自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★重くのしかかる雪に耐える  北陸の「雪吊り」に込められた知恵と工夫の職人技

2025年02月06日 | ⇒ドキュメント回廊

  気象庁が「今季最強・最長寒波」と緊急会見で発表した今回の寒波は3日目に入った。けさ7時半ごろ自宅2階から撮った写真と前回ブログ(4日付)のものと比較してみる。きょうも空にはどんよりと雪雲が連なっている。左側に見える雪吊りの五葉松には前回と比べ、倍くらいの厚さで雪が積もっている。目分量だが、多いところで20数㌢ほどだろうか。右側のガレージの屋根にも同じくらいの厚さで積もっている。写真下の部分は屋根雪。前回と比べてもその分厚さが見て取れる。35㌢ほどあるだろうか。北向きなので雪が溶けにくい。同じ家の屋根雪でも向きによって溶け方がまったく異なる。(※写真・上は、金沢市内の積雪の様子=4日午前7時40分、自宅2階から撮影)

  先ほど述べた雪吊りの五葉松の話。北陸の雪は湿ったような重さがある。その理由でよく言われているのが、大陸からの偏西風にのってやって来る冷たい空気が日本海で水分を多く含み、白山や立山連峰などの高い山に当たって上昇し冷えることで雪となるので、北陸の雪は湿気を含んで重い。雪の重みで庭木の枝が折れる。このため、金沢の兼六園をはじめ一般の民家でも庭木に雪吊りを施すの恒例となっている。

  その雪吊りには木の種類や形状、枝ぶりによって実に11種もの技法があると言われている。単に枝が折れるのではなく、「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」といった樹木の形状によりさまざまな雪害が起きる。これに対応する雪吊りは素人ではできない仕事なので、造園業者に依頼することになる。プロは樹木の姿を見て、「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」などの雪対策の手法を判断する。

  雪吊りで有名なのは「りんご吊り」=写真・下=。五葉松などの高木に施される。マツの木の横に孟宗竹の芯(しん)柱を立てて、柱の先頭から縄をたらして枝を吊る。パラソル状になっていることろがアートでもある。「りんご吊り」の名称については、金沢では江戸時代から実のなる木の一つとしてリンゴの木があった。果実がたわわに実ると枝が折れるので、補強するため同様の手法を用いていたようだ。

  雪吊りを眺めていると職人の知恵と工夫、庭木をいたわる気持ちが伝わってくる。と同時に、雪吊りの経費は春の撤去も含めてそれなりに掛かる。たとえ気象予報が暖冬であったとしても、今季のようにいつドカ雪が来るか分からないので、「庭税」だと思いながら毎年雪吊りの備えをする。なのでいまは、五葉松に雪吊りをしていてよかったと安堵の気持ちで眺めている。

⇒6日(木)午前・金沢の天気    くもり時々ゆき

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☆しんしんと降り積もる雪 道路で車がスタックしたらどうする

2025年02月04日 | ⇒ドキュメント回廊

  きょう(4日)朝7時の自宅前の積雪は10㌢ほどだった。その後も断続的に雪が降り、大雪警報が出ている。午前中の気温は1度。金沢地方気象台の降雪量予想(4日6時時点)によると、きょう6時から18時までの12時間の積雪量は金沢の平地で10㌢から20㌢、さらにきょう18時からあす6時までの12時間で10㌢から20㌢の積雪予想となっている。単純に計算すると、金沢の平地ではあす朝までに多いところで40㌢ほど積もるようだ。

  朝9時に開店するスーパーが近くにあるので買い物に行くと、開店まもなくの時間にもかかわらず混雑していた。普段だったらそれほど客はいない時間帯なのだが、昼前や夕食前の時間帯のあの混雑ぶりだ。大雪になる前に買い物を早く済ませておこうという消費者心理が働いているのだろう。そう言う自身もそのために店に入った。

  何しろ雪が積もれば積もるほど予想外のことが起きる。たとえば、よく使われる言葉で「スタック」。車の立ち往生のことで、英語で「stuck」。とくに、雪道のわだちに入ってしまい、車の底が雪上に乗り上げて立ち往生する。そんな時はスコップで車の底の雪を除き、他の人に後ろから車を押してもらいながら前進するとなんとか抜け出すことができる。雪国の人たちはその場面をよく理解しているので「お互いさま」という共助の気持ちで手伝ってくれる。金沢市でも道路のスタック対策として2021年12月から除雪計画を見直し、それまで15㌢以上の積雪で除雪車を出動させていたが、10㌢以上積もれば除雪作業を行うことにした。市内幹線の雪道の安全度は確実に高まった。雪道における「自助・共助・公助」ではある。

  ちなみに、スタックでJAFに電話してもなかなかつながらない。つながったとしても半日は待たされる。大雪であちらこちらに立ち往生が起きているからだ。そして、スタックと並んで気をつけるのが、「ブラックアイスバーン」だ。路面に雪がなくても、路面が凍結している状態で、アイスバーンはスリップ事故につながる。道路に積雪がないからとスピードを出していて、急にブレーキをかけても止まらずにそのまま車が滑りる。雪国の道路では時速20㌔ほどでゆっくり走行することはよくあることだ。

 (※写真・上は、雪がしんしんと降り積もる金沢市内=4日正午すぎ、自宅2階から撮影。写真・下は、立ち往生した車を周囲の人たちが車の後ろから押して助けている様子)

⇒4日(火)正午すぎ・金沢の天気    ゆき 

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★金沢でもドカ雪か 気象庁と国交省が緊急会見で「大雪警戒」呼びかけ

