自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆クルーズ船入港ラッシュの金沢港 港の有事利用もこれから整備へ

2025年04月03日 | ⇒ドキュメント回廊

金沢港ではクルーズ船の入港ラッシュが始まっている。先日(先月30日)能登へ行く途中に金沢港に立ち寄ると、モナコ船籍のクルーズ船「シルバー・ミューズ」(4万791㌧・定員596人)が停泊していた=写真=。港の埠頭には観光バスが10台ほど並び、インバウンドの乗船客が乗り込んでいた。一般社団法人「金沢港振興協会」公式サイトによると、この日の朝に韓国の釜山から到着し、翌31日夜に青森港に向けた出発したようだ。このほかにも、今月8日にはこの船の4倍の大きさのスイス船籍「MSCクルーズ」(17万1598㌧・定員4386人)が入港する予定のようだ。3月から6月までの4ヵ月間で計32隻が寄港することになっている。

その金沢港に関する気になるニュース。メディア各社の報道(2日付)によると、政府は有事の際に自衛隊や海上保安庁による利用に備えて整備する「特定利用空港・港湾」に7道県の計8ヵ所を追加すると決定した。追加された8ヵ所のうちの港湾として金沢港が入っている。港湾では輸送鑑や護衛艦などの接岸に向けて海底の掘り下げや岸壁整備が行われる。個別の経費は掲載されていないが、2025年度予算で8ヵ所で計968億円を充てる。

記事によると、同じ日本海側で鳥取・島根両県の境港も今回、有事利用施設に追加されている。これまで北海道や沖縄で港湾の有事利用施設が整備されてきたが、新たに日本海側でも整備を急いでいるような印象を受ける。ちなみに、同じ日本海側ではこれまで福井県の敦賀港と福岡県の博多港の2港だった。なぜ日本海側で有事利用施設を増やすのか。

去年2024年6月に日米韓の海上保安機関による合同訓練「フリーダム・エッジ」を初めて実施。アメリカ沿岸警備隊の巡視船など3ヵ国の船が日本海に集結し、京都・丹後半島沖で大掛かりな訓練を実施している。11月には自衛隊とアメリカ軍、韓国軍による共同訓練を東シナ海で実施し、アメリカ軍の原子力空母「ジョージ・ワシントン」など艦艇7隻が参加している。一方のロシア海軍は去年9月に「オケアン(大洋)2024」と名付けた大規模な海上演習を実施し、極東ウラジオストクに近い日本海では中国軍の艦船4隻が参加している。まさに、海上でのにら見合いの様相だ。金沢港にアメリカ軍の原子力空母が入る日がやってくるのか。

⇒3日(木)午前・金沢の天気   くもり時々あめ

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★テレビ局という「ムラ社会」の発想と人権社会の感覚の隔たり

2025年04月01日 | ⇒メディア時評

かつて民放テレビ局に籍を置いたことがある自身の読みだが、一連のフジテレビ問題、これは民放の企業風土の問題そのものではないだろう。ある意味で民放はタテ割り社会で、たとえば番組のプロデューサーが番組制作に関わる人選(ディレクターや出演スタッフ)や制作会社の選定など担う。キー局のゴールデン番組ともなれば、おそらく数百人の規模ではないだろうか。なので、スタッフはプロデューサーには逆らえない。番組では絶対的な権力者でもある。言葉は適当でないかもしれないが、番組という「ムラ社会」だ。このムラの中では長(おさ・プロデューサー)に視聴率という数字を献上する従者(ずさ・ディレクター)がいて、中には数字を上げるために「やらせ」や「捏造」という悪さをする者もいる。

今回のフジテレビの一連の問題で焦点となっているのが、ムラの長が女衆(女性社員)に「晩酌の付き合いをせい」と半ば迫ったことだろう。長とすれば、同じムラという共有意識があれば、付き合いは当たり前という身勝手な思惑があったのだろう。そのムラ社会の発想と人権社会の感覚の隔たりが見えてきたのがフジテレビ問題だった。繰り返しになるが、これは民放の企業風土の問題なので、ほかのキー局や系列局などでも起こりうる、あるいは起きていることなのかもしれない。

フジ・メディア・ホールディングスはきのう(31日)、元タレントの中居正広氏と女性とのトラブルをめぐる第三者委員会の調査報告書を公表した。その様子をフジ系のローカル局で視ていた。委員長の弁護士は手厳しく指摘していた。人権侵害の疑いがあるにもかかわらず、フジテレビの社長ら幹部が「プライベートな男女間のトラブル」と即断したことが「対応を誤る大きな要因となった」「経営判断の体をなしていない」と断じていた。また、情報公開のあり方についても、2024年12月に公開した一部報道に対する会社見解について否定すべき部分は否定するという方針ありきで、「問題があったと言わざるを得ない」と指摘した。(※写真は、フジテレビ社長の生中継での記者会見の様子)

午後8時からのBSフジ「プライムニュース」では、冒頭で女性キャスター2人が「反町キャスターからは『状況に鑑み、番組の出演を見合わせたい』との申し出がありました。BSフジとプライムニュースではこれを受け、今夜は2人でお伝えします」と述べていた。第三者委員会の報告書では、反町氏が総理官邸キャップや政治部デスクだった2006年から2008年にかけて、後輩の女性記者2人に対するハラスメント行為があったと報じられている。食事の誘いを女性から断わられると、この女性に対して原稿が遅いなどと叱責のメールを部内共有で送信するなどしていたようだ。その後、キャスターとなり、報道局解説委員長、取締役なども務めることになる。フジテレビのムラ社会がよく見えてくる。

