25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

グローバル資本主義崩壊の後押し

2015年01月28日 | 社会・経済・政治
ニューヨーク、ロンドン、パリ、シドニー、シャンハイ のようなところで、今度観光客の誘拐事件や爆弾テロが起こったら、世界の海外向けの旅行会社は相当痛手となるだろう。人々は旅行しなくなる。すると国内でお金を使うことになるのだろうから、国内消費は増えると想像される。
 資本主義は歴史を辿っていくと、15%しか富めるものを生み出さないこともわかってきた。その富めるものは世界の安い賃金のところに工場を作り、利潤をあげてきた。ゼロ金利、ゼロインフレ、ゼロ賃金上昇は資本主義が行き詰まっていることを示している。もはや投資をする場所がなくなり、安くものをつくるところも少なくなってきているのである。
 新興国は、かつての日本のように中産階級を生み出すのが難しくなっている。安いエネルギー資源で発展していた1960年代とは様子が違うからである。世界は少数の富めるものがお金をだぶらせ、世界を支配するという構図になっている。
 資本主義は利潤が利潤を呼ぶのであるが。それが難しくなっている。リーマンショックに見られるように、もう安い労働賃金で商品をつくることの限界があるところに、自国の低所得者層をターゲットに金融工学で住宅の証券化をはかり、そのバブルが崩壊した。
 資本主義は成長ーバブル崩壊ー停滞 を繰り返しているが、今後最も心配されるのは中国のバブル崩壊である。また日本の財政破綻である。相変わらず「成長」を唱える安倍首相はどこに成長の市場があるというのか、わからない。破綻を先延ばしにして、未来の人たちの分まで今お金を使ってしまっている。この財政の借金を減らすために、政府は無意識にスーパーインフレを起こし、物価が10倍になれば、借金が10分の1になるという風に仕掛けているように思えてならない。

 資本主義の隆盛は始め、植民地政策、ついで周辺国での安い労働賃金と安い石油を使って成長した。それが主要先進国の方策だった。新興国には51億人の人がいて、彼らがすべて車を持ち、エアコンを使いとなるならば、地球は維持できない。

 15%のみが富めるもので、あとの85%が貧しきもの。その象徴がISILによるテロだと思う。本当は彼らはどこまでイスラム教に帰依しているのかしらないが、テロの根底に「貧しさ」があるに違いない。イギリスやフランス、アメリカへの恨みもあるに違いない。最高で15%のものが富を独占する経済システムが崩壊しつつあるところに今回のテロ事件が起こった。
 ギリシャではEUを脱退する主張する急進左派連合が政権を担うことになった。ボーダレスの時代になっていくのかと思っていたら、一国主義がまた復活しようとしている。旅行にもいけなくなったら、一国主義にみななってしまう。ビジネスマンは細心の警戒をしなければならず、観光客はおそろしくて旅行を控える。あたかもISILがグローバル資本主義の崩壊の後押しをしているように見える。

 世界は混沌としてきた。どうにもならなくなってきたと言ってよい。
 定規で線を引いたような国家の分断を図ったイギリスやフランスの人々は今どう思っているのだろう。定規の線がイスラムの人々みずからが引き直すときが、どうやら資本主義の終りとリンクしているように思えてしかたがない。