自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆粛清へと向かうのか 「プリゴジンの乱」の余波

2023年06月29日 | ⇒メディア時評

   たった一日とは言え、私兵を率いて政府軍に盾突いたプリゴンジはプーチン大統領にとっては、いわゆる「反逆者」だ。はたしてプーチン氏は彼を許すだろうか。ロシアには「チーストカ(粛清)」の歴史がある。あのソビエト連邦時代の最高指導者だったスターリン(1878-1953)は反革命や不正者を徹底的に弾圧したことで歴史上で知られる。粛清は、ある意味で敵の脅威をつくり出すことで国民を恐れさせ、団結させることにあるとされる。プーチン大統領も国民の団結の「道具」として、プリゴジンの粛清を行うのではないか、との読みもある。(※写真は、6月25日付・BBCニュースWeb版)

   たとえは適切でないかもしれないが、ロシアにはもう一つの粛清の方法がある。それは墓などをつくらず、地上に存在したことを消去することだ。第二次世界大戦で、ヒトラー率いるドイツ軍は1945 年5月 8 日に無条件降伏したが、ヒトラーは降伏前の4月30日に自決する。遺体はヒトラーの遺言によって焼却されたものの、焼け残った遺体は当時ベルリンを占領していたソ連軍によって東ドイツのマクデブルクに運ばれ、ソ連諜報機関の事務所前の舗装の下に埋められた。1970年になって、ネオナチの崇拝目的になることを怖れ、遺体を再び焼却して遺灰をエルベ川に流したとされる(Wikipedia「アドルフ・ヒトラーの死」より)。

   この粛清の方法はロシアだけではない。第二次大戦後、極東軍事裁判(東京裁判)で死刑判決を受けた元総理の東條英機ら7人のA級戦犯の遺骨もそうだった。アメリカ軍は1948年12月23日、東京・巣鴨プリズンから遺体を運び出し、横浜市内の火葬場で焼かれ、遺骨は別々の骨つぼに納められた。そして、小型の軍用機に載せられ、上空から太平洋に散骨されている。

   また、ニューヨークの同時多発テロ(2001年9月11日)の首謀者とされたオサマ・ビン・ラディンに対する斬首作戦が2011年5月2日、アメリカ軍特殊部隊によって実行された。パキスタンのイスラマバードから60㌔ほど離れた潜伏先を奇襲して殺害。DNA鑑定で本人確認がなされた後、アラビア海で待機していた空母カール・ビンソンに遺体は移され、海に水葬された。

   遺骨が遺族に返還され、墓がつくられることになれば、その墓が将来、聖地化や崇拝の地になることを想定しての処置なのだろう。「死をもって罪をあがなう」という発想ではなく、存在証明を許さないのだ。プリゴジンの処遇をめぐっての書き出だしだったが、話がずいぶんと逸れた。

⇒29日(木)夜・金沢の天気    くもり時々あめ


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