⇒1日(火)夜・金沢の天気  くもり時々あめ

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☆桜は咲けど金沢は騒然とした街に 「尹奉吉記念館」めぐり街宣車連なる

2025年03月31日 | ⇒ドキュメント回廊

金沢でもソメイヨシノが咲き始め、金沢地方気象台は29日に開花は発表した。平年より5日早い開花という。自宅の近くにある「六斗の広見(ろくとうのひろみ)では、泉野菅原神社の早咲きの寒桜が満開を迎えている=写真・上=。後を追うようにソメイヨシノが咲くとまるで競い咲きのような華やかさが楽しめる。ちなみに広見はいわゆる広場のことで、市内の何ヵ所で設けられている。これは藩政時代から火災の延焼を防ぐため火除け地としての役割があったとされる場所だ。

話は変わる。きのう(30日)午後、買い物のために金沢市の市街地を車で走るととても混んでいた。道路のところどころに警察官が多数配置されていて、バリケードを設置して警戒に当たっていた。そして、聞こえてきたのがいわゆる右翼団体の街宣車による大音量のマイクの叫びだった。その街宣車は数十台は走っているように見えた=写真・中=。何を叫んでいるのかよく聞き取れなかったが、「尹奉吉記念館・・・」との文字が見えたので、「いよいよ騒動になってきたのか」と憂鬱な気持ちになった。

韓国では「義士」として知られる尹奉吉(ユン・ボンギル)。現在の韓国大統領の尹錫悦氏が2022年6月に大統領選挙への出馬を宣言した場所がソウルにある「尹奉吉義士記念館」だったことでも知られる。その尹奉吉の碑が金沢市の野田山墓地にある。日本が朝鮮半島を統治していた1932年4月29日、中国・上海の日本人街で行われていた天長節(天皇誕生日)の行事に、尹奉吉が手榴弾を投げ込んで日本軍の首脳らを死傷させ、軍法会議で死刑判決となった。その後、陸軍第9師団の駐屯地(金沢市)に身柄が移管され、同年12月19日に銃殺刑に処せられた(Wikipedia「尹奉吉」)。戦後、韓国では「尹奉吉義士」と称され、野田山には在日大韓民国民団石川県地方本部が建立した碑がある=写真・下=。

メディア各社の報道によると、韓国メディアがことし1月に尹奉吉の「追悼記念館」の設置が金沢市内で計画されていると報道。設置に動いているのは民団ではなく、韓国在住の元テレビプロデューサーという。そのオープンの日が爆殺事件を起こした「4月29日」であることから、右翼団体を巻き込む騒動に持ち上がっている。今月2日には民団県本部の壁に、開設計画に反対する右翼団体のメンバーとみられる軽自動車が突っ込む事件が起きている。韓国人にとっては「義士」なのだが、日本人にとっては「テロリスト」でもあり、今後この騒動がどう展開していくのか。

それにしても、右翼団体が大音量で叫びながら街宣車で連なる騒然とした光景は、金沢を訪れている多くのインバウンド観光客にはどう映るだろうか。「ファシズムが金沢で頭をもたげている」との印象ではないだろうか。

⇒31日(月)午後・金沢の天気   はれ

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★能登地震は復興ステージへ 仮設住宅から公営住宅に、地元ラーメン店も再開

2025年03月30日 | ⇒ドキュメント回廊
ミャンマーの中部で28日に発生したマグニチュード7.7の地震は、去年元日の能登半島地震の2倍のエネルギーを持った揺れだったとメディア各社が報じている。震源から1000㌔離れたタイのバンコクでは建設中のビルが倒壊した。遠隔地にもたらす揺れは「長周期地震動」と呼ばれ、2011年3月11日の東日本大震災でも震源から700㌔離れた大阪市の高層ビルで被害が出ていた(29日付・読売新聞Web版)。地震の揺れはどこに何をもたらすのか分からないところがむしろ怖い。
 
能登半島地震から間もなく1年3ヵ月が経つ。気になるのは復興のペースだ。奥能登では9月21日に48時間で498㍉という記録的な豪雨にも見舞われている。このため、石川県では仮設住宅を急いで整備してきた。地震の被災者向けに6882戸、豪雨の被災者向けに286戸を完成させ、被災者に供給しているものの、仮設住宅はあくまでも応急措置であり、契約期間は原則2年だ。復興となると、長年にわたって使える公営住宅が急がれる。県の公式サイトをチェックすると、「復興公営住宅の整備状況について」というページが設けられていて能登を中心に9市町(輪島市、珠洲市、能登町、穴水町、七尾市、志賀町、中能登町、羽咋市、内灘町)で被災者向けの公営住宅を建設すると公表している。
 
県のサイトでは、建設予定地別に入居までの工程表が示されている。輪島市では4ヵ所で公営住宅が整備され、中心街に近い同市宅田町ではRC造(鉄筋コンクリート造)の集合住宅150戸が2027年3月までに建設される予定となっている。ほかの3ヵ所については場所や戸数や建て方、構造などはまだ未定のようだ。県では9市町で計3000戸程度の公営住宅を建設する見通しを示していて、「災害に強く地域の景観やコミュニティの維持に寄与し、子供から高齢者まで安心して暮らせる環境や持続性を持った住まいづくり」を整備指針に掲げている。
 
