30号のろうそくを作って欲しいとの依頼がありました。
30号…。いつも正徳芯和ろうそくの5本入りで販売しているろうそくは2号ですから、非常に大きいろうそくを作ることになります。用途は寺に奉納するとのことでした。
さっそく正徳さんに相談して、30号のろうそく用芯を依頼しました。
「30号というと、丈はどのくらい?」と正徳さん。
「ええっと、23cm…みたいです。」と私。
「センチじゃなくって、寸で言うのよ。全部寸で合わせてるんだから。」
「ええっと、(3.3で割れば…)7寸です!7寸!」
「芯巻き棒があるかしら。6.5寸ならこないだ巻いてたけど…。」
「それでいいんじゃないですか?」
「だめよ。もし芯が細すぎたら、余計に蝋を塗らなきゃいけないし、炎も違ってくるでしょう。」
正直、長ささえ合わせてたら、適当にできるんじゃないかという安直な考えが頭をかすめていきましたが、確かに言われる通り、30号なのに20号程度のろうそくができてしまってはいけません。しかも、芯が小さすぎると、蝋だれをおこす危険性もあります。手がけをしてもらっている大與さんに、あわてて聞くことにしました。
「30号の芯の太さを教えて下さい。」
「一番太いところで13mm。一番下の穴の直径は10mmです。」
芯の穴が10mmもあるろうそくなんて、滅多に見ることもできません。どんなろうそくができるんでしょう?
正徳さんちには太さが1cmの芯巻きの棒はなかったので、すぐに近くの商店街の手芸屋さんへ急行しました。甘木の商店街はほとんどシャッターが閉まっていて、昼間でもちょっと暗い感じなんですが、手芸屋さんは開いています。中では年配のおばあちゃんたちが数人集まって帽子を作っていました。
正徳さんと私は10mmの太さの編み棒を見つけました。
編み棒の形をチェックしながら、
「ふ~ん。これならいいやろ。でもこの編み棒のラインだと芯を巻いた後、棒を引き出す時にやりにくいからサンドペーパーで削らないと…。」
側で聞いていた店員さん、
「何?削る?だめよ、削っちゃだめよ!コーティングしてあるんだから、毛糸が引っかかるでしょ!」
正徳さん
「??。これはね、編み物するんじゃなくて、ろうそくの芯を巻くためにいるのよ。」
店員さん
「ああ。ろうそくの芯ね。わかったわぁ。」
私は内心、ろうそくの芯巻きと言ったら、店員さんがすぐに納得していたことに驚きました。さすがは芯巻きの町、甘木?
帰り道、正徳さんが懐かしそうに言っていました。
「昔はね、編み棒がなかったんだから、大きい芯巻きの棒がいる時は、竹を削って作ってたのよ。父がいつもそうしてた。」
昔は何かを作るための道具は全て手作りです。今はハンドメイドのお店で調達。便利になったといえば便利なんだけど、個人のスキルとしては、随分衰えてるんだよなぁと複雑な思いがしました。といって、私が竹を削って芯巻きの棒を作ってたら、1本のろうそくを作るのに半年ぐらいかかってしまいそうだし…。
芯巻き棒を調達したので、後は紙です。書道用の半紙で7寸。幅を芯巻き棒に合わせて切ってOKです。
「じゃあ、棒を調整してから巻いておくわね。できたら連絡するから。」と正徳さん。
さてさて、今までの中で一番大きいろうそくの芯です。どんな芯ができあがるのか楽しみになってきました。
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30号…。いつも正徳芯和ろうそくの5本入りで販売しているろうそくは2号ですから、非常に大きいろうそくを作ることになります。用途は寺に奉納するとのことでした。
さっそく正徳さんに相談して、30号のろうそく用芯を依頼しました。
「30号というと、丈はどのくらい?」と正徳さん。
「ええっと、23cm…みたいです。」と私。
「センチじゃなくって、寸で言うのよ。全部寸で合わせてるんだから。」
「ええっと、(3.3で割れば…)7寸です!7寸!」
「芯巻き棒があるかしら。6.5寸ならこないだ巻いてたけど…。」
「それでいいんじゃないですか?」
「だめよ。もし芯が細すぎたら、余計に蝋を塗らなきゃいけないし、炎も違ってくるでしょう。」
正直、長ささえ合わせてたら、適当にできるんじゃないかという安直な考えが頭をかすめていきましたが、確かに言われる通り、30号なのに20号程度のろうそくができてしまってはいけません。しかも、芯が小さすぎると、蝋だれをおこす危険性もあります。手がけをしてもらっている大與さんに、あわてて聞くことにしました。
「30号の芯の太さを教えて下さい。」
「一番太いところで13mm。一番下の穴の直径は10mmです。」
芯の穴が10mmもあるろうそくなんて、滅多に見ることもできません。どんなろうそくができるんでしょう?
正徳さんちには太さが1cmの芯巻きの棒はなかったので、すぐに近くの商店街の手芸屋さんへ急行しました。甘木の商店街はほとんどシャッターが閉まっていて、昼間でもちょっと暗い感じなんですが、手芸屋さんは開いています。中では年配のおばあちゃんたちが数人集まって帽子を作っていました。
正徳さんと私は10mmの太さの編み棒を見つけました。
編み棒の形をチェックしながら、
「ふ~ん。これならいいやろ。でもこの編み棒のラインだと芯を巻いた後、棒を引き出す時にやりにくいからサンドペーパーで削らないと…。」
側で聞いていた店員さん、
「何?削る?だめよ、削っちゃだめよ!コーティングしてあるんだから、毛糸が引っかかるでしょ!」
正徳さん
「??。これはね、編み物するんじゃなくて、ろうそくの芯を巻くためにいるのよ。」
店員さん
「ああ。ろうそくの芯ね。わかったわぁ。」
私は内心、ろうそくの芯巻きと言ったら、店員さんがすぐに納得していたことに驚きました。さすがは芯巻きの町、甘木?
帰り道、正徳さんが懐かしそうに言っていました。
「昔はね、編み棒がなかったんだから、大きい芯巻きの棒がいる時は、竹を削って作ってたのよ。父がいつもそうしてた。」
昔は何かを作るための道具は全て手作りです。今はハンドメイドのお店で調達。便利になったといえば便利なんだけど、個人のスキルとしては、随分衰えてるんだよなぁと複雑な思いがしました。といって、私が竹を削って芯巻きの棒を作ってたら、1本のろうそくを作るのに半年ぐらいかかってしまいそうだし…。
芯巻き棒を調達したので、後は紙です。書道用の半紙で7寸。幅を芯巻き棒に合わせて切ってOKです。
「じゃあ、棒を調整してから巻いておくわね。できたら連絡するから。」と正徳さん。
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