今回は、「伊万里 金銀彩 松舞字文 折紙形小皿」を紹介します。
この小皿は、4年ほど前に骨董市で買ったものです。
この小皿については、同じ様な物が図録等に載っていることを知ってはいましたが、現実にこの小皿に直面してみますと、見込み面いっぱいに「松舞」という文字のみが書かれているだけで変化に乏しく、「なんか、面白味がないな~」という第一印象でした(-_-;)
でも、滅多に見かけない物ですから、購入することにしたわけです。
製作年代:江戸時代前期(1650~1670年代)
口径:13.9×9.9cm 高さ:2.9cm 底径:9.7×5.9cm
ただ、救われるのは、瑠璃釉を塗られた口縁の四隅に赤と金銀彩で少々文様が施されていることです(^-^; そのことによって、多少の変化が見られます(^-^;
左上部の拡大画像
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底面
この小皿に類似したものは、「柴田コレクション総目録」(佐賀県立九州陶磁文化館編集発行)にも掲載されていますので、それを次に引用し、紹介いたします。
一点は、白磁体の小皿の口縁に瑠璃釉を塗っただけのものです。
それに比べれば、我が家の小皿の方が、口縁に文様があり、ちょっぴり変化に富んでいるかもしれません(^-^;
「柴田コレクション総目録」から転載
もう一点は、色絵のものです。さすが、色絵なだけに華やかですよね(^-^;
ただ、やはり、残存数も少ないのか、現時点では、佐賀県立九州陶磁文化館でも、これ1枚しか所蔵していないようです。
「柴田コレクション総目録」から転載
ところで、なぜ「松舞」という文字を文様にしたのだろうかと疑問に感じますよね。それには、なにか、理由があったのだろうかと、、、。
そのことについては、「柴田コレクション展(Ⅱ)・資料編」(佐賀県立九州陶磁文化館発行)のP.91に次のように書かれていました。
「・・・「松舞」のような文字を表したものは、貞享3年(1686)刊小袖模様雛形本「諸国御ひいなかた」に「悦舞」があり、こうしたものの影響を考えるべきと思われる。
図〇〇などの窓絵に多用されたり、図××のように器の形にも取りいれられた文様も、「諸国御ひいなかた」などでしばしばみられ、「団扇」と呼ばれる。やはりこの団扇内に、芦に流水や雲に波などの文様を描きこんでおり、影響関係は歴然としている。この時期に多くなる、富士山、若松、波、水車、色紙、雪輪、つらら、柴垣などはいずれもこうした1660~80年刊の小袖模様雛形本にみられ、日本的文様が、特に国内向けの製品に多く取り込まれていく傾向がうかがえる。 」