朝の散歩で、帰路にある小休止の場所まできた。
6時を少し過ぎて雲が払われ、太陽の光が射しはじめて暑かった。
ルイの喘ぎもひどくなっていたので、さっそく水を飲ませようと腰をさぐった。
だが、折りたたみの水飲み用カップがない。
きのう、夕方の散歩で水を飲ませたのまではよく覚えている。
拾い上げず、あそこに置いたままで帰ったのかもしれない。
ルイは、へたりこんで喘いでいる。
しかたなく、手のひらにペットボトルの水を受け、数回にわけて水を飲ませた。
水は昨夜から冷蔵庫で冷やしてあり、まだ冷たかった。
家に帰るとすぐ、ルイを置いてカップを探しに夕方の散歩コースに向かった。
すでに真夏の太陽がまぶしく照りつける。
マンションの隣の家の若い男性が犬を散歩させている。
どうやら8月の盆休みに入っているらしい。
きのうルイに水を飲ませた場所ににカップはなかった。
あんなものを拾っていくはずはない。
だが、なければしかたがない。
念のために、遠回りにはなるが、夕方の散歩と同じルートをたどることにした。
それがさいわいした。
すぐに道ばたにカップを見つけたからだ。
原因はよくわからないが、きっとカラビナ型の金具同士をきちんとつながなかったからだろう。
水を飲ませた場所から100メートルほど離れたところに落としたらしい。
水飲みカップはほかにふたつあるが、先住犬のシェラとむぎのお下がりである。
今朝、戻ってきたのはルイのために横浜・元町で買ったものだった。
カップだけではない。ハーネスやリード、カラーなど、ほとんどがシェラやむぎが使っていたものをルイが、いま、使っている。
ルイのために買ってやった数少ない品物だけに、このカップ、やっぱり失くさなくてよかった。