2025年02月03日 | ⇒ドキュメント回廊

  きょうは二十四節気の立春。春の兆しが現れてくるころかと思いきや、さきほど午後2時に気象庁と国土交通省は緊急会見で「大雪警戒」を呼びかけた=写真、テレビ画像より=。気象庁の担当者は、この冬一番の強い寒気が流れ込み、北日本から西日本にかけての日本海側の広い範囲で山地、平地ともに大雪となる日が数日続くと述べ、暴風や暴風雪、高波に警戒するよう呼びかけた。また、国土交通省の担当者は、大雪による交通への影響、とくに車両の立往生、道路の通行止め、公共交通機関の大幅な遅延や運休が発生し通勤・通学などに影響が出るおそれがあると述べ、テレワークの活用などを含め不要不急の外出を控えてほしいと呼びかけた。

  プレスリリース「大雪に対する国土交通省緊急発表」(12時発表)によると、北陸地方の多いところであす4日12時までの24時間降雪量は50㌢、5日12時までの24時間降雪量は70㌢、6日12時までの24時間降雪量は100㌢としている。また、能登の平地でも多いところで 4日12時までの24時間降雪量は15㌢、5日12時までの24時間降雪量は30㌢、6日12時までの24時間降雪量は30㌢となっており、「能登半島地震で損傷を受けた家屋では積雪の重みによる倒壊に、損傷を受けた海岸施設の周辺では、越波による浸水に注意」と呼びかけている。文中の「越波(えっぱ)」は、暴風などにより打ち寄せる波が堤防や護岸を超えることを指し、能登などでは5日に最大瞬間風速30㍍、波の高さ6㍍が予想されている。  

  北陸に強烈な寒波をもたらすのは大陸からの西回りの風と北風がぶつかり合って出来るJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)が発生するからで、これまでも大雪をもたらしてきた。直近では2018年2月5日から8日にかけての大雪で、福井で147㌢の記録的な豪雪となり、国道8号で1500台を超える大規模な車両滞留が発生し、自衛隊の災害派遣も行われた。金沢の平地でも70㌢を超える積雪となった。(※図は6日までの72時間降雪量=日本気象協会「tenki.jp」公式サイトより)

  能登では去年元日の地震で全半壊となった家屋など公費解体が進められ、さらに一部損壊の住宅の修繕も行われている。今後の大雪と暴風で作業はストップせざるを得ないだろう。さらに、能登の中山間地では集落の孤立化も、そして仮設住宅は圧雪に耐えうるだろうかと懸念する。金沢の週間予報ではあす4日から10日までは雪、そして雷とある。冬将軍は雷鳴とともにやってくる。

⇒3日(月)午後・金沢の天気    くもり

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☆江戸時代の能登にタイムスリップ 時空を超えて人々の心根に触れるオペラ

2025年02月02日 | ⇒トピック往来
  『能登奇譚』というオペラを鑑賞してきた。能登を舞台にした初めてのオペラという触れ込みもあり興味がわいた。きょう午後6時から石川県文教会館(金沢市)での2時間余りの公演だった。タイトルの「奇譚(きたん)」という言葉は日常で使う言葉でもないので、辞書やネットで意味を探ると「奇談」「不思議な言い伝え」と出てくる。ますます好奇心がわいて客席に着いた。
 
  時を超えるダイナミックなストーリーだ。主人公の能太(のうた)は不登校がちで頭を金髪に染めた14歳の男子中学生。教室で、今晩はキリコ祭りを見に行こうと話しているうちに気を失って、江戸時代の能登にタイムスリップする。170年余りの時を超えて能登のキリコ祭りで出会ったのが、大飯食らいで江戸に出て横綱になった阿武松緑之介。最初は、飯ばかり食べて相撲が上達しなかったため、親方から「お前は能登に帰れ」と言われ帰途に就く。が、「このままでは死んでも死にきれない」と一念発起して江戸に戻り、ひたすら稽古に励み、「天下に敵なし」と言われた横綱となる。花相撲で故郷に錦を飾った阿武松からそんな話を聞かされる。
 
  そして、「能登の親不知(おやしらず)」で知られた難所、曽々木海岸と真浦の断崖絶壁で道を開いていた麒山和尚と出会う。絶壁の海岸で命を落とす人が多くいた。近くの寺で禅修行をしていた和尚は、「何のために禅修行をしているのか」と悩み続けていたが、53歳のとき「寺で座るのも禅、安全な道を開くのも禅修行」と悟り、開道に必要な浄財集めの托鉢に奔走する。苦難の工事には西洋人の道具(ダイナマイト)を使っている、天狗のチカラを借りているといううわさも聞かされた。
 
  能太は能登に秘められた数々の物語を聴き、教室で目を覚ます。学校の仲間たちがいる。夢を見ていたのかと思ってふと手を見ると、夢の中で占い婆からもらったお守りを握っていた。そして能太の周りには江戸時代の人たちもいた。これでフィナーレとなる。ピアノやフルート、打楽器などによる生の演奏と歌や合唱と芝居が融合したオペラだった。原作と作曲、指揮は金沢在住の木埜下(きのした)大祐氏、そして時代考証は郷土史家の藤平朝雄氏が担当した。時空を超えて結びつく人々の絆と、そして「能登はやさしや土までも」といわれる能登のストーリーが忠実にそして見事に描かれていた。
 
⇒2日(日)夜・金沢の天気   くもり
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★能登地震から1年1ヵ月、「住まい」問題でふるさとに戻れず悩む被災者