被災地をめぐると店舗なども徐々に再開している。先日、能登半島の尖端の震源地から直線距離で100㌔も離れた金沢市に隣接する内灘町に行くと、「8番らーめん」の店が「熱い一杯、再び!がんばろう内灘!」と書かれた横断幕を掲げて店を再開していた=写真=。内灘町の河北潟に面する地区では地震による液状化で地盤が隆起して道路や駐車場のアスファルトがめくれ上がり、建物も大きく傾くなどの被害に見舞われていた。「8番らーめん」は地元石川県発祥のラーメンチェーン店で、ある意味でソウルフードとして親しまれているので、店の再開を待ちわびていた住民も多かったのではないだろうか。
 
⇒30日(日)午後・金沢の天気    あめ
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☆追加関税は「二兎を追う者は一兎をも得ず」か 万博に能登の「日本最古おにぎり」

2025年03月29日 | ⇒ニュース走査

アメリカのトランプ大統領が豪語する「関税の壁」は本当に、より強い経済を自国にもたらすのか。アメリカの消費者にアクセスしたい企業は国内に生産拠点を構えるか、高関税を払うかの二択を迫られる。そうなれば、前者は雇用を生み、後者は税収を生む。これが「AMERICA  IS  BACK」、アメリカを再び偉大にするための戦略なのだという。そもそも、自由貿易協定を結んでいるカナダやメキシコに高関税の圧力をかけたことで、アメリカの信頼そのものが損なわれたのではないか。28日のアメリカ株式市場で、ダウ工業株が前日比で715㌦安、ハイタク株のナスダックは481㌦安と下げている。アメリカの景気の先行きや物価高への懸念が広がっているのではないか。「二兎を追う者は一兎をも得ず」、そんなたとえが浮かんだ。(※写真・上は、ホワイトハウス公式サイトより)

話は変わる。4月13日に開幕する大阪・関西万博で、日本のコメ文化を発信する「日本最古のおにぎり」が展示されると、石川県の地元メディア各社が報じている(29日付)。1987年に能登半島の中ほどに位置する中能登町の杉谷チャノバタケ遺跡の竪穴式住居跡から、黒く炭化したおにぎりが発掘された。化石は約2000年前の弥生時代のものと推定されている。出土したおにぎりは「チマキ状炭化米塊」(ちまきじょうたんかまいかい)と呼ばれ、現在は石川県埋蔵文化財センターで保管されているが、そのレプリカが同町にある複合施設「ふるさと創修館」で展示されていて、万博会場で展示されるのはそのレプリカとなる。(※写真・下は、出土したチマキ状炭化米塊=中能登町観光協会公式サイトより)

日本最古のおにぎりが出土したチャノバタケ遺跡の周辺は、能登における稲作文化の発祥の地でもある。邑知(おうち)地溝帯と呼ばれる穀倉地帯が広がる。地溝帯を見渡す眉丈山の山頂には国史跡の「雨の宮古墳群 」がある。北陸地方最大級の前方後方墳と前方後円墳で、4 世紀から5世紀(弥生後期)もののとされる。その古墳群のふもとには延喜式内の神社など古社あり、コメ作り文化の歴史を今に伝えている。その一つ、チャノバタケ遺跡近くにある鎌の宮諏訪神社では毎年8月27日に「鎌打ち神事」が営まれる。鎌で平野を開墾し、田んぼの害虫などが退散することを願った神事とされる。そして、コメの収穫に感謝する新嘗祭で神酒として「どぶろく」を造り続けている古社がこの地域では3社ある。

日本最古のおにぎりと同時に、日本酒のルーツでもあるどぶろくをコメ作り文化のシンボルとして二本立てで万博に展示してはどうだろうか。ユネスコ無形文化遺産に日本の伝統的な酒造りが登録され、その日本酒の原酒でもあるどぶろくの説明をすることは、とても意味がある。中能登町は「どぶろく特区」に登録されていて、どぶろくブランドをPRするチャンスかもしれない。

⇒29日(土)夜・金沢の天気    はれ

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★自動車の追加関税25%の衝撃 だれがトランプ大統領の暴走を止めるのか

2025年03月28日 | ⇒メディア時評

まだ桜(ソメイヨシノ)が一輪も開花していないというのに、きのう(27日)はまるで夏を先取りするかのような晴れの暑い一日だった。金沢の自宅近くにある街路樹通りの気温計は「28度」を示していた=写真・上、午後1時39分撮影=。金沢地方気象台によると、7月中旬並みの暑さで、3月としては観測史上最も高い気温となったようだ。市内の繁華街では半袖で歩くインバウンド観光客の姿も多く見られた。そして、きょうは一転、朝から雨で寒々しい。最高気温は14度の予報となっている。あすからは平年を下回る日もあるとの予報だ。「梅は咲いたか 桜はまだかいな」のような気分で春本番を待つ。

話は変わるが、「経済の寒気」は強まりそうだ。アメリカのトランプ大統領は日本を含む輸入自動車に対して25%の追加関税を課す布告に署名した(28日付・メディア各社の報道)。4月3日に発動する恒久的な措置で、乗用車は27.5%、トラックは50%の関税率となる。関税率の大幅な引き上げで国内外のメーカーにアメリカでの生産を促す目論見もあるようだが、これはトランプ氏の「暴走」ではないかとの印象を世界に与えるに違いない。

