エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

凍てる日々

2011年12月15日 | 日記
凍てる日々が続くと、空気が乾燥していく。
空気が乾燥すると、植物の薄い部位が絮に変わって空中を浮遊する。

それがしかし種の保存となり、種の繁栄を約束するのだ。



八ヶ岳の麓の廃屋の一角に捨てられた、おそらくバケツに張った氷である。
多分10センチ近くは厚いと思われる。



畑には、うっすらと霜とも粉雪とも判然としない白いものが残っている。
寒さは日々募っていくのである。



かつては子どもたちの声に充ち溢れていた町営住宅である。
殆どが廃屋となって取り壊されるのを待っている。

2~3軒がまだ生活を送っている。
その家は高齢者であって、家を新築するなど不可能に近い。

町は住民が完全に立ち退くまで、静かに見守っていると言った按配である。
町は、市町村合併で市に併呑されて町役場は今、市の支所となっている。



そだ木が積まれている。
冬が深まっていく。

人里だけれど、人恋しい季節が始っているのである。
凍てつく寒さが、人の心までをも凍てつかせないようにと祈る。

植物の内、もっとも絮に変わって見栄えするのは、ススキである。



枯れ尾花。
枯れ芒。

なんとなく、うらぶれたイメージで人の口に膾炙されるけれど陽射しを浴びてそよぐ姿は美しい。



足元にも絮に変わった花々がある。



ドライフラワーにしても良いのだけれど、綿が千切れて舞うのである。
家中を浮遊されては困るのである。

昔々小さかった頃、この綿が耳の穴に入ると中耳炎になる!
と聞かされて、なんとなく防衛本能が働くようになっているのも悲しい性である。



蔓状の枝に白い花の名残が付いている。
遠目には桜花かと思わせるのである。

いまどき、山の中に入っていくとしばしば目にできる。
何となく気になる白い絮である。

凍てる日々が続く、御同輩諸子の御自愛を祈念するものである。




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