2025年02月01日 | ⇒ドキュメント回廊

  きょうは2月1日、去年元旦の能登半島地震から1年1ヵ月が経った。数字で振り返ってみる。震災で亡くなった人は能登を中心に石川県では、家屋の下敷きになるなどして亡くなった直接死が228人、避難所などでの疲労やストレスが原因で持病などが悪化して亡くなった災害関連死が290人(1月28日時点)。さらに、新潟県で5人、富山県で3人の災害関連死があり、直接死を合せた能登半島地震による死者の数は526人となる。関連死を判断する医者と弁護士で構成する審査会はこれまで17回開かれていて、遺族からの申請で審査が進むと今後さらに増えることになる。  

  住宅の被害は消防庁災害対策本部のまとめによると、10府県で全半壊・一部損壊を合せ15万5751棟に及んでいる。このうち、石川県は10万7976棟、新潟県2万4380棟、富山県2万2534棟、福井県832棟、長野県21棟などとなっている。このほか、店舗やテナントビル、土蔵、作業所など非住家の被害は石川県で3万6053棟、富山県1203棟、新潟県68棟などとなっている(12月28日時点・消防庁公式サイト)。このうち半壊以上の被害が出た住宅などを自治体が所有者に代わって解体や撤去を行う「公費解体」は、石川県の発表で12月末までに1万4152棟の解体を終えている。石川県が見込む公費解体は3万9000棟なので3分の1余り完了したことになる。ことし10月までに解体を終えるとしている。(※写真は、輪島市内で行われている公費解体の現場=去年12月26日撮影)

  問題は住宅の修理だ。石川県では、住宅被害の範囲が全体の1割以上ある場合に修理費を最大70万円を補助する「応急修理制度」を設けていて、1月24日時点で制度の申請は1万2105件に上っている。ところが、工事業者の不足から修理の見通しが立たないケースが出ているため、県ではことし3月末までとしていた制度対象の工事完了の期限を12月末まで延長した(石川県庁公式サイト「住宅の応急修理について」)。

  気になる数字がある。地元メディア各社の報道によると、石川県外の公営住宅に暮らしている被災者255世帯を対象に、石川県庁が電話で意向調査(12月9-27日)を行った。回答があった176世帯の集計で44%に当たる78世帯が「石川県には戻らない」と答えた。その理由は「高齢であり、親族のそばで住む」や「安定した仕事を見つけた」が多かった。一方で、21%に当たる37世帯が「戻りたいが課題がある」と答えた。その中では、公費解体や修繕など「住まい」の問題を挙げる世帯が多かった。公費解体を申請しているが工事がなかなか進まない、修繕を依頼しているが業者の手が回らない。ふるさとに戻れず、悩んでいる被災者がいる。

⇒1日(土)午後・金沢の天気   くもり時々はれ

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☆「雪すかし」の時季に思うこと スコップによるマイクロプラスチック汚染

2025年01月31日 | ⇒ドキュメント回廊

  けさも金沢の自宅周辺では5㌢ほど雪が積もっていた。ご近所さんたちが、朝から「雪すかし」を始めたので、「暗黙のご近所ルール」で自身もスコップを手に取って始めた。何㌢以上の積雪があると町内が一斉に除雪するというルールや当番がいるわけではない。児童たちが登校する前の7時半前ごろ、ご近所の誰かが、スコップでジャラ、ジャラと始めるとそれが合図となり、周囲の人たちもスコップを持って家から出てる。「よう降りましたね」「冷え込みますね」とご近所が朝のあいさつを交わす。いつの間にかご近所が一斉に雪かきをしている。

  さらに雪をすかす範囲についても暗黙のご近所ルールがある。すかす範囲はその家の道路に面した間口部分となる。角にある家の場合は横小路があるが、そこは手をつけなくてもよい。家の正面の間口部分の道路を除雪する。しかも、車道の部分はしなくてよい。つまり、登校の児童たちが歩く「歩道」部分でよい。

  すかした雪を家の前の側溝に落とし込み、積み上げていく=写真・上=。冬場の側溝は雪捨て場だ。気温が5、6度に上がると雪解け水が側溝を流れると、積み上げられ固まった雪を融かして近くの用水や川に流れていく。翌朝、また側溝に雪を捨てるということを繰り返す。

  ただ、スコップで雪すかしをするこの時季になるといつも思うことがある。マイクロプラスチックのことだ。スコップのさじ部はかつて鉄製やアルミ製だったが、最近はプラスチックなど樹脂製が多い。雪をすかす路面はコンクリートやアスファルトなので、そこをスコップですかすとなるとプラスチック樹脂が摩耗する=写真・下=。その破片は側溝を通じて川に流れ、そして海に出て漂っているのではないか。日常の雪すかしが、無意識のうちに「マイクロプラスチック汚染」を増長しているのではないだろうか、と。

  マイクロプラスチック汚染は、粉々に砕けたプラスチックが海に漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持っているとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。

  ご近所で仲良く雪すかしをするが、それが知らず知らずのうちにマイクロプラスチックを陸上で大量生産することになっているとすれば、それこそ不都合な真実ではある。そう考えると、樹脂製のスコップには製造段階でさじ部分の先端に金属を被せることを義務づけるなどの対策が必要なのではないだろうか。

⇒31日(金)午前・金沢の天気     くもり

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★能登で地震、金沢でカミナリは止まず 「弁当忘れてもPCの雷対策忘れるな」