実際、アメリカ国内メディアも暴走を危ぶむ論調を発している。「The New York Times」電子版(27日付)は「Canada’s Prime Minister Says U.S. Is ‘No Longer a Reliable Partner’ on Trade」(※意訳:カナダの首相は、アメリカの貿易について「もはや信頼できるパートナーではない」と語った)の見出しで=写真・下=、カナダのほかにメキシコやヨーロッパ、日本、韓国の首脳陣の苦言を掲載している。

中でも信頼関係で成り立つ日本との同盟関係にヒビが入ったのではないだろうか。石破総理は先月2月7日のトランプ氏との日米首脳会談で、日本による対米投資額を1兆㌦の規模にまで引き上げると約束した。にもかかわらず、今月12日、トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、アメリカにおける大量の輸入車について日本を「最大の輸入元の国の一つ」と名指し、「日本にはアメリカ車がない」「日本はアメリカ車を受け入れない」とやり玉に挙げた(今月14日付・メディア各社の報道)。

トランプ氏が気にくわないのは、自動車輸出入をめぐる数字だろう。日本は2024年、アメリカに137万台の自動車を輸出し、対米輸出の総額は全体の3割を占める6兆円に上った。一方、日本はアメリカから「テスラ」や「ジープ」などを輸入しているが、その台数は日本が輸出する台数の100分の1ほどにとどまるとされる。トランプ氏はこの点が気にくわないのだろう。ちなみに、日本は1978年以降、輸入車に対する関税を課していない。

石破総理はきょうの参院予算委員会で、追加関税の対応について「日本経済に与える影響は極めて大きい」と懸念を示した上で、「アメリカの得にならないことを理解させるため、最も効果的なやり方を考える」と語っていた(28日付・NHK中継「参院予算委員会」)。日本政府はこれまで日系メーカーの対米直接投資の実績を訴えて追加関税の除外を求めてきたが、ないがしろにされた。むしろ、日米間の新たな溝が浮き彫りとなってきた。

⇒28日(金)夜・金沢の天気   あめ

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☆北朝鮮の弾道ミサイルとの関わり 旧統一教会の「献金の闇」

2025年03月27日 | ⇒ニュース走査

前回ブログの続き。信者からの献金や霊感商法で集めた膨大な額の金は韓国の世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の本部へと送金されている。それがどのように使われていたのか。2023年7月3日付「安倍事件まもなく1年 旧統一教会の『献金の闇』」で記事をまとめた。以下、再録。

これを宗教というのだろうか。宗教の名を借りた集金システムではないのか。(2023年)7月3日付の共同通信Web版によると、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の教団トップの韓鶴子総裁が6月末、教団内部の集会で「日本は第2次世界大戦の戦犯国家で、罪を犯した国だ。賠償をしないといけない」「日本の政治は滅ぶしかないだろう」と発言していたことが3日、関係者への取材や音声データで分かった。教団側は6月中旬、年間数百億円にも上るとされる日本から韓国への送金を今後は取りやめると説明していたが、トップが依然、韓国への経済的な見返りを正当化したことになる。

多額の献金は韓国の本部に集められた。それはどこに流れたのか。「文藝春秋」(2023年1月号)は「北朝鮮ミサイル開発を支える旧統一教会マネー4500億円」の見出しで報じている。旧統一教会と北朝鮮の接近を観察していたアメリカ国防総省の情報局(DIA)のリポートの一部が機密解除され、韓国在住ジャーナリストの柳錫氏が記事を書いている。旧統一教会の文鮮明教祖は1991年12月に北朝鮮を訪れ、金日成主席とトップ会談をした見返りとして4500億円を寄贈していた、と。(※写真は、北朝鮮が「極超音速ミサイル」と称する新型弾道ミサイル=日本の防衛省公式サイト資料「2019年以降に北朝鮮が発射した弾道ミサイル等」より)

さらにDIA報告書では、1994年1月にロシアから北朝鮮にミサイル発射装置が付いたままの潜水艦が売却された事例がある。売却を仲介したのが東京・杉並区にあった貿易会社だった。潜水艦を「鉄くず」と偽って申告して取引を成立させていた。韓国の国防部は2016年8月の国会報告で、北朝鮮が打ち上げたSLBM潜水艦発射型弾道ミサイルは北朝鮮に渡った「鉄くず」潜水艦が開発の元になっていたと明かした。この貿易会社の従業員は全員が旧統一教会の合同結婚式に出席した信者だった。

高額献金をめぐる旧統一教会の「深い闇」をどう断罪するのか。断罪がなければまた繰り返される。

⇒27日(木)午前・金沢の天気    はれ

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★黄砂でかすむ空からの「贈り物」 解散命令で旧統一教会問題は片付くのか

2025年03月26日 | ⇒ニュース走査

  金沢の街中が黄砂でぼんやりとかすんで見えた。きのう夕方に自宅近くの大乗寺丘陵公園から市内の中心部を見渡すと、水平方向で見通しが利く距離は8㌔ほどだったろうか。眺めていると目がかゆくなり、のどに違和感も感じた。黄砂は例年のことだが、厄介な「空からの贈り物」でもある。

金沢大学の教員時代に黄砂の研究者から聴いた話。黄砂に乗って浮遊する微生物や花粉、有機粉塵などは「黄砂バイオエアロゾル」と呼ばれる。ある研究者は発酵に関連する微生物がいることに気づき、能登半島の上空で採取したバチルス菌で納豆をつくり、金沢の食品会社と連携して商品化した。空から採取したので商品名は「そらなっとう」=写真・上=。納豆特有の匂いが薄いことから、機内食としても使われている。日本の納豆文化はひょっとして黄砂が運んできたのではないかとの研究者の解説を聴いて、妙に納得した。まさに「空からの贈り物」ではないだろうか。

