自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★広告のメッセージ性

2017年01月05日 | ⇒メディア時評
   けさ(5日)全国紙の朝刊を広げて少々驚いた。「これ、なんの広告だ」と。2ページの見開き白黒で、向かって左面に真珠湾攻撃の写真を、もう一方に広島に落とされた原爆によってできたきのこ雲の写真を配置してある。そして、「忘却は、罪である。」「人間は過ちを犯す。しかし学ぶことができる。世界平和は、人間の宿題である」のメッセージが添えられている。最初の印象は、宗教団体の広告かとも思った。出版社の宝島社が、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、日本経済新聞、日刊ゲンダイの全国版に掲載した広告だ。

   同社は昨年1月5日付でも、全国紙に「死ぬときぐらい好きにさせてよ」を掲載した。15段カラー見開きで、女優の樹木希林さんが水面に浮かぶ様子を、イギリスの画家・ジョン・エヴァレット・ミレイの名作「オフィーリア」をモチーフに写真で表現した。ほかにも、「子孫のために、借金を残す。」(2013年)、「ヒトは本を読まねばサルである。」(2012年)など。過去の作品の多くは、数々の新聞広告賞を受賞している。1998年から、商品では伝えきれない「企業として社会に伝えたいメッセージ」を発信したいと新聞広告を掲載している。

   企業のメッセージ性としてはインパクトがある。宝島社のホームページには以下の「広告意図」が掲載されていたので、全文を紹介する。

 今回の企業広告のテーマは「世界平和」です。
 2016年は、オバマ大統領の広島訪問、
 安倍首相の真珠湾訪問が実現した歴史的な年でした。
 そして2017年。世界は大きく変動することが予想されます。
 トランプ新大統領が誕生します。
 イギリスがEU離脱交渉を本格化し、
 難民問題は各国を揺るがすでしょう。
 変わりゆく世界にあっても、
 決して変わらない、変えてはいけない人間の目標が、世界平和です。
 そのために何ができるのか、何をすべきなのか。
 この広告が、それを今一度見つめ直すきっかけとなれば幸いです

⇒5日(木)夜・金沢の天気    くもり
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