2025年01月30日 | ⇒ドキュメント回廊

  能登で地震が続いている。きのう(29日)午前9時前に震度3の揺れがあった。震源地は半島の北で深さ10㌔、マグニチュード3.6と推定されている。2ヵ月前の11月26日は半島の西方沖を震源とする震度5弱の地震があり、このときは深さ7㌔、マグニチュード6.6だった。このほかにも震度1や2の揺れが日に数度起きることもある。不気味に感じるのは、きのう、そして11月26日の地震、去年(2024年)元日の震度7、マグニチュード7.6の地震は震源地が異なることだ。一部の地震学者は「能登半島地震の余震活動が、震源近くの断層を刺激して地震を発生させている可能性もある」と指摘している。

  素人の当て推量なのだが、元日の震源は半島北端の珠洲市だったが、このところの震源は半島を南下している。断層が断層を刺激して南下しているのか。このまま南下すると限りなく金沢に近づいてくる。金沢には「森本・富樫断層」がある=図=。国の地震調査研究推進本部の「主要活断層」によると、切迫度が最も高い「Sランク」の一つだ。断層は全長26㌔におよび、今後30年以内の地震発生確率が2%から8%とされる。金沢市の公式サイトに掲載されている「平成24年度(2012)被害想定調査結果」によると、この森本・富樫断層で金沢市内中心部に直下地震が起きた場合、マグニチュード 7.2、最大震度7と想定されている。あくまでも憶測だが、南下する揺れに連動するのか。金沢に住む一人としては不気味だ。

  話は地震から雷に移る。このところ雷が鳴り止まない。きのうも未明にかけて落雷が相次いだ。能登半島の中ほどにある志賀町役場の富来支所では落雷のため館内の受電施設や電源ケーブルが破損したため、職員のパソコンや銀行のATMが使用できなくなるという状況が発生。支所では窓口業務などが出来なくなり業務停止とした(30日付・地元メディア各社の報道)。このニュースで「雷サージ」のことが頭をよぎった。雷が直接落ちなくても、近くで落ちた場合に瞬間的に電線を伝って高電圧の津波現象が起きることを指す。電源ケーブルを伝ってパソコンの機器内に侵入した場合、部品やデータを破壊することになる。役場のPCのデータは大丈夫だったのか。(※写真・下は、北陸電力公式サイト「雷情報」より)

  週間予報をチェックすると、石川県には2月4日から6日まで雷マークが出ている。何しろ金沢は「カミナリ銀座」だ。きょうも金沢で雷注意報が出ている。全国の都市で年間の雷日数が30年(1991-2020)平均でもっとも多く、45.1日ある(気象庁公式サイト「雷日数」)。雷マークがあるなしに関わらず、自身は外出するときにはPCの電源をコンセントから抜いて出かける。晴れていても急に雨雲になるのが金沢の天気だ。なので、昔から「弁当忘れても傘忘れるな」という金沢独特の言い伝えがある。現代風に言うと「弁当忘れてもPCの雷対策忘れるな」。

⇒30日(木)午後・金沢の天気    くもり時々ゆき

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☆「煮え切らない」フジのやり直し会見 なぜ10時間もかかったのか

2025年01月28日 | ⇒メディア時評

  経営の根幹が揺らぐフジテレビの首脳陣の記者会見をテレビで視聴した=写真=。午後4時に始まった会見は日付をまたいで午前2時23分に終了。10時間におよぶ異例の会見だった。休憩は開始から6時間が経過しようとした午後10時前に1回取っただけだったので、「トイレは大丈夫なのか」と視聴する側が案じたほどだった。

  やり直し会見だった。今月17日にフジテレビ社長が出席して会見を開いたものの、会見に出席するメディアを定例会見のメンバーに限定し、また、テレビメディアでありながら動画撮影を禁じた。このことがむしろ火に油を注ぐことになり、スポンサー企業などからCM出稿の差し止めなどが相次いだ。こうした批判を受け、フジはきのう27日午後4時から、あらためて会見を開催した。週刊誌やネットメディアの記者も参加し、会場には191社437人が詰めかけた報じられている。動画撮影も可能だった。

  会見でむしろ気になったのはフジ側というよりメディア側だった。質疑応答では、司会者が「プライバシーの観点からぜひご配慮お願いします」と繰り返し述べていた。会見のテレビ中継とネット配信はプライバシー侵害や保護の観点から、メディア各社が必要な編集を行ったうえで最低10分遅れでの放送・配信のルールで行われたようだ。ただ、質疑応答には記者のヤジや怒声が聞こえ、けんか腰の雰囲気が感じられた。

  会見ではフジの会長と社長の2人が同日付で引責辞任すると発表した。社長は「人権侵害が行われた可能性のある事案に対し、社内での必要な報告や連携が適切に行われなかった。自身が人権への認識が不足していた」と謝罪した。

  会見の印象をひと言で言えば、「煮え切らない」という印象だった。タレントの中居正広氏の女性とのトラブルが週刊文春で報道され、その後フジの編成部長が絡んでいたことや、女性アナも被害者として証言していると報じられていた。社長と会長はこの週刊誌報道を否定していたが、なぜ当事者とされた編成部長が会見に出てその報道を否定しなかったのか。編成部長はテレビ局の番組編成を統括する会社幹部でもあり、顔出して堂々と否定すれば会見に10時間もかからなかったのではないか。

⇒28日(火)夜・金沢の天気    あめ

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★各紙の世論調査 政治に「不満」82% トランプ2.0で日米関係「変わらない」50%