話は変わる。東京地裁はきのう(25日)文科省の解散命令請求を受けて、宗教法人「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」)に対して解散を命じた=写真・下=。安倍元総理の射殺事件(2022年7月8日)から端を発し、犯人が恨みを持っていたという旧統一教会にいよいよ解散が命じられるという展開になった。もう半世紀も前の話だが、自身も高校生のころにこの教団に洗脳されそうになった経験がある。ブログの2022年7月13日付「マインドコントロールのプロ集団」で当時の様子を書いた。以下、再録。

金沢の高校時代、校門に立っていた金沢大学の医学生だという信者が「人間の幸福とは何か」「生きる幸せとはどういうことか」と問いかけてきて、その言葉が自身の胸に刺さった。市内の教会に何度か通った。ところが、途中から信者たちの話しぶりが命令口調に変わって来た。「こんなことが理解できないのか」といった見下しの言葉になっていた。教会に通っていたほかの高校生たちも自身と同様に途中で「脱落」した。が、熱心に通っていた同級生もいた。その一人が後に日本の旧統一教会の会長に就任した徳野英治氏だ。奥能登の出身で純朴そのものだった彼がいつの間にか大人びた話しぶりになっていた。今にして思えば、マインドコントロールのプロ集団の中にどっぷりと染まっていたのだろう。

高校を卒業してからは会うこともなかったが、再び彼を見たのはテレビだった。旧統一教会の霊感商法が社会問題となり、2009年2月に警視庁の摘発を受け複数の教団信者が逮捕されるという事件があった。このとき、記者会見で謝罪する徳野氏の姿が報じられた。しかし、徳野氏の謝罪以降も霊感商法は止まっていない。全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、1987年から2021年までの霊感商法による「被害件数」は3万4537件で、「被害総額」は約1237億円に上るという。物販には壺・印鑑・朝鮮人参濃縮液などが用いられている(Wikipedia「全国霊感商法対策弁護士連絡会」より)

霊感商法で旧統一教会は摘発を受けたが、当時、さらに問題になっていたことがあった。自民党と旧統一教会の癒着だ。反共産主義の立場を共有していて、教会側が選挙支援などを行っていた。自民の議員秘書の中には信者が入り込んでいるなどと、当時、新聞メディアなどが報じていた。いまでもその状況は変わっていないのではないだろうか。

政治と旧統一教会との関係性をネット検索すると、徳野氏が2016年6月、当時の安倍総理から首相官邸に招待されていた、との記事をいくつか見つけた。また、問題となった安倍総理主催の「桜を見る会」にも2015年と16年に旧統一教会幹部が招待されていたようだ。相当、政治に食い込んでいたことが分かった。

「信教の自由」は憲法20条で保障される権利である。しかし、教団という組織に入ってしまうと、基本的な人権や自由は保障されるのだろうか。とくに、カルト教団の組織の中では厳しい上下関係や寄付、さらに政治活動の動員といったことが現実にある。旧統一教会にマインドコントロールされていたのは、むしろ政治家ではなかったか。今回の事件を機に自民党は今後どうこの教団とかかわるのか、毅然とした対応が求められているのではないか。

⇒26日(水)午前・金沢の天気    はれ

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☆「転んでもただでは起きない」能登の震災現場を学習プログラムに活かす

2025年03月25日 | ⇒ドキュメント回廊

黄砂が列島を直撃する。気象庁の「黄砂解析予測図」によると、きょう25日午後9時ごろには北海道と沖縄を除いて日本列島がすっぽりと覆われる=図=。黄砂が飛来すると、外の洗濯物が汚れたりするほか、呼吸系の疾患の原因にもなり、かなり厄介だ。そして、給油スタンドでの洗車の待ちに時間が取られることになる。たかが黄砂、されど黄砂、だ。

話は変わる。去年元日の能登半島地震の被害の実情や災害からの教訓を学習プログラムとして修学旅行などに役立ててもらおうと、能登地域の6つの自治体と石川県、県観光連盟が災害学習の構築に取り組んでいる。この検討会がきのう(24日)輪島市で開催され、26の学習プログラムをまとめたと、地元メディア各社が報じている。学習プログラムには3つのテーマがあり、「自然の驚異」「防災・減災」「復興への取り組み」。海底が隆起した外浦海岸(珠洲市)や大規模火災に見舞われた朝市通り(輪島市)、地域を襲った津波の現場(能登町)などを見学に訪れて被災者から話を聴いたり、震度7の現地では防災キャンプ(志賀町)など多様な学習プログラムが提案されている。

26の学習プログラム内容を紹介する冊子を『能登復興の旅プログラム集』とのタイトルで5千部作成し、3大都市圏(東京、大阪、名古屋)の中学校や旅行会社に配布する。ことし8月に教育関係者、12月に旅行会社向けのモニタ-ツアーを実施する段取りで、来年度から本格的にツアーの受け入れを行うようだ。(※写真は、七尾市の学習プログラム「被災商店街で語り継ぐ能登半島地震の記憶」の現場。被災した和ろうそくの店など=2024年1月29日撮影)

