以前、“鰻にワインを! ~ 『五代目 野田岩』にて”で、『野田岩』ではワインの持ち込みができ、それも1本目は無料だ、と書いた。
しかし、残念ながら、それはもう過去の話。昨日知ったが、ワインの持ち込みを止めて1年近くになるという。今日はその理由について書きたい。
昨日、久々に『野田岩』に行った。今回もワインを持ち込ませて頂こうと、いそいそとオーストラリアの赤ワイン(シラーズ)を持って出かけた。5時に着いたが、既に十数組待っている。やはり夏場の鰻屋さんを馬鹿にしてはいけない。一瞬帰ろうかと思ったが、お盆休みの土曜日の麻布、他にあてがあるわけではない。僕らは待つことにした。
待つこと1時間15分、漸く席が空いた。3階の和室に案内された。僕らは、ビールとつまみ、それに白焼と鰻重を注文した。ビールを飲みながら、飲み物のメニューを見ていたところ、最後に信じられない一言が。当店はワイン、日本酒等の持ち込みは行っていません、とある。ちょっと待って、今まで持ち込みOKだったのに・・・、それを楽しみにわざわざ遠くからやって来たのに・・・。
僕は、怒る気持ちを抑え、冷静にと言い聞かせながら、店の人に「ワインの持ち込みはいつ止められたのですか?」と訊ねた。
すると、彼女は「もう1年近くになるでしょうか。」と前置きし、話を始めた。要約すれば、そもそもワインの持ち込みは五代目がワインがお好きで、お客様の記念日などに記念のワイン、思い出のワインと一緒に鰻を楽しんで頂ければと始めたものの、最近その趣旨をご理解頂けないお客様が増えてきたため止めざるを得なかったというのである。
聞けば、確かにひどい。「モンスター・ペアレント」ならぬ「モンスター・ゲスト」だ、と僕は思った。
「スーパーで買った340円のワインを持ってくる人」、「大きなペットボトルの焼酎を持ち込む人」、「缶ビールをケースで持ち込み、2缶目からは持ち込み料をと言ったところ逆ギレした人」等々、どれも論外、非常識である。皆、持ち込みを自分に都合の良いよう拡大解釈し、それが正しいと信じているようだ。客だから何を言っても良いと考えているのだろうか、極めて自己中心的である。
本来、店と客との関係というのは、一種のギブ・アンド・テイクであるべきだ。店は素晴らしい料理とサービスを提供するよう努め、客はそれを評価、あるいは感謝して対価を支払う。料理等に満足しなかったのならば、もうその店には行く必要はない。逆に、店のご厚意に応えられない、あるいは店のルールに従えないのであれば、その店に行く資格がないと僕は思う。件のモンスター・ゲストは、スーパーかデパートで鰻を買って、家で好きな酒を好きなだけ飲みながら食べれば良い。
怒り心頭のあまり文句ばかりで終わってしまいそうだが、最後にちょっと良い話を。
僕の訊ねた店員さんが、「鰻にワインを合わせるのを楽しみにしていらしたお客様が、ワインの持ち込みが出来ず、残念がられていたと五代目に伝えておきます。」と言った。僕はほんの気休めだろうと思い、聞き流していた。
しかし、僕らが鰻重を食べ終わり、周りも少し落ち着き始めた頃、突然、五代目が僕らの席にやってきた。80代半ばのお年を考えると、3階まで階段でいらして頂くだけで恐縮である。その上、今日は申し訳なかった、とおっしゃった。正直に、残念でしたと答えながらも、持ってきたワインを五代目に鰻と試していただくよう差し上げた。
五代目のまじめさ、そしてお客様のことを想う気持ちに触れることができ、ますます『野田岩』のファンになってしまった。あとは次回来た時に、ボルドーなどフランスの赤ワインの中にオーストラリア・ワインが加わっていると嬉しいが。
しかし、残念ながら、それはもう過去の話。昨日知ったが、ワインの持ち込みを止めて1年近くになるという。今日はその理由について書きたい。
昨日、久々に『野田岩』に行った。今回もワインを持ち込ませて頂こうと、いそいそとオーストラリアの赤ワイン(シラーズ)を持って出かけた。5時に着いたが、既に十数組待っている。やはり夏場の鰻屋さんを馬鹿にしてはいけない。一瞬帰ろうかと思ったが、お盆休みの土曜日の麻布、他にあてがあるわけではない。僕らは待つことにした。
待つこと1時間15分、漸く席が空いた。3階の和室に案内された。僕らは、ビールとつまみ、それに白焼と鰻重を注文した。ビールを飲みながら、飲み物のメニューを見ていたところ、最後に信じられない一言が。当店はワイン、日本酒等の持ち込みは行っていません、とある。ちょっと待って、今まで持ち込みOKだったのに・・・、それを楽しみにわざわざ遠くからやって来たのに・・・。
僕は、怒る気持ちを抑え、冷静にと言い聞かせながら、店の人に「ワインの持ち込みはいつ止められたのですか?」と訊ねた。
すると、彼女は「もう1年近くになるでしょうか。」と前置きし、話を始めた。要約すれば、そもそもワインの持ち込みは五代目がワインがお好きで、お客様の記念日などに記念のワイン、思い出のワインと一緒に鰻を楽しんで頂ければと始めたものの、最近その趣旨をご理解頂けないお客様が増えてきたため止めざるを得なかったというのである。
聞けば、確かにひどい。「モンスター・ペアレント」ならぬ「モンスター・ゲスト」だ、と僕は思った。
「スーパーで買った340円のワインを持ってくる人」、「大きなペットボトルの焼酎を持ち込む人」、「缶ビールをケースで持ち込み、2缶目からは持ち込み料をと言ったところ逆ギレした人」等々、どれも論外、非常識である。皆、持ち込みを自分に都合の良いよう拡大解釈し、それが正しいと信じているようだ。客だから何を言っても良いと考えているのだろうか、極めて自己中心的である。
本来、店と客との関係というのは、一種のギブ・アンド・テイクであるべきだ。店は素晴らしい料理とサービスを提供するよう努め、客はそれを評価、あるいは感謝して対価を支払う。料理等に満足しなかったのならば、もうその店には行く必要はない。逆に、店のご厚意に応えられない、あるいは店のルールに従えないのであれば、その店に行く資格がないと僕は思う。件のモンスター・ゲストは、スーパーかデパートで鰻を買って、家で好きな酒を好きなだけ飲みながら食べれば良い。
怒り心頭のあまり文句ばかりで終わってしまいそうだが、最後にちょっと良い話を。
僕の訊ねた店員さんが、「鰻にワインを合わせるのを楽しみにしていらしたお客様が、ワインの持ち込みが出来ず、残念がられていたと五代目に伝えておきます。」と言った。僕はほんの気休めだろうと思い、聞き流していた。
しかし、僕らが鰻重を食べ終わり、周りも少し落ち着き始めた頃、突然、五代目が僕らの席にやってきた。80代半ばのお年を考えると、3階まで階段でいらして頂くだけで恐縮である。その上、今日は申し訳なかった、とおっしゃった。正直に、残念でしたと答えながらも、持ってきたワインを五代目に鰻と試していただくよう差し上げた。
五代目のまじめさ、そしてお客様のことを想う気持ちに触れることができ、ますます『野田岩』のファンになってしまった。あとは次回来た時に、ボルドーなどフランスの赤ワインの中にオーストラリア・ワインが加わっていると嬉しいが。