着いたところで、こう言いました★

『取りあえず、今日のところはこれで終わりにしましょう、お二人は、そちらの弁護士に今日までの経過を伝えて下さい、私は示談書と示談金には応じますが、万が一後遺症の通院となるかもしれないので、そのあたりはご考慮下さい、あっ、安心して下さい、法外な要求はしませんし、後から首が痛いだの腰が痛いだの言って追加の慰謝料を取ろうなんて事もしません、示談書に明記しても結構です、私は今回の事で、あなたを許した訳ではありませんが、弁護士を通して手続きをしっかり取っていただけるのであれば、それ以上の要求はしないつもりです、ですので、再度弁護士と相談してから私に連絡して下さい』

『はい、分かりました』

『では、失礼します』

私は喫茶店を後にしました★


続く
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東海道新幹線車内殴打事件簿 13

2006年03月14日 | 東海道新幹線車内殴打事件簿

確認すると、1万円札が5枚入ってます★

『何なんですか、これは』
『はい、示談金として、収めて下さい』

『はあ~?』

《その時、ふと横を見るとB4程の紙が二つ折りになっているのが見えました》
『その書類は何ですか』

『あ、え~と、、、示談書です』

書類を入れていた茶封筒には〇〇法律事務所と書かれています★
《なるほど、この男は最初強気に出ていたのは、弁護士に相談していたんだな》
『弁護士にこうしろと指示されましたね』

『・・・はい、、、』

『そしてお金と示談書を持っていって、私の署名と捺印を取れば、一切の義務を果たしたことになると言われたんですね』

『・・・は、い、、、』

『分かりました、そういうことなら話は変わってきます、示談書を見せていただけますか』

『あ、はい、どうぞ、、、』

『何々、、甲は乙に対して、、示談金5万円で、、、締結後は、、、一切、、、申し立てをしないものとする、、、』

《やはり思った通りの内容でした》

『〇〇さん、これおかしくないですか?』

『と、言いますと、、』

『私は示談の事で具体的に何も示したことは無いですよね、そして、用意周到な書類と現金ですよね、これは明らかに私に対して条件を飲めと言ってるようなものですよ、、、こんな失礼な事がありますか!』

『で、でも、弁護士がこうしろと言ったので、、、』
『弁護士はあなたの代理人で、あなたからお金を貰っている以上、あなたが有利になるように動きますよ、そんなの当たり前です』

『・・・はい、、、』

『ということは、この示談書を、私が受け付けない事はないと踏んでの事ですね』

『・・・は、はい、、、』
『〇〇さん、そちらの弁護士に今回の事件をどういう風に説明したか分かりませんが、これだと私への謝罪がまったくないですね、先程の涙で、一度は私の気は収まりましたが、書類を一方的に押し付けるやり方は納得がいきません、話はご破算です』

『えっ、、それでは困ります』

『何が困るんですか、言ってみて下さい! 本当にあなたは恐ろしい人だ! 危うくあの涙に騙されるところだったよ』

『涙は本当です!本当なんです!信じて下さい!』

『〇〇さん、どうやって信じろと言うんですか、言葉の裏腹で私に対決してるんですよ、分かりませんか?』

『対決なんて滅相もない!信じて下さい!』

《この男は事の流れが何も分からないおバカなんだな》

これ以上何を言っても仕方がないので、私はペンとメモを用意して、この世間知らずの男にスキーム図を書く事を思い付きました★
《何でここまでしてやらなくちゃなんないんだ・・・》
私は結構お人よしなのか(苦笑)★
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東海道新幹線車内殴打事件簿 12

2006年03月13日 | 東海道新幹線車内殴打事件簿

私は相手の豹変ぶりに戸惑いながらも、取りあえずの落ち着きを取り戻したのです★
『最初からそうすれば良かったんだよ』

隣の奥さんは、号泣しています★
『だから、すぐに謝りなさいと言ったじゃないの~!』
涙と鳴咽で言葉が良く聞き取れない状態で男に訴えます★

『本当にすみませんでした』

『分かりました、誠意は伝わりましたよ、頭を上げてください』

男の目には涙が光ってます★

『やっと素直になられましたね』

『はい・・・』

『私はそれを聞きたかったんです、一番最初に自分が悪かった事を詫びればよかったんです、そうすればここまでの感情の爆発は無かったんですよ、あなたは変な自分の保身の、それもちっぽけな事をこだわってたんです、分かりますか!』
『はい・・・』