2025年01月27日 | ⇒メディア時評

  けさ読売新聞に目を通すと、早稲田大学先端社会科学研究所と読売新聞社による全国世論調査の結果が報じられていた。去年10月の衆院選挙後の有権者の政治意識を調査するもので、郵送方式で調査期間は11月25日から12月31日、全国の有権者3000人に発送し1958人から回答を得ている(回答率65%)。読売の調査結果の一面トップの見出し。「政治に『不満』最多82% 自公政権継続 望まず61%」

  さらに記事を読み込んでみる。質問は「今の国の政治に、満足していますか」。その回答は「満足」1%、「ある程度満足」17%、「やや不満」44%、「不満」38%となり、「やや不満」と「不満」の合計は82%となった。前回2021年10月の衆院選後の調査では「やや不満」と「不満」は合計74%で、2014年以降の調査で最高だったが、今回はさらにそれを上回ったことになる。自民党支持層でも59%が不満としている。その不満の根底にあるのが経済問題だ。先に衆院選で重視した選挙の争点について、順位別では「景気・雇用」「物価」「社会保障制度」「労働・働き方」「消費税」となっていって、長引く物価高への不満が募っている。

  内閣支持率は「支持する」が39%、「支持しない」が48%となっている。石破総理の評価についても調査されていて、「誠実さ」では評価が高いものの、「国際感覚」や「指導力」、「説明力」、「危機管理能力」、「国家像」といった項目では評価が低い。

  きょう付で日経新聞もテレビ東京と共同で行った世論調査(今月24-26日に電話調査、回答946件、回答率39%)の結果を掲載している。石破内閣の支持率は「支持する」が43%、「支持しない」が50%だった。日銀が金融政策決定会合で追加利上げを決めたことに対する評価については「評価する」が54%、「評価しない」が34%だった。また、アメリカのトランプ大統領をめぐり今後の日米関係についての質問では、「変わらない」が50%、「悪くなると思う」が36%、「良くなると思う」が8%だった。同じ日経新聞には共同通信の世論調査(今月25、26日)も掲載されていて、内閣支持率は支持が35.7%、不支持が49.2%だった。

  世論調査は国政選挙がある年には盛んに行われる。ことし7月にも予定される参院選挙。少数与党の行方、政権交代はあるのか、さまざまな論点でにぎやかに報道される。

⇒27日(月)午後・金沢の天気    はれ

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☆ 輪島塗の地球儀を万博で展示へ そもそも誰の発想だったのか 

2025年01月26日 | ⇒トピック往来

  前回ブログをチェックしてくれた知人から「日本列島の様子がよく見えない。その部分をアップした画像があったら見せてほしい」とのメールがあった。そこで再度、地球儀の画像を=写真=。パンフレットとビデオの説明によると、漆黒の地球儀に塗られた蒔絵と沈金によると金の明かりの部分は、人工衛星による撮影をベースにして制作されたもの。たとえば能登半島の北部、いわゆる奥能登では明かりの部分は明かりが少ない。また、朝鮮半島の北側の部分も暗くなっている。ここからも、忠実な描写であることが実感できる。

  この地球儀が大阪・関西万博で展示されることになった経緯を地元メディア各社が報じている。今月19日、万博の会場を訪れた石破総理が視察後の会見でこう述べた。「能登の輪島塗、地球儀もきょうはみることはなかったけどもここに来ないと見られないなというものがある。世界中の方々にそういう実感を味わっていただく」と地球儀を万博会場に展示する方針を明らかにした。伝統工芸である輪島塗を世界に発信することで、復興に向けて被災地を勇気づけていくという思いもあるようだ。また、万博協会も、この作品には対立や分断を超えて他者に思いを巡らすという思いが込められてるとして、万博の理念と合致すると判断した。去年12月に万博からの撤退を明らかにしたイランが出展を予定していたパビリオン内に展示する方向で調整しているようだ。

  それにしてもなぜ石破総理は輪島塗の地球儀を知っていたのか。石破氏は総理就任後の初の地方視察として去年10月5日に地震と豪雨の二重被災の輪島市を訪れている。このときに被害を受けた輪島漆芸美術館に立ち寄って地球儀を見学したのだろうか。そこで、きょう午前に同館に電話で確認した。「石破総理が漆芸美術館を訪れて地球儀を見られたことがありますか」と。するとスフッタは「石破さんはまだ来られたことがないです。岸田さんは首相だった去年9月19日に訪れて地球儀も見学されました」と返事だった。

  以下あくまで憶測だ。地球儀を万博で展示するという発想はもともと岸田氏のアイデアだったのではないだろうか。それを何らかのカタチで受け継いだのが石破氏だったのか。それにしても、万博展示を表明した石破氏のコメントは意味不明だった。「地球儀もきょうはみることはなかったけども」の部分だ。これを「自身もこれまで見たことはないけれども」に差し替えると意味が通る。ぜひ、万博展示の提案者として実物をぜひ見に来てほしいものだ。見ずして語るなかれ、だ。

⇒26日(日)夜・金沢の天気    はれ

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★漆黒の地球に浮かぶ金の明かり 輪島塗「夜の地球」を大阪万博で展示へ

2025年01月25日 | ⇒トピック往来

  「漆黒」という言葉がある。真っ暗な状態を「漆黒の闇」と表現したりする。もともと漆で塗られた盆や椀などのつやのある黒さを表現する。その漆黒をベースに地球に見立てて制作された輪島塗作品がある。作品名は「夜の地球 Earth at Night」。この作品が大阪・関西万博(4月13日-10月13日)で展示されるとニュースで知り、おととい(23日)輪島市へ見学に行ってきた。

