クルマ社会の日常風景

2013年04月21日 | 日々のアブク
 昨日の夕方のこと,拙宅から約50~60m離れた市道(路線バス通り)の方でクルマのクラクションが連続して何度か大きく鳴った。 すわ,何事か! と二階の窓から外を眺めてみると,バス通りから左折してウチの前に通じる裏通り(生活道路)の方に曲がろうとしているクルマと,その裏通りからバス通りの方に右折で出ようとしているクルマとが,交差点(T字路)でニラメッコをしているところだった。前者はシャコタンの白いヤンキーグルマ(車種はクラウンorセド・グロ?),後者は小型ハイブリッドセダン(車種はプリウスorインサイト?)である。どうやらヤンキー車の方が盛んにクラクションを鳴らして,ハイブリッド車に下がれ,下がれ!と促しているようだ。しかしながらハイブリッドのすぐ後ろには後続車が3台ピッタリとくっついているためにすんなりバックすることも出来ず,止まったまま何やらモタモタしている。そこうしているうちに,ヤンキーの方にも5~6台の後続車が繋がってしまった。そのうち1台は路線バスである。一方,裏通りの方にも更に2台が後ろに追加。このままだと両者の行列渋滞はさらに拡大してしまうだろう。あれれ,どうなるのかな? と,興味津々で高みの見物,事態をしばし見守っておりました。

 結局,ハイブリッド車の後に並んでいた数台のクルマがそれぞれズリズリ,ズリズリと少しずつバックして,最後はハイブリッドも目出度く下がることができて通り抜け余地を何とか確保する事が出来たという次第でありました。はい,毎度毎度の御苦労さんなこって。

 それにしても何ですな。我々が日々暮らすこの町のなかにあって,ヒトとヒトとがすれ違うのに比べてクルマとクルマがすれ違うってぇことは いかにシンドイ行為であることか。そのようなシーンにおいては常に何らかの齟齬,幾許かの誤解,詰まらぬ紛争が発生する可能性がある。大体ですネ,単にヒト一人ばかりをA地点からB地点まで高速移動させるだけのメカニズムとしてのクルマというものの存在自体がそもそもオカシイのだ。要するに,その図体が一寸デカすぎる。いや,チョットどころの話ではない,理不尽といえる程までにそのハコモノは巨大すぎるのではないだろうか。以前,ワンボックス・ワゴンというシロモノをアフリカゾウやシロサイなどの大型陸生哺乳類に比したことがあったが,それは我ながら適切な例えであったと思う。考えてもみるがよい。一般にヒトの容積は体重60kgの人で約0.06立法メートルくらいだとされている。それに対してクルマの容積の方は,大雑把に計算すれば 軽自動車で6立法メートル,大型セダンで12立法メートル,巨大石鹸箱もといワンボックスワゴンだと20立法メートルを超えるくらいになるだろう。すなわち両者の容積比較において,あのチョロチョロした軽自動車でさえヒトの100倍,巨大ワゴン車に至ってはヒトの300倍以上にも及ぶのだ。かてて加えて始末の悪いことに,移動装置であることの宿命ゆえそれが大人しくじっとしていることはあまりなく,イタズラ盛りの子供のように年中ブイブイビュンビュンと,あるいは老い先短い徘徊老人のように絶えずウロウロアタフタと,私どもの生活空間内を無軌道に,碌すっぽ意味もなく,我が物顔に動き回っているのだ。ったくモウ,危ないったらありゃしない!

 されどもしかれども,畢竟それがバカバカしい現代クルマ社会の実態なのであって,大多数の善良な一般市民(bonnes gens)はそんなこと考えようともしない。あるいは,そのバカバカしさを心ならずも容認することでこの現代社会が成り立っているものと承知している。町並みだって道路だって,それを前提に計画設計され,構築改変され,利用供用されているのだ。まことに憂うべき現実なのである(ハイハイ,毎度の老人戯言でございます)。

 最後にひとこと付け加えておくと,上記の交差点トラブルにおいて,双方のクルマのすれ違いざま,シャコタン・ヤンキー・グルマの方が「バカか!てめぇは!」と,拡声器でハイブリッド・グルマを思いっきり怒鳴りつけて通り過ぎていった。拙宅からは50mも先であるにもかかわらず,それはもう,スゴイ大音量に聞こえた。ほぅほぅ,最近のヤンキー車は拡声器を装備したりしているんだなぁ。外敵に対する威嚇装置か? 自己顕示用のハッタリ道具か? あるいはアルバイトで粗大ゴミ回収でもやってるのかナ? それはともかく,当事者のハイブリッド・ドライバーを運転されていた方が如何なる御仁であったのか,こちらの遠目からは確認できなかったけれども(耄碌ジーサンか,中年オバサンか,はたまたヤンキーと同年代の気弱なニーチャンか?)その大音量による威嚇にはさぞビビッたことだろう。私とて,たとえば幹線道路を自転車で走っているときに,後方から追い抜こうとイライラしている乱暴グルマに邪魔くさいチャリだと思われて,急に拡声器で思いっ切り怒鳴られたりしたら,それこそ一瞬心臓が止まってしまうかも知らん。これはケーサツの取り締まり対象にはならないのかな?

 といった,現代クルマ社会においては毎度お馴染みのスサンだ日常,ザラザラした現実,哀しみのアンポンタンを目撃した夕暮れのひととき,さてと,気を取り直して封筒とゴミ袋とポチ袋を買いに自転車で出掛けることにしようかな,などと思ったりするのでありました。外出する際は どなた様もクルマには気をつけましょう! たとえそれがバカ・グルマであれオリコウ・グルマであれ,それらが無人の荒野を走っているのでない限り,所詮クルマは凶器なわけですから。凶器が狂気を共起する,なんちゃって(座布団一枚持ってく?)
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