エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

蓮池の

2014年07月26日 | ポエム
蓮池の周りは、善男善女の天国である。
同時に、どうしても宗教的なオマージュを抱きやすいのだ。
芥川の「蜘蛛の糸」の印象が脳裏にくっきりと描かれていて上書きが困難なのである。



蓮池の周りを歩きながら、自分が釈迦になった気分になって「善行を施さないと・・・」などと迂闊にも思い込んでしまう。
それが、愚かなヒトの常ではある。







「古代蓮無量寿印行住座臥」

   無量寿印・・・菩薩や観音が結ぶ印の形である∞の形の印である。







ひらがなを使わない句は、はじめてだ。
なんだか、しっくりとしない。



その感覚があれば、まだ感性は鈍っていないな!
と知れる。



やはり、朝のうちは蓮池の花たちは鮮やかである。



これは、花弁を散らした「花托」である。
いわゆる「はちす」というものである。

生花に使用されることもある。
なんとも、不思議な空間を演出する。



そういえば、NHKの朝ドラの「蓮子」は白蓮のことだとついこの間知った。
仲間由紀恵が上手く演じている。

いつの時代にも、奔放で時代のからを破る女性はいる。
閉塞の時代に入ろうとする今こそ、平成の百連が出てほしいものである。

白い蓮の花からは、百連の嗚咽がもれてくるようではないか。
そうした、嫋やかな女性にぼくは狂おしく恋してしまう。
女性は、やはり魔性であるのかもしれない。



その魔性の女性は、いつだって身近にいる。
だから男は生きていけるのである。



       荒 野人

奄美便り7「ディゴの並木径」

2014年07月25日 | ポエム
やはり、カケロマ島である。



この枝の先は、見事なまでに海へと雪崩れている。
真紅の花は、きっと海に落ち込んでいく。

その様が、手に取るように分かるのだ。



防波堤の湾曲が美しい浜である。



その湾曲した防波堤を、取り込むようにディゴの巨木が囲んでいるのである。







「防波堤ディゴの枝先花一気」







このカケロマに渡るのには、フェリーを使う。
奄美大島の瀬戸内町古仁屋の港からである。



フェリーの名前もそのもズバリ「フェリーかけろま」である。



車を積み、上階の客室に入る。
海風が爽やかである。

大島海峡は、海があくまでも透明である。
その清明さが、風をも浄化するのだ。
この海峡には「グラスボート」が運航している。



       荒 野人

奄美便り6「琉球石垣」

2014年07月24日 | ポエム
奄美だけれど「琉球石垣」と云う。
この石垣、風雨に強いのだ。
何より、材料はそこら中にあって簡易に手に入る。



家のぐるりをこの石垣で囲むのだ。
珊瑚石を多角形に切って積むのである。

風通しも良い石組である。



けれども、段々この石垣は少なくなっている。
崩れると。そのまま放置されてしまう。



この石を組む技術が風化するのは、少しばかり心配である。
中には、崩れるのを防ぐため石と石の間をコンクリートで固めた石垣もあるのである。



それも宜(むべ)なるかな、である。
この石垣を見て頂ければ、分かるのだが・・・。
実は、この石垣の空間が、毒蛇ハブの格好の棲家となってしまうのである。
珊瑚石は風通しが良いから、きっと住み心地が良いのだ。







「石垣や隙間を通る夏の風」







このように、危険な場所では必ず「ハブ取り棒」が立てかけてある。
この石垣は、カケロマ島である。



あの「男はつらいよ」の撮影場所となった島である。
浅丘ルリ子演ずる「リリーの家」がこの近くに設定された。



海はこんなに奇麗である。
きっと、どこかでリリーがぼくを待っているのかもしれない。
そうであれば、楽しい。



       荒 野人

奄美便り5「デイゴの花」

2014年07月23日 | ポエム
デイゴの花はもう終わった。
大体6月初めから7月初めが、咲き時であって見頃なのだ。

奄美でもっともデイゴが見事なのは「カケロマ島」なのだ。
そのデイゴ並木は、明日お見せする。

今日は残り花のデイゴだ。



ここは「奄美パーク」である。



電線の多い景色。
奄美では珍しいのである。

向こうに見えるのは「喜界島」の島影。
奄美諸島の中でも、猛毒のハブのいない島だ。



梅雨明けの奄美大島は、ものの影が鮮明である。
影の鮮やかさが、南の島だと教えてくれる。







「学舎やディゴの花のいつも咲く」







もう、殆ど咲いてはいない。
けれど、この木だけは咲いている。

例えば沖縄だと、年中咲いている印象がある。
そして、小中学校には必ずある木である。

ここ奄美でも、殆どの学校には植栽されているのだ。
そうであって欲しい・・・そんなぼくの個人的な願望である。



      荒 野人

梅雨明け

2014年07月22日 | ポエム
今日、関東地方は梅雨明けしたらしい・・・のだ。
確かに、早い時間から日差しが鋭くなっている。



大気が乾き始めている。
夏の蝶は、土に止まって水分を吸収しているのだ。
ピクリとも動かない。



ツバメは、切っ先鋭く舞い上がるけれど梅雨明けの暑さに動きを止める。
電線に留まっている。







「空乾くどうやら梅雨の明けらしき」







梅雨明けに恋しくなるのは、やはり水のある風景。
小川でも、用水でも・・・どちらでも良い。



水と万緑が心を平らかにしてくれる。
暑さを和らげてくれるのだ。


いよいよ暑さの本番。
御同輩、くれぐれもご自愛を!



      荒 野人