長編小説を試し読みしてもらうためには、印刷をして、紙を折って、ホッチクスで留める作業がある。ページ数が300ページを越えるとなればかかるお金もたいへんなものだ。
ところが、今の世の中、便利である。ネットでデータを送ると、一冊からでも印刷、製本をしてくれる。納期も守ってくれる。読んでもらうために、とりあえず20冊注文した。意見をきいてさらに加筆修正するつもりでいる。
さて、ひとつのものを作ると、次のものを書こうという気になる。
さて、と考える。羨ましい小説がある。漱石の「明暗」である。ファンタジーであるとか、サスペンスとかではない。結婚している主人公は結婚前にふられたぉとがある。なぜ急に、突然に自分から去って他の男と結婚してしまったのか。その理由を知りたいという衝動がる。人が殺されたり、極端な事件が起こるわけでもない。ところが読んでいると面白いもである。平凡な男であるにもかかわらず、読ませるのである。
この小説が未完成で、漱石も絶筆となっているぉととは関係はない。
漱石の小説は結構破綻しているものが多い。「こころ」を読んでいるとそう思うが、「こころ」は今も読まれている。
平凡に生きている人たちにもしっかりとドラマがある。抜き差しならないところまで行ってしまうことがある。
さあ、どうしようか、などと考える。こういうことあれこれ考えるのも楽しいことだ。