温泉施設の経営戦略を考える

2011-09-19 15:00:56 | 議会活動
これまで2度にわたって東御市の温泉施設の問題点を見てきました。今回は温泉施設の経営戦略という点から考えてみたいと思います。

温泉施設の経営戦略を考える場合、日帰り温泉施設の乱立による競争激化、景気後退による影響などから利用者数は毎年減少しているという現実があります。利益は顧客数と顧客単価の乗数であることからすれば顧客単価をいかにして上げるかが至上命題です。

ところが入館料は500円と決まっているので、飲食やその他のサービスによる顧客単価増を目指すことになります。現に真田町の十福の湯など民間の日帰り温泉では飲食のみならずお土産など多彩な品揃えをしています。こうして500円の入館料に加えて、食事をしたりお酒を飲んだり、マッサージを利用したりすることで、収益増を図っています。

もともと日帰り温泉施設は温泉部門だけをとってみれば構造的な赤字体質があります。施設の大型化や灯油などメンテナンス費用の高騰などから温泉だけでは経営的に厳しいものがあります。こうした温泉施設の赤字を補っているのが飲食部門です。温泉に入りに来たお客さんが食事をしたり、お酒を飲んだり、お土産を買ったりすることで売り上げ増を目指しているのです。

ところが東御市の場合、温泉施設の管理運営を東御市振興公社(社長:花岡市長)に委託しています。しかし委託契約は温泉施設の管理であり、飲食の提供などは振興公社の自主事業とされています。恒常的な赤字部門である温泉施設の管理は委託事業であり、その赤字は市からの委託料でまかなっています。一方、民間であれば収益部門である物販や飲食は振興公社の自主事業なのでその果実はすべて振興公社のものとなります。

言ってしまえば振興公社はいいとこどりの契約を市と交わしているのです。温泉の赤字は市で補填してもらえ、収益の源泉である物販と飲食は自分達のふところに入るというわけです。これでは誰がやっても失敗することはありません。まさに親方日の丸の経営と言ってもいいでしょう。

温泉施設の管理運営を委託するのならばすべてひっくるめて委託すべきです。そしてその中で経営努力をして赤字が出たらその分だけを一般会計で面倒を見ればいいのです。親方日の丸経営ではコスト削減や新規事業への挑戦などの経営努力は期待できないでしょう。

市民がたまには家族連れで温泉に出かけ、ゆっくりと一日過ごし家族団らんと明日への鋭気を養ってもらうという観点で、市民の福利厚生のために温泉施設が建設されたはずです。これで良いのでしょうか。

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