  作品は石川県輪島漆芸美術館で常設展示されている。同美術館は世界で唯一の漆芸専門の美術館で、輪島塗の伝統的な名品をはじめ、人間国宝や芸術院会員などの作品、アジアの漆芸作品なども所蔵している。「夜の地球」は正面入り口左側エントランスホールの特別展示室で公開されていた。高さ1.5㍍、重さ200㌔にも及ぶ地球儀。球体そのものは直径1㍍で、漆黒の地球に光るのは蒔絵や沈金で加飾され金粉や金箔で彩られた夜の明かりだ。地球儀そのももは直径1㍍で、周囲には東京、北京、ロンドン、ニューヨークの4都市の夜景パネルもある。輪島塗の漆黒と金の輝きの技で表現された宇宙に浮かぶ夜の地球、この幻想的な姿にロマンを感じたのは自身だけだろうか。(※写真は高さ1.5㍍の輪島塗地球儀。後ろの作品は画面右がニューヨーク、左はロンドンの夜景パネル=同館のポストカードより)

  「夜の地球」のパンフレットとビデオには製造工程が詳しく解説されている。制作は木地を作るところから加飾まで輪島塗技術保存会の職人37人が集まり、5年がかりで仕上げた。保存会会長の小森邦衛氏(髹漆の人間国宝)が陣頭指揮を執った。そもそも地球儀をつくるきっかけは、輪島市役所から「ふるさと納税」の寄付金で、輪島塗のブランド力を高める象徴的な作品を制作してほしいとの依頼だった。保存会で議論し、かつて創られたことがない、制作に困難なもの、国内外に通じる普遍性などをテーマに議論して地球儀をつくることになった。保存会では佐賀県武雄市を訪ね、同市に伝わる18世紀のオランダ製の地球儀を基に設計した。

  ビデオには球体の制作から始まる製造工程が紹介されている。材料は能登産のアテ(能登ヒバ)。薄板を曲げて接着し乾かす作業を繰り返し、大小295本の輪を6つのブロックに組む。それをろくろびきの技術者が丸く削り、中心軸に通して真球をつくる。球体に下地や中塗りを施した後、2回にわたり熱を加える。加熱すれば内側と外側の温度差や収縮が生じ、特殊な構造が壊れるリスクもあった。担当者は木材の乾燥施設で、状態を確かめながら数日かけて施設内の温度を最大70度まで上げ、球体を硬めた。仕上げは蒔絵と沈金。その表現には作り手の個性が出るものの、今回は試作を繰り返し、互いが歩み寄ることで統一感のある作品にたどり着いた。

  2022年春から輪島漆芸美術館に展示。去年元日の能登半島地震で美術館の展示用ガラスケースが割れるなどしたが、地球儀は数㌢動いたものの作品そのものに被害はなかった。ビデオで小森氏は「この地球儀は平和な世界になってほしいという思いを込めて制作した」とメッセージを発している。

⇒25日(土)夜・金沢の天気    あめ

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☆能登震災をデジタルアーカイブに 復興へつなぐ「防災教育に」「未来へ」

2025年01月24日 | ⇒トピック往来

  去年元日の能登半島地震と9月の記録的な大雨による避難者は合わせて145人(地震14人、豪雨131人)となっている(1月21日時点・石川県危機対策課調べ)。去年2月末の避難者は1万1400人余りだったが、その後に仮設住宅への入居も始まり、数はずいぶんと減った。そして公費解体なども進み、徐々にではあるが被災地の風景が変わりつつある。一方で思うのは災害の記憶の風化という現実だ。

  たとえば、新聞・テレビメディアによる被災地に関する報道の扱い。ことし元日には「あれから1年」の特集や特番があったが、それ以降は能登地震に関連する記事の扱いが小さく、そして掲載頻度も少なくなっているようにも思えるのだ。もちろん、地元メディアは連日のようにそれなりの扱いで報じているが。全国ニュースはいわゆる「トランプ2.0」に注がれていて、能登地震に対する日本人の記憶はこのまま薄れていくのではないか。

  そんな中で能登地震を映像や画像で残して将来につなげようという動きも出ている。地元メディア各社の報道(1月22日付)によると、被害やその後の復興の様子について、画像などで記録する「デジタルアーカイブ」のホームページが公開されているという内容だ。さっそくサイトをチェックした。「のと・きろくとまなびと」と名付けられたデジタルアーカイブだ。金沢大学の研究者などでつくる一般社団法人「能登里海教育研究所」(石川県能登町)がホームページで公開している=写真・上=。研究員や地域の人などが撮影した写真があわせて35点あり、撮影した日付のほか場所が地図で示されている。

  見る側のサイドに立った工夫もされていて、たとえば発災当時とその後の様子が比較できるようになっているものもある。能登町小木地区の九十九湾沿いの写真は、地震の翌日に撮影されたものと11ヵ月後に撮影されたものが掲載されていて、比較できるようになっている。直後の画像には陥没した海岸線に車が何台も落ちている様子がリアルに映っていて=写真・下=、自身も見るのが初めてだった。このほか、ドローンで被災地の様子を撮影した写真などもある。今後も随時、写真や動画などを増やしていくようだ。

  このデジタルアーカイブをつくった狙いはタイトルにある「まなび」から分かるように、掲載された画像を学校での防災教育などで活用してもらうことを想定していて、申請などの手続きもなく、ダウンロードして利用できる。教育研究所らしい発想でつくられたものだ。