『あなたがしっかりしないから、奥さんを始め、あなたの職場の方々が、えらい迷惑をしてるんですよ!、そして何よりも一番迷惑してるのは誰か分かりますか、〇〇さん!』

『・・・うちの、、ですか・・・』

『何言ってんだ! 俺だよ!』

『す、すみません!』

《最後までテメー(自分)の事しかねーのか!》

呆れた私は、
『まあ、これ以上あなたに物言ってもちゃんと伝わらないだろうから、そちらの言い分と、解決策を聞かせて下さい』

『・・・はい、その~、先ず、、、お聞きしたいのですが、、、グルメッチーさんは、、、訴えは、、、起こされるのですか・・・』
『〇〇さん、私は言い分と解決策を聞かせてくれと言ったんですよ、私が何をしようと、今あなたに言う必要はありません』

『そ、そうですよね・・・』

『本当に分からない人だな、物事には段取りや順番があるんです、あなたは普段生徒さん達に何を教えてるんですか!』

『・・・・・』

『とにかく、私もこんな事で時間を割くのはうんざりしてるんです、、、 書面でいいですから詫び状を書いてください!』

『ここで、、ですか、、、』

『後日でいいです、必ずですよ!』

私はかなりの苛立ちもあって、席を立とうとしました★

『あの、グルメッチーさん、すみませんがこれを、、、どうぞ、、』

テーブルの上に白い封筒が置かれました★

『何ですかこれは』

私は今回の事件に関する何かの公文書かと思いましたが、中を見て驚きました★
現金が入っていたのです★

続く
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東海道新幹線車内殴打事件簿 11

2006年03月12日 | 東海道新幹線車内殴打事件簿

翌日は、朝からハイテンションでした★
《相手はどんな詫びを入れてくるか・・・》

やがて約束の時間が来ました★
私は日本橋中央通りを歩き、高島屋の角を曲がります★目指す喫茶店が見えてきました★
《さあ、対決だ!》

入口の扉を開けると客が4-5人いるのが分かりました★ふと見ると、奥のテーブルに中年の男女が並んで座っています★向かい合わせが普通ですから、すぐに加害者夫婦と分かりました★
《この男は一人で来れないのか!》

私は勢いよく相手のテーブルに近づきます★

『〇〇さんですか?』

二人は同時に立ち上がり、『は、はい、この度はすみませんでした、、、』
奥さんが謝ります★
当の本人は言葉も出さず、軽く頭を下げるだけでした★

『奥さん、奥さん、謝ることはないですよ、奥さんは何もしてないんですから、悪いのは隣の方ですから』
私はそう言いながら男を睨みました★
男は目を合わせません★

『取りあえず座りましょう』
3人はそれぞれ着席しました★

『さあ、それで〇〇さん、どういうお気持ちでいますか』
私は口火を切ります★

すると、奥さんの方から、『はい、本人も充分反省してまして、、、』

『あのね、奥さんに言ってるのではないんですよ、今は私とご主人の話です、小学生の面談じゃないんですから、もう横から口を挟まないで下さい!』

『・・・はい・・・』
蚊の鳴くような声でした★
『あなたは私より年上だし、大人の教師なんでしょうが! 挨拶もできない、謝ることもできない、これじゃあ、母親に付き添われてきた子供と一緒じゃないか! どうなんだ!』

『・・・はい・・・すみません・・・』《斜め下を向き小さい声を出しています》

『それにさっきからそっぽを向いてるが、あんたここへ何しに来たんだ!』

すると奥さんが、
『この人は、こういう性格でして、口下手なんです、すみません・・・』

『奥さんに聞いてないです! あんた! ちゃんとしろよ!』

私は巻くし立てます★

その後しばらく沈黙が続きます★

やがて、

『グルメッチーさん、本当にすみませんでした、申し訳ありません!』

突然、男はテーブルに両手を付いて頭を下げました★

今までのフテ腐った態度が一変です★額がテーブルに付いています★

《いきなりなんだ?》


続く
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