被災地に誘う学習プログラム計画から受ける自身の印象を表現すれば、「七転八起」「転んでもただでは起きない」「レジエンス」という言葉だろうか。能登の絶景の地はそうした自然の驚異と人々の知恵で磨き上げられてきた歴史がある。輪島の白米千枚田はもともと深層崩壊のがけ崩れ現場を土地の人たちが耕し、観光地として知られるようになった。同じく輪島の曽々木海岸と真浦の断崖絶壁に道を開いたのは禅宗の和尚だった。「寺で座るのも禅、安全な道を開くのも禅修行」と悟り、浄財集めの托鉢に奔走し苦難の工事に挑んだ。その絶壁の道が昭和30年代の能登観光ブームにつながる。

数千年に一度の震災を活かす、ただでは起きない。能登半島は観光が重要な産業であり、修学旅行客のほか一般客やインバウンド客を呼び込むことで復興につながることに期待したい。

最後に、きょう3月25日は2007年の能登半島沖地震から18年となる。震度6強の揺れが輪島市であり、1人が亡くなり300人以上が負傷した。同じ年の7月16日には新潟県中越沖地震が起き、長岡市や柏崎市、刈羽村などで震度6強の揺れとなった。日本海側で立て続けに起きた地震だった。

⇒25日(火)午前・金沢の天気     くもり

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★大の里「荒れる春場所」制す 次は「綱とり」なるか

2025年03月24日 | ⇒トピック往来

地元石川県津幡町出身の大の里が大関昇進後で初めての優勝を飾った。けさの地元紙は一面を「大の里 3度目Ⅴ」の大見出しで、「来場所綱とり」と横綱昇進を期待している。1面のほかに4面にわたって写真グラフと関連記事を掲載している。もう一紙も「大の里 優勝」の大見出しで、社会面では地元津幡町の「次は横綱」の声を紹介している。

千秋楽はじつにドラマチックな勝利だった。結びの一番で大関・琴櫻と対戦。11勝3敗の大の里は、土俵中央で琴櫻に激しくぶつかり、そのまま土俵際まで追い込んで寄り切りで勝ち。そして、12勝3敗で並んだ前頭4枚目の高安との優勝決定戦に。大の里は、高安にまわしを取られて重心を崩されたものの、立てなおして送り出しで勝った。3場所ぶり3回目の賜杯を手にした。

それにしても「荒れる春場所」だった。10日目で1敗で優勝争いのトップに並ぶ大の里と髙安が激突。大の里の投げは髙安を呼び込む形になり、髙安が体を預けながら寄り切った。「勝ち急いだ。焦りました」と大の里は苦り切った顔でインタビューに応じていた。13日目で大の里は王鵬の押し出しに敗れ、3敗に後退。13日目を終わって、2敗で高安が単独トップに立ち、3敗の大の里が追うことに。高安は大関経験者でもあり、14日目には初優勝を決めるのかと思われていたが、平幕の美ノ海に敗れて3敗に。大の里が大栄翔に押し出しで勝って3敗に踏みとどまった。大の里と高安は3敗で並んで千秋楽を迎えた。

優勝争いから一歩後退しながらも、再びトップに並び、混戦の場所を制した大の里は24歳。勢いのある風情は2023年夏場所に幕下で初土俵を踏んだときから漂っていた。同じ年の秋場所で十両に昇進したときもずっとざんばら髪だった。2024年の夏場所からはちょんまげで土俵に上がり、同年の秋場所で2回目の優勝を果たして大関昇進を決めた。以降も髪型は変わらず、「ちょんまげ大関」と呼ばれていた。大銀杏の姿を披露したのはことし1月の初場所だった。史上最速と称されたスピード出世に髪の伸びが追いつかなかったのかもしれない。この勢いで「綱とり」に期待したい。

⇒24日(月)午前・金沢の天気   はれ

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☆遅咲きの梅の花 震災の倒壊ビルは片付くも、待たれる原因究明

2025年03月23日 | ⇒ドキュメント回廊

けさから金沢は晴れて、午前中の気温が16度と春の陽気を感じる天気となっている。そして、自宅庭の梅の木の花がようやく咲き始めた=写真・上=。金沢地方気象台の生物季節観測表によると、金沢の梅の開花は平年2月23日となっているので、まさに1ヵ月遅れだ。ちなみに観測表によると、これまでの早咲きは1月28日(1998年)、遅咲きは4月6日(1957年)とある。予報によると、気温はあす24日は22度、27日は25度の夏日となり、これから一気に開花するのだろう。そして気になるのは桜の開花。観測表の金沢の平年の開花は4月3日、ウェザーニュースの開花予想日だと4月2日だ。梅の散り際とソメイヨシノの咲き始めが同時に楽しめるかもしれない。

話は変わる。おととい(21日)輪島市の豪雨被災地と併せて震災地をめぐった。言葉は適切ではないかもしれないが、ある意味で震災のシンボル的な光景されてきたのが、240棟余りの商店や民家が全焼し焦土と化した朝市通り、そして、倒壊した輪島塗製造販売会社「五島屋」の7階建てビルだった。倒壊によってビルに隣接していた3階建ての住居兼居酒屋が下敷きとなり、母子2人が犠牲となった。倒壊現場を初めて見たのは2月5日だった。その倒れ方は壮絶だった。地面下に打ち込んで固定されていたビルの根っこ部分にあたるコンクリートと鉄による杭(くい)の基礎部分がまるでゴボウ抜きしたようにむき出しになっていた。まったくの素人目線なのだが、バランスを崩して根っこから倒れた、そんなように見えた。(※写真・中は2024年2月5日撮影、写真・下は今月21日撮影)

