Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

水指に見立てた古伊万里

2019年08月26日 15時42分29秒 | 古伊万里

 この器は、4年程前に骨董市で買ってきたもので、我が家にやって来た古伊万里の内では、比較的に日の浅いものです。

 

 古伊万里様式染付菊牡丹文蓋物

製作年代:江戸時代中期    口径:15.5cm  高さ:12.0cm

菊文の面

 

 

牡丹文の面

 

 この器には、塗り蓋が付けられ、あたかも水指であるかのように見えますが、本来は蓋物として作られたものです。鉢として作られたものでもなく、香炉として作られたものでもなく、はたまた火入れとして作られたものでもなく、勿論、水指として作られたものでもありません。

 そのことは、次の写真から分かりますように、この器の口縁付近の内側が釉剥ぎされているところから分かります。

 

菊文の面

 

 

太古石と牡丹文の面 (菊文の面を右に90度ほど回転させた面)

 

 

牡丹文の面( 太古石と牡丹文の面を更に右に90度ほど回転させた面)

 

 

菊文の面( 牡丹文の面を更に右に90度ほど回転させた面)

 

底面 

 

高台内の拡大写真(「 大明嘉清年製」銘)

 ところで、明の元号に「嘉清」というものはありませんね。正しくは「嘉靖」ですね。

 伊万里では、よくあることです。文字など知らない陶工が、元号を文字として描いているのではなく、文様として描いているからです。

 

 そうそう、この蓋物には、今は失われてしまっていますが、元は、どのような蓋が付けられていたのでしょうか。ちょっと、気になるところです。

 それで、佐賀県立九州陶磁文化館発行の「柴田コレクション展」で調べてみましたら、この蓋物に近いと思われる蓋物の写真をみつけましたので、その写真を下に載せておきます。

 この蓋物に近いかどうかは保証の限りではありませんが、概ねこのような形の蓋だったのかな~と想像はできますね。

左:柴田コレクション展(Ⅱ )516     右:柴田コレクション展(Ⅱ )517