世間には「林道フリーク」なる妙な人種が存在するようだ。どちらかというと海よりも山の方が好きなんだけれど,いわゆる通常の登山道にはあまり興味を示さず,というか汗水たらして山道を苦労しながら登る気などはサラサラないが,あちこちの林道をクルマやバイクでドカドカ走り抜けるのは大好きさ,という人々である。その一方で,通常の登山愛好者,特にキャリアを積んだウルサガタの登山者においては,概して林道を毛嫌いする傾向が強いように思われる。目指す山のアプローチに林道を長時間歩かなければならない場合など,苦虫を噛みつぶしたような顔でひたすら足早に進む。ま,蓼食う虫も好き好きの類でありましょう。
私自身は山岳地帯における移動ルートとして登山道にも林道にもそれぞれの良さ,ないしは趣があると思っており,決してどちらか一方を否定するものではない(ヤブ漕ぎなどは少々勘弁願いたいけれども)。実際,山歩きを再開したこの2ヶ月余りの間に表丹沢地方の林道を数多く歩いており,あるものは一部を,あるものは全区間を踏破した。順に列挙すれば,羽根林道,浅間林道,桜沢林道,菩提林道,向山林道,西山林道,荻山林道,表丹沢林道,戸川林道,柏木林道,春岳林道などである。以下その折りの感想などを少々。
最近の山歩きにおいて私が出会った林道利用者をタイプ別に分類すると,二輪車ではMTB(マウンテン・バイク)の青少年,モトクロス・ライダーのオニイサン,四輪車ではオフロード四駆をブンブン飛ばすアンチャン,山野草の採取に来ているような大型セダンのジジ・ババ,軽トラで山中の土や岩を盗みにやって来るとおぼしきオヤジ,とまぁ概略そんなところか。出掛けたのはいずれも平日の昼間で,出会ったのは延べ台数にして二輪車が20台,四輪車が30台くらいだったろうか。いずれにしても,それらはすべて「あっという間に通り過ぎゆく人々」である。歩行者にはあいにく全く出会わなかった。もっとも,歩行速度の関係から進行方向が逆の場合の「すれ違い」以外には歩行者との遭遇機会は極めて低いだろうけれど。
林道の通行において特に目立っているのがモーターバイク人種だ。彼らはおしなべて実に生き生きとしている。先日など,表丹沢林道でハーレー・ダヴィッドソンとすれ違った。ドッドッドッドッドッ,という地鳴りのようなマフラー音が遠くの方からかすかに響くのが聞こえ,その音が山中にコダマしながら徐々に大きく近づいてきて,やがて前方のカーブから小型戦車のようなバイクがヌッと現れた。見ればライダーは年の頃50代,立派な口髭なぞをたくわえ身なりもビシッと決めた,いかにも「道楽モン」という雰囲気を漂わせているモダン・オヤジであった。
しかし何ですな。この林道,通り抜けは出来ないわけだから(ずっと先でゲートが閉まっている),ゲートのところまで行ったらUターンして引き返してくるのかな。林道往復単独ツーリング,丹沢山中一人旅,ってなわけか(あらゴージャス,けど意図がよくわからん)。あるいはハーレーの慣らし運転でもやりに来たのかな。それにしたところで,例えば湘南海岸の国道134号あたりを何度も行ったり来たりしていた方が,ギャラリーなどもさぞ多かろうし,小型戦車も走り甲斐があろうってもんじゃないのかなぁ。ま,どーでもいいことですが。
ちなみに,私の辿った何度かの林道ウォークにおいては,カンジンの林業従事者にはほとんど出会わなかったし,それらしき作業車もまったく見掛けなかった。わずかに,途中で標識カンバンの補修をしている県職員らしき二名に一度だけ会ったのみである。
以上が昨今の表丹沢地方における「林道」を巡る,いささか悲しい現実であります。
私自身は山岳地帯における移動ルートとして登山道にも林道にもそれぞれの良さ,ないしは趣があると思っており,決してどちらか一方を否定するものではない(ヤブ漕ぎなどは少々勘弁願いたいけれども)。実際,山歩きを再開したこの2ヶ月余りの間に表丹沢地方の林道を数多く歩いており,あるものは一部を,あるものは全区間を踏破した。順に列挙すれば,羽根林道,浅間林道,桜沢林道,菩提林道,向山林道,西山林道,荻山林道,表丹沢林道,戸川林道,柏木林道,春岳林道などである。以下その折りの感想などを少々。
最近の山歩きにおいて私が出会った林道利用者をタイプ別に分類すると,二輪車ではMTB(マウンテン・バイク)の青少年,モトクロス・ライダーのオニイサン,四輪車ではオフロード四駆をブンブン飛ばすアンチャン,山野草の採取に来ているような大型セダンのジジ・ババ,軽トラで山中の土や岩を盗みにやって来るとおぼしきオヤジ,とまぁ概略そんなところか。出掛けたのはいずれも平日の昼間で,出会ったのは延べ台数にして二輪車が20台,四輪車が30台くらいだったろうか。いずれにしても,それらはすべて「あっという間に通り過ぎゆく人々」である。歩行者にはあいにく全く出会わなかった。もっとも,歩行速度の関係から進行方向が逆の場合の「すれ違い」以外には歩行者との遭遇機会は極めて低いだろうけれど。
林道の通行において特に目立っているのがモーターバイク人種だ。彼らはおしなべて実に生き生きとしている。先日など,表丹沢林道でハーレー・ダヴィッドソンとすれ違った。ドッドッドッドッドッ,という地鳴りのようなマフラー音が遠くの方からかすかに響くのが聞こえ,その音が山中にコダマしながら徐々に大きく近づいてきて,やがて前方のカーブから小型戦車のようなバイクがヌッと現れた。見ればライダーは年の頃50代,立派な口髭なぞをたくわえ身なりもビシッと決めた,いかにも「道楽モン」という雰囲気を漂わせているモダン・オヤジであった。
しかし何ですな。この林道,通り抜けは出来ないわけだから(ずっと先でゲートが閉まっている),ゲートのところまで行ったらUターンして引き返してくるのかな。林道往復単独ツーリング,丹沢山中一人旅,ってなわけか(あらゴージャス,けど意図がよくわからん)。あるいはハーレーの慣らし運転でもやりに来たのかな。それにしたところで,例えば湘南海岸の国道134号あたりを何度も行ったり来たりしていた方が,ギャラリーなどもさぞ多かろうし,小型戦車も走り甲斐があろうってもんじゃないのかなぁ。ま,どーでもいいことですが。
ちなみに,私の辿った何度かの林道ウォークにおいては,カンジンの林業従事者にはほとんど出会わなかったし,それらしき作業車もまったく見掛けなかった。わずかに,途中で標識カンバンの補修をしている県職員らしき二名に一度だけ会ったのみである。
以上が昨今の表丹沢地方における「林道」を巡る,いささか悲しい現実であります。