おととい現場を訪れると、倒壊したビルの公費解体はほとんど終わっているように見えた。解体作業が始まったのは10月初旬だったので、半年ほどかけてひと区切りが付いたように見えた。むしろ問題視されているのはビル倒壊の原因が何なのかという点ではないだろうか。一部報道によると、2007年3月25日の能登半島地震でビルが大きく揺れたことから、五島屋の社長はビルの耐震性を懸念して、地下を埋めて基礎を強化する工事を行っていた。それが倒壊したとなると、社長自身もビル倒壊に納得していないようだ。ビルの築年数は50年ほど。基礎部の一部が地面にめり込んでおり、くいの破損や地盤が原因ではないかとも指摘されている。

国土交通省が基礎部を中心に倒壊の原因を調べている。なぜ、震度6強の揺れに耐えきれずに根元から倒れたのか。ビル倒壊の原因が分かってくれば、責任の所在もおのずと明らかになるだろう。倒壊原因についてはいまだ公表されていない。

⇒23日(日)午後・金沢の天気   はれ

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★愛犬と詣でる神社 人にも動物にも「能登はやさしや」の土地柄

2025年03月22日 | ⇒ニュース走査

能登半島の中ほどに位置する中能登町では、神酒として「どぶろく」を造り続けている神社が3社ある。3社は延喜式内の古社でもあり、酒造りの長い歴史を有する。能登半島は国連の食糧農業機関(FAO)から「世界農業遺産」(GIAHS)に認定されているが、まさに稲作と神への感謝の祈り、酒造りの三位一体の原点がここにあるのではないか、この地を訪れるたびにそう感じる。3社の一つである天日陰比咩(あめひかげひめ)神社で面白いイベントが開催されるとニュースで知って、きょう見学に行ってきた。

イベント名は「神社でオフ会 WANだフル ㏌ 天日陰比咩神社」。各地から愛犬家がペットと同伴で集まり、ワークショップに参加し、さらにお祓いも受けることができるという催し。拝殿に上がると、小松市から訪れたという男性が秋田犬とともにお祓いを受けていた。男性は「(ペットは)家族の一員なので、健康と無事を願ってお祓いをお願いしました」と話し、お祓いの後、愛犬とともに玉串を捧げていた=写真=。社務所では犬と子どもたちが触れ合う場や、専門家による愛犬の困りごと相談の場も設けられていた。イベントはあす23日まで。

イベント会場を眺めていて、飼い主と愛犬のほんのりとした雰囲気が漂い、「能登はやさしや土までも」という言葉を思い出した。天日陰比咩神社は石動山(せきどうざん、標高565㍍)のふもとにある神社である。石動山は古来の山岳信仰の霊場でもあった。いまも伊須流岐比古(いするぎひこ)神社の社殿や堂塔伽藍が建ち並ぶ。

「能登はやさしや土まで」という言葉が文献で出てくるのは、元禄9年(1696)に加賀藩の武士、浅加久敬が書いた日記『三日月の日記』だった。浅加は馬に乗って、当時は「御山」と呼ばれていた石動山へ参拝に上った。七曲がりという険しい山道を、道案内をする地元の馬子(少年)が馬をなだめながら、そして自分も笑顔を絶やさずに一生懸命に上った。武士は馬にムチ打ちながら上るものだが、少年は馬を励まし、やさしく接する姿に感心し、日記に「されば・・・能登はやさしや土までも、とうたうも、これならんとおかし」と綴った。「能登はやさしや」はもともと加賀に伝わる杵歌(労働歌)に出てくる言葉だった。

そもそも天日陰比咩神社では、高齢や身体に障害があり階段を登れない人や砂利道が歩きにくい参拝者に配慮して、拝殿の直前まで乗用車で行ける、「ドライブスルー神社」として知られる。慌ただしい日常とは別世界の、人にも動物にもやさしい雰囲気がこの地から漂ってくる。

⇒22日(土)夜・金沢の天気    はれ

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☆奥能登の「記録的な大雨」から半年 輪島の「流木ダム」橋その後

2025年03月21日 | ⇒ドキュメント回廊

48時間で498㍉という去年9月の奥能登の記録的な大雨からきょう21日で半年となった。この豪雨災害で16人が亡くなり、流されるなど住宅被害は1790棟に上っている。豪雨災害の被災者の中には去年元日の能登半島地震にも見舞われた、いわゆる二重被災した人も多い。きょう輪島市をめぐり、被災地の現状や仮設住宅の様子を見てきた。

川の氾濫で14歳の女子中学生が流され亡くなった輪島市久手川町の塚田川周辺。被災現場を見たのは翌日の22日午後だった。山間地からの流木が河川の下流で橋脚などに当たり、積みあがって「ダム」のような状態になっていた=写真・上=。これが原因で橋の周囲の家々に水害をもたらした。元日の地震で山の地盤が緩み、豪雨で大量の流木が流され、その流木がさらに人家に水害を拡大させた。そんな被災の連鎖が見える現場だった。

いまの現地の様子は、橋の周辺の流木などは片付けられているものの=写真・中=、まだ一部で流木が積み上がっている現場もあった。一帯は地震で断水し、仮設の水道管が整備されたが、豪雨で水道管が流され再び断水となった。また、電気が一部で通っていないことから、仮設住宅に身を寄せている住民も多いようだ。