  こうした動きに触発されたのか、石川県もデジタルアーカイブに動いている。馳知事はきのう(23日)県庁での記者会見で、地震と豪雨の被災状況や復旧の記録を残す写真や映像、文書などの資料を2万点を収集していると説明。デジタルアーカイブとして今月29日にまず500点、年度内(3月末まで)に追加で500点を公開する。馳知事は「震災の経験と記憶を記録し、未来へつなげたい」と語っていた。

  能登地震の被災状況を未来につなげたい、学校教育に活かしてほしい、さまざまな想いを込めたデジタルアーカイブが動き出している。多様な視点でこの災害を人々の記憶にとどめるツールとしてさらに広まってほしい。

⇒24日(金)午後・金沢の天気    はれ

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★スポンサー企業のテレビCM離れ フジテレビだけの問題なのか

2025年01月22日 | ⇒メディア時評

   月曜日(今月20日)夜の番組を視聴していて、じつに面白かった。有名な神社仏閣をテーマに、出演者に「法隆寺の五重塔は何階建か」や「奈良の大仏の右手の意味は」などと問題が出される。中でも、初めて知ったのが石清水八幡宮には発明家エジソンの記念碑があり、遺徳をしのんで誕生日(2月11日)と命日(10月18日)には慰霊祭が営まれているという。エジソンが白熱電球を開発する際に使ったのが、竹の名産地で知られた京都・八幡の「八幡竹」だったことが縁という。番組を楽しませてもらったが、気になったのはゴールデンタイムにも関わらず、CM枠に公共広告「ACジャパン」が目立っていたことだ=写真=。番組はフジテレビの『呼び出し先生タナカ 2時間SP』だった。スポンサー企業によるCM取り下げの動きが加速しているようだ。

  メディア各社の報道によると、同社へのCM差し止めはこれまで70社に上るという。この事態に陥った背景はいくつかあるようだが、転機となったのは今月17日のフジテレビ社長の記者会見だった。タレントの中居正広氏の女性とのトラブルが週刊文春で報道され、その後フジの編成部長が絡んでいたこと(12月26日号)、最新号(1月23日号)ではフジの女性アナも被害者として証言していると報じられ、社長の会見はこの流れを受けてのものだった。

  ところが、記者会見の設定や内容そのものがさらに問題視されることになった。会見はフジが定例で行っている定例記者会見の前倒しとして設定されたものだが、出席の枠を定例会見と同じくNHKと民放テレビ局、全国紙、スポーツ紙に絞った。週刊誌やインターネットメディアなどの参加を認めなかったのだ。さらに、テレビ局でありながらカメラによる動画撮影を許可しなかった。

  会見で社長は「多大なご心配、ご迷惑をおかけし、説明ができていなかったことをおわびします」と謝罪し、外部の弁護士を中心とした調査委員会を立ち上げると述べた。ところが、中居氏と女性のトラブルをフジ側が2023年6月に把握していながら、番組を続けていたことなどに質問が集中すると、「回答を控える」を繰り返した。会見で視聴者や国民におわびと言っておきながら、誠実さが見えない、さらに企業統治、ガバナンスの問題はいったいどうなっているのかとむしろ不満が噴出した。

  きょう付の新聞メディア各社の報道によると、1975年から続くフジの長寿番組『くいしん坊!万才』は今月26日分の放送をもって休止することが分かった。1社提供のキッコーマンが放送を当面見合わせるよう要請したようだ。スポンサー企業は番組の現場レベルでの問題ではなく、フジテレビ全体の問題だと捉えるようになったのだろう。

  これは一時的な問題なのだろうか、さらに、スポンサーのテレビCM離れはフジテレビだけにとどまるのだろうか。広告最大手の電通のまとめによると、2023年の総広告費は通年で7兆3167億円(前年比103.0%)となり、1947年の調査開始以降、前年に続き過去最高を更新した。中でもインターネット広告費は3兆3330億円(前年比107.8%)と過去最高を更新した。一方、テレビメディア広告費(地上波テレビと衛星メディア関連)は1兆7347億円(前年比96.3%)と落ち込んだ。前年2022年の北京冬季オリンピック・パラリンピックやFIFAワールドカップ2などの反動減と言えなくもないが、ネットに広告シェアを奪われているのは事実。スポンサー企業のテレビ離れがこのまま加速するのかもしれない。テレビ業界全体の問題としてスポンサーのCM離れとどう向き合うのか。

⇒22日(水)午後・金沢の天気    くもり時々あめ

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☆気候変動対策「パリ協定」さっそく離脱 「トランプ様が戻ってきた」

2025年01月21日 | ⇒トピック往来

  トランプ氏がアメリカ大統領に就任し、ホワイトハウスに入ったとのニュースが流れていたので、ホワイトハウス公式サイトをチェックする。すると、トップページは「AMERICA  IS  BACK」のタイトルで左手で指さすトランプ氏の得意のポーズが映っていた=写真=。この公式サイトを含めホワイトハウスの模様替えが大変だったようだ。メディア各社の報道によると、前任のバイデン氏の退去からトランプ氏の入居までのタイムラグは6時間で、その間にすべての部屋を掃除し、新たな主(あるじ)が好む執務室にしつらえ、好みのカーテンや家具をそろえ、お気に入りのシャンプーや歯ブラシまで用意したようだ。まさに、「AMERICA  IS  BACK」は「トランプ様が戻ってきた」と読める。

