昨日、6年前に最初のオンエアの再放送ながら「上高地」をテレビで見た。NHK BSプレミアムの新日本風土記である。
さんざんとはいわないが、上高地は何度となく近くをかすめながら、ついに訪れることができなかった。いつかいってみたいと思っていた。
40代後半から70代の前半までのおよそ30年間、毎年、春から秋に長野や岐阜へいっている。
だが、同じような場所を往復するだけで、あちこちいったわけではない。
それというのも、50代以降はいつも例外なくワンコといっしょだったからである。
ペットと泊まれるホテルやペンションが各地にあるのでは承知していたが、それらを利用したことは一度もない。
旅先ではできるかぎり気を遣いたくないからだ。いつも気楽なテント泊のキャンプしか頭になかった。
とはいえ、キャンプ場も“ペット不可”はたくさんある。
“ペット可”ではあって、雰囲気も申し分ないキャンプ場しかいっていない。
それがわが家の旅行だった。だから、数あるキャンプ場の中でも限られたところしか利用していない。
たいてい、事前に下見をしてから本番のキャンプに出かけていた。行き当たりばったりのキャンプはいつも失敗していた。
犬連れでもいいかどうかは事前に確認するものの、キャンプ場そのものを気にいるかどうかは実際にいってみないとわからない。
キャンプ場のみならず、犬連れだといける観光地は限られてしまう。
いまはどうか知らないが、以前は上高地は犬禁止ではなかった。だが、それもいってみないとわからない。
あちこちの観光地の駐車場で「犬は入れない」といわれ、だまって引き返している。旅先でのトラブルは避けたかったからだ。
そんなわけでとうとう上高地は訪れる機会がないままで終わった。
犬がいるためにいかれない。そんな場所がほかにもある。だが、以前ならシェラやむぎ、いまならルイをペットホテルに預けてまで訪ねたいほど魅かれた場所はどこにもなかった。
上高地もそのひとつではあるが、テレビや写真で美しい風景を見ると、やっぱりいいなと思う。
だが、やっぱりルイを置いてまでいきたくはない。ルイといっしょにいる幸せのほうが勝っている。
それに、もし、上高地に犬が入れるとしても、ルイもぼくも齢をとってしまった。
正直、「もう、いいや」と思う。