石川県が整備していた地震被害の仮設住宅6882戸は入居を終えている。豪雨の仮設住宅として286戸を整備し、そのうちの52戸はすでに入居。きょうは災害が大きかった輪島市杉平町で整備されていた仮設住宅104戸が完成=写真・下=、入居を待ちわびた人たちが家具などを運び入れていた。残り130戸も来月4日までに完成する予定で、輪島市では来月13日までに指定避難所4ヵ所をすべて閉鎖することにしている。

地震と豪雨の二重災害となった被災地では、全半壊した住宅がいまも多く残っている。解体業者とともに被災家屋の後始末をする人たちの姿も見かけた。

⇒21日(金)夜・金沢の天気    はれ

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★能登の日常や伝統行事を染める「赤・朱・紅」色の文化

2025年03月20日 | ⇒ドキュメント回廊

  このブログを読んでくれている知人からメールが届いた。「能登って赤尽くしですね」と。きのう19日付でアップした「☆春の訪れを深紅の花で彩る 金沢で『のとキリシマツツジ』観賞会」、今月16日付「☆JR金沢駅ドームに能登キリコ 新幹線金沢開業10年と能登復興のシンボルに」、今月9日付「★観光列車『花嫁のれん』運行再開 当面は団体ツアー専用も能登の観光復興に弾み」の画像の被写体が赤色で印象深いとのメールの内容だった。そう指摘されて、自身も初めて気が付いた。

  振り返って、3画像をもう一度見てみる。能登半島を走る観光列車「花嫁のれん」の車体は確かに赤く塗られている。「花嫁のれん」はかつての加賀藩独特の婚礼行事がいまも半島中ほどに位置する七尾市に伝わっている。花嫁が持参したのれんを嫁ぎ先の家の仏間の入り口に掛けてくぐる。花嫁のれんをくぐることで、嫁ぎ先の家族一員となる証(あかし)とされる。その花嫁のれんのデザインは赤や白、青などの模様が使われているが、印象的には赤のイメージが強い。そこで、列車を車体を赤で染めたのだろう。これは憶測だ。

  能登の伝統行事である祭りのキリコが北陸新幹線の開業10年を迎え、JR金沢駅前の「もてなしドーム」で設置され話題を呼んだ(※現在は撤去されている)。高さ6㍍ほどのキリコで、半島の尖端に位置する珠洲市上戸町から持ち込まれたもの。上戸のキリコは毎年8月の第一土曜日の地域の祭りに担ぎ出され、鉦や太鼓の響きとともに街中を練り歩く。今回のお披露目は、新幹線開業10年のイベントが行われた今月15日に合わせて、金沢市の呼びかけで珠洲市から出張してきた。幾何学的なドームの天上の模様と、キリコの立ち姿が妙にマッチしていて、じつに絵になっていた。

  そして、のとキリシマツツジの紅色。金沢市の中心街にある「しいのき迎賓館」で展示会が開催された。能登町のツツジ愛好家らで結成する「花の力」プロジェクト実行委員会が観賞展を金沢で始めてことしで7年目となる。去年元日の能登半島地震後の3月にも観賞展を開催し、燃え盛るような満開の深紅の花が被災地から金沢に2次避難してきた人たちを励ました。今回も樹齢35年から100年の6鉢が展示され、故郷の花の観賞に能登出身の人たちが多く訪れていた。

  確かに能登では赤系のものがいろいろ楽しめる。英語では「レッド」で表現される赤は、日本語では「赤」「朱」「紅」などと色の深みによってあてる文字が異なる。能登の人たちはその微妙な色の違いを楽しんでいるのかもしれない。   

⇒20日(木)夜・金沢の天気  くもり

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☆春の訪れを深紅の花で彩る 金沢で「のとキリシマツツジ」観賞会

2025年03月19日 | ⇒トピック往来

きょう19日午後1時25分ごろ、能登半島西方沖で震源の深さは10㌔、マグニチュード4.7の地震があった。震度4が志賀町、震度3が羽咋市、かほく市、宝達志水町、中能登町だった。能登地方では、2024年11月26日に同じく西方沖を震源とする地震で震度5弱を観測している。志賀町の沖合には複数の海底活断層が並行して走っている。

話は変わる。深紅の花をつける、奥能登の花「のとキリシマツツジ」の観賞会が金沢市のしいのき迎賓館で開催されている。花は満開で目にまぶしい6鉢が並べられている=写真=。能登町の「花の力」プロジェクト実行員会のメンバーの話によると、1ヵ月ほど前から石川県立大学(野々市市)の温室に持ち込み、研究者の協力で開花時期を調整し、満開の状態できのう18日に展示した。

展示されているのは手塩にかけて育てられた「能登あかり」と深紅の「蓑霧島」「本霧島」という3品種。花の色やカタチはそれぞれ異なる。写真・左側の「能登あかり」は推定樹齢100年になる。

奥能登の庭先では4月中ごろから5月中旬にかけて見頃を迎えるが、「花の力」プロジェクト実行員会のメンバーほか地域の有志はこの時季に庭先を開放する「オープンガーデン」を実施し、家々で自慢ののとキリシマツツジの古木や大木が観賞できる。能登半島地震で家々は少なからず被災したものの、庭ののとキリシマツツジはいつものように美しい花を咲かせ、人々の心を和ませてくれる。

⇒19日(水)夜・金沢の天気   くもり

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