  そのホワイトハウスでのトランプ大統領の初仕事の一つが、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」から再び離脱すると発表し、大統領令に即日署名したことだった。パリ協定は2015年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択され、「産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える」という目標を掲げている。トランプ大統領は就任演説で「中国が平気で汚染を続けているのに、アメリカが自国の産業を妨害することはしない」と説明し、「不公平で一方的なパリ協定から即時離脱する」と宣言したのだった。第1次トランプ政権の2020年にパリ協定から離脱したが、2021年に就任したバイデン前大統領が初日に復帰。トランプ氏は大統領選でエネルギー開発の推進のため再離脱すると公約に掲げ勝利した経緯がある。

  EUの気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は、2024年の世界の平均気温は初めてパリ協定の基準を超えて1.6度高くなったと発表した。徐々に進む気候変動はアメリカにも大きな被害をもたらしているとの指摘もある。今月中旬に発生したカリフォルニア州ロサンゼルス周辺の大規模な山火事について、NOAA(アメリカ海洋大気局)は「気温の上昇、干ばつの長期化、乾燥した大気などの気候変動が、アメリカ西部の山火事の危険性と範囲を増す重要な要因となっている」と述べている(1月14日付・BBCニュースWeb版日本語)。  

  この山火事について、トランプ氏はこれまでSNSなどでカリフォルニア州の知事(民主党)の不手際で被害が拡大していると、「知事の責任」を印象付けるかのように強調していた(同・読売新聞Web版)。本来なら大統領として山火事について気候変動の側面からも取り組むべきで、パリ協定と真摯に向き合うべきだと思うのだが。次に火の粉をかぶるのは自身ではないだろうか。

⇒21日(火)午前・金沢の天気     はれ

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★トランプ政権に傾くSNS経営者 ファクトチェックは死語となるのか

2025年01月20日 | ⇒メディア時評

  1月20日はアメリカのトランプ氏が大統領に復帰する日だ。メディア各社の報道によると、トランプ氏は就任後、ただちに100本に及ぶ大統領令に署名し、不法移民の強制送還や関税の引き上げなど選挙公約の実現に向けて動き出すようだ。その一方でトランプ氏の大統領復帰に合わせるかのような動きも報じられている。IT大手メタ社のザッカーバーグCEOは今月8日、アメリカ国内のフェイスブックやインスタグラムなどで行ってきた投稿内容のファクトチェック(事実確認)を廃止すると発表した。

  メタ社はこれまで119ヵ国のファクトチェック団体と提携し、60を超す言語でファクトチェックを実施してきたことで知られる。廃止対象となるアメリカでは、これまでAFPやUSAトゥデイなどの通信社を含む10のファクトチェック団体と提携してきた。それを解消するという。この背景で浮かぶのがトランプ氏との関係の修復を図ろうとするザッカーバーグ氏の思惑のようだ。(※写真は、ファクトチェックをめぐるザッカーバーグ氏の大きな変化は、自己防衛なのか、それとも影響力を期してのことなのか、と報じるCNNニュースWeb版)

  そもそもプラットフォーマーがフェクトチェックに動いたはトランプ氏の投稿がきっかけだった。2020年5月、ツイッター社は当時のトランプ大統領がカリフォルニア州知事が進める大統領選挙(同年11月)の郵便投票が不正につながると主張した投稿について、誤った情報や事実の裏付けのない主張とファクトチェックで判断し、「Get the facts about mail-in ballots」とタグ付けして警告を発した。さらに、同じ5月にミネソタ州ミネアポリスで、アフリカ系アメリカ人の男性が警察官に首を押さえつけられて死亡する事件が起き、抗議活動が広がった。このとき、トランプ大統領がツイートした内容のうち、「略奪が始まれば(軍による)射撃も始まる」との部分が個人または集団に向けた暴力をほのめかす脅迫に当たると同社は判断し、大統領のツイッターを非表示とした。

  アメリカでは、SNS各社は通信品位法(CDA:the Communications Decency Act )230条に基づき、ユーザーの違法な投稿をそのまま掲載したとしても責任は問われない。だからといって、ヘイトスピーチなどを野放しにしておくわけにはいかないというのがSNS各社のスタンスだった。そして、トランプ氏とSNS各社の緊張関係がピークに達したのが、2021年1月だった。大統領選に敗れたトランプ氏の支持者らによるアメリカ連邦議事堂への襲撃事件。トランプ氏は暴徒を「愛国者だ」などとメッセージを投稿したことから、ツイッターやフェイスブック、グーグルなど各社は公共の安全が懸念されるとしてトランプ氏のアカウントを相次ぎ停止した。

  風向きが変わったのは、実業家イローン・マスク氏が2022年10月にツイッター社を買収してからだ。マスク氏は「言論の自由を重視する」として同年11月にトランプ氏のアカウントを復活させている。さらに、当時8000人とも言われたツイッター社のスタッフの8割をリストラした。この中には偽情報や誤情報対策を担っていたチームも含まれ、ファクトチェック部門は解体に追い込まれた。2023年にはツイッターは「X」に改名された。Xは誤情報への対策として「コミュニティノート」を導入している。登録した一部の利用者は、誤っている投稿に対して情報を追加できる仕組みだ。

  こうした流れの中で、メタ社のザッカーバーグ氏もフェイスブックやインスタグラムなどで行ってきた投稿内容のファクトチェックを廃止すると発表。まずはアメリカで止め、偽情報に対してはXと同様のコミュニティノートで対応する考えを示した。

  ファクトチェックは言論を弾圧しているわけでもなく、むしろ情報の透明性を重視するプラットフォーマーの行動規範ではなかっただろうか。今後、マスク氏が政権の中枢に入り、SNSがさらに変容していくのか。そして、ファクトチェックは死語となってしまうのか。

⇒20日(月)午後・金沢の天気   くもり

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