自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★能登キャンパス-上

2014年10月26日 | ⇒トピック往来
   「能登キャンパス」を掲げ、能登の地域自治体と大学が連携して4年になる。その成果として、先日開催したシンポジウムでは地域と大学の位置取り、学生たちと地域のあるべき姿、地域創生と大学の役割などが浮かび上がった内容となった。

       地域と大学 連携メリットを相互に活かす

   金沢大学と石川県、奥能登4市町(輪島、珠洲、穴水、能登)、県立大学、看護大学、星稜大学で構成する能登キャンパス構想推進協議会(会長・福森義宏金沢大学理事・副学長)は10月17、18日の両日、「地域・大学連携サミット2014㏌穴水」を開催した。協議会では、平成23年度「地域再生人材大学サミット」(輪島市)、同24年度「域学連携サミットin能登」(珠洲市)、同25年度「地域・大学連携サミット」(能登町)を開いており、今回4回目となった。学生・研究者との交流を拡大して地域再生を目指すシンポジウムで初日170人が訪れた=写真=。

  開会式では、福森会長が「大学と地域が連携することはそう簡単なことではないが、地域再生のために、地域に必要な人材を育てるために、大学と地域がどう連携していけばよいのか、大学は研究と教育の成果をどう地域に役立てればよいのか、大学と地域はいまこそ、未来の可能性に向けて、しっかりとしたパートナーシップを築き上げていかなければならない」と主催者あいさつ。続いて、石川宣雄穴水町長が「地域再生を目指した議論と同時に、能登の魅力も穴水で実感してほしい」と開催地を代表して挨拶、藤雄⼆郎 ⽯川県企画振興部⻑のあいさつ文を寺坂公佑同部課長が代読した。

  続いて、中村浩二能登キャンパス構想推進協議会幹事長(金沢大学特任教授)がシンポジウムの趣旨説明を以下行った。能登半島は、自然と伝統文化に恵まれているが、同時にきびしい過疎・高齢化にさらされている。一方、2011年に「能登の里山里海」が国連食糧農業機関から世界農業遺産(GIAHS)に認定されたこともあり、国内外の大学・研究機関から注目を集め、県内はもとより、全国、海外からの研究者や学生の来訪が増えている。能登における教育・研究交流の拡大は、来訪者と地域の双方にとって大きなメリットがあると考える。こうした状況を踏まえて、シンポジウムは「地域に学び、地域を元気にする」をテーマに、能登地域の再生に向けた学生・研究者の交流人口拡大を目指す。活動の成果や課題を明らかにしていくことで情報が共有され、各主体の横の連携を促進し、能登の活性化に向けた新たな取り組みにつなげていくことを期待する。

  基調講演で、一般社団法人MIT(長崎県対馬市)の川口幹子専務理事が「対馬で学生たちが学んでいること、そして島民はどう変わったのか」と題して講演。2011 年に総務省地域おこし協力隊として対馬市に移住し、学生と地域をつなぐ活動や、グリーンツーリズム、環境保全に関する仕事に携わっている。同市では、自然豊かな農村を「学びの場」として、地域振興を学びたい学生や研究者に提供。耕作放棄地や空き家を実習で使ってもらい、実際に移住者を獲得している。川口氏は「地域を学びの場として活用すれば人がやってくると実感した」と述べた。また、長野県 木島平村農村文明塾の総合コーディネ ーター井原満明氏は「地域の資源を活かし学生たちの 学びを創造する」と題して講演。2010 年から農村文明 の創生に向けた農村文明塾の運営に関わり、大学生と 地域の域学連携を実践している。井原氏は「若者たち の感性を研ぎ澄ますことが大切で、農村の暮らしと生業 は豊かな感性による生活技術であり、その暮らしの技術 に若者たちは感動する。また、交流は地域の感性を呼び戻す」と述べた。

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