田舎の選挙システム

1998年01月22日 | 日々のアブク
 当地は現在,首長選挙の季節である。立候補者は現職に新顔を合わせて計4氏となかなかに盛況で,朝な夕なに拙宅の前を選挙カーが喧しく通り過ぎてゆく。ただ最近は各陣営とも大ヴォリュームで連呼をがなりたてるだけのやり方は控えているようで(逆効果を懸念してのことだろう),その点では多少助かります。むしろ,サーッと素通りするだけでなく,車を停めて皆さん方の主義・主張を当方にちゃんと伝えて欲しいくらいだ。ところで,今回の選挙の主たる争点は秦野赤十字病院移転に係わるゴタゴタである由。各候補者からは以下のような主張が聞かれる。


◆反対派(新人候補)のビラにいわく。現段階では赤十字病院移転事業に関する全体費用が不確定である(少なくとも100億円以上らしい)にもかかわらず,市議会は既に総事業費の3割の補助金拠出を決定したという。また,市の主導で建築業者の選択まで始めたらしい。さらに,市役所に隣接する病院跡地の買収等を含めると,都合80億円あまりの持ち出しになる見込み。かてて加えてドサクサ紛れに跡地を合わせた新市庁舎建設にも200億円余りを投入とか。このような不透明な金の動き,密室での談合,地縁・血縁・ボス政治は断固排除を!

◆それに対して,推進派(現職候補)の言い分は次のとおり。現在,当市には市立病院がなく,秦野赤十字病院はそれに代る役割を果している。そして,現在の老朽化した赤十字病院を改めるべく,地域の総合的・公的中核病院として,24時間救急医療対応病院として,大規模災害時の広域拠点病院として移転新築することがぜひとも必要である! 新たに市立病院を建設することに比べたら,補助金の3割負担やら,80億円などは安いものだ!


 さてと,義はどちらに在るか? そんなことをマジメに問う以前に,かくのごとき問題が第一の争点かと思うと何だかナサケナイ気分になってくる。政治とは所詮こういうものなのだろうか。“しあわせ”の配分合戦。ここはやっぱり土建屋さんの出番なのかなぁ? 

 ここで昔話を少々。約20年ほど前,愛知県は伊良湖半島先端近くの町で何度かの季節を過ごしたことがある。当時,現地では中部電力の火力発電所増設問題でワイワイとやっていた。反対派,推進派の集会が頻繁に開催され,告発や中傷のビラがまかれ,日々繰り返されるドンチャン騒ぎ。それにしても田舎政治はまことに元気があると思ったものだ。特に夫々にとって身につまされる利害がからむ場合にはね。まさに杉浦明平さんの『ノリソダ騒動記』そのままの世界である(当の明平さんはその頃は既に町議会議員を辞していたが)。まぁ,50年前も20年前もそして現在も,どうやら基本的なシステムに変化はございませんですね。それは恐らく政治というものが極めて人間的なものだからでありましょう,ブツブツ。とか何とか言いながら,これで日曜日になれば多分は暗い気持ちで投票に出掛けるであろう私なのではありますが。
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