エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

平林寺を成り立たせる紅葉

2011年12月02日 | 日記
平林寺・・・松平信綱を嚆矢とする松平家の墓所である。



平林寺は禅寺であって、その広い境寺領内は静謐である。
だがしかしこの時期は、紅葉見物の参内者で充ち溢れる。



紅葉が藁葺き屋根とこれほど合うとは思ってもみなかった。
美しいコントラストである。



池には大きな錦鯉が遊弋する。



建屋と合致である。
この紅葉の赤は、京都にも負けないと言える。



美しい赤である。



ハッと息を呑む思いである。



散るから冬の季語となるのであって、樹に着いていては秋である。
正しく冬になっている・・・そうした景色である。



坂口安吾に「桜の森の満開の下」という小説がある。
鈴鹿の山賊とかどわかされた都の女との同棲生活を描いているのだけれど、桜の満開のときにはその下を風が吹き抜けると言うのである。
この平林寺の紅葉は、あたかもその小説を桜から紅葉に代えるだけで成り立つかのようである。

紅葉の下は怖いのである。

さて、平林寺の紅葉が終わって、本格的な冬となる。
その繰り返しこそが、禅の精神に通じるのである。



冗長に終わってはいけない。
メリハリを持った季節の移ろいこそが精神を鍛えるのであって、禅という修業が精神の中枢に据えられた日本の風土こそがこの平林寺を成り立たせているともいえるのである。




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