自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆総選挙へのシナリオ

2008年09月01日 | ⇒メディア時評
  前総理の突然の辞任のときも、そして今回も驚いた。福田康夫総理が1日夜、官邸で緊急に記者会見し、退陣する考えを表明した。8月の内閣改造後も求心力は回復せず、臨時国会の召集を控えて政権運営の継続は難しいと判断した、という。それにしても、総理が2代続けて1年足らずで辞任するのは異例の事態だ。

 辞任の理由をメディアの記事から拾うと。福田氏は「国民生活を考えた場合、態勢を整えた上で国会に臨むべきだと考えた。新しい布陣で政策実現を図っていかなければいけない」と強調し、参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」を念頭に「私が首相を続けて国会が順調にいけばいいが、私の場合には内閣支持率の問題もある」などと言及。辞任を決めた経緯に関しては8月29日の総合経済対策の取りまとめを踏まえ、「先週末に最終的に決断した」と明かした、という(日経)。

 ここで意外だったのは内閣支持率をとても気にしてたということ。最新の朝日新聞社の世論調査(8月30-31日実施・電話)の結果で、福田内閣の支持率は25%。前回調査(同1-2日)の24%に引き続き低い水準だった。むしろ福田氏が気にしたのは不支持率で55%、前回と同じだった。総合経済対策を打ち出した直後にもかかわらず、国民には響かない、しかも同じ与党の公明サイドから「バラマキ」と一部批判が出て、「与党内支持率=福田離れ」に限界を感じたのではないか。

 福田内閣の支持率は就任直後が53%(07年9月)だったが、年金記録問題をきっかけに30%前後(12月)に下落。後期高齢者医療制度が始まった今年4月に25%となり、ガソリン税を道路財源に使うための法案の再議決を受けた5月の調査では19%まで下がった。一度「19%の地獄」を経験したのだから、今回の25%はそう気にするほどでもないと言ってしまうと気の毒か。

 アメリカのブッシュ大統領も苦笑いしているだろう。森、小泉、安部、福田と4人も総理が変わったのだ。国民はどう思うだろうか。「官僚がはびこるのはよくない。霞ヶ関改革が必要だ」と政治家が言ったとしても、一国の総理がコロコロ変わると、かえって霞ヶ関の官僚にはしっかりとしてもらわなければと思うのが国民の心理だろう。実はここが日本の政治が行き詰っている点なのだ。

 ともあれ、福田氏は自民党に総裁選の実施を指示したので、今月中旬に新総裁が決まり次第、正式に内閣を総辞職する見込み。新内閣も体制を整えた段階で来春の国会明けで解散となる。しかし、新内閣でスキャンダルが出れば年末に衆院解散、1月に総選挙だろう。総選挙へのシナリオはこのどちらかだろう。

⇒1日(月)夜・金沢の天気   はれ
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