エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

寒返る

2016年02月11日 | ポエム
風が冷たい。
陽射しは穏やかなのだけれど、風が冷たいのだ。

寒返る、と云えよう。
明日は風が止むらしい。

立春を過ぎたいま、正に春隣にある。
大気がキリッとしていて、気持ちが良い。



春の小川がさらさらと流れる
薄氷すら張っていない。

血管の中を流れる血液の新鮮さでもある。
春隣の風情である。



ぼくは、陽だまりで休んだ。
風は冷たいのだけれど、陽射しを楽しんだ。







「寒返るベンチに晒す影もある」







木のベンチは、埃を払って座る。
その埃は、サラッと取り除くことが出来る。

埃が留まることが無い。
木の持っている特性でもあろうか。

この季節、とりわけ木の暖かさが有り難い。



明日は、こうした風景は無いのだろう。
池の面にさざ波が立って、水面の落葉が吹き寄せられている。

これもまた、寒さを加持させる春隣の演出である。



空は、あくまでも青かった。
藍より出し青。
蒼とも碧とも書く。

日本語の、豊かな表現力である。



     荒 野人