このコラムでよくBBCの記事を取り上げる。たとえば、2021年5月4日付のWeb版で「Covid: Japan town builds giant squid statue with relief money」の見出しで能登半島の「イカの町」で知られる能登町のイカのモニュメントを紹介していた=写真=。そこでブログでは、なぜ、グローバルメデアィアのBBCが能登の小さな町のモニュメントを取り上げたのかと探った。
記事は国内の新聞メディアなどが「パンデミックが収束しない中で、巨大イカに多額の資金を費やしている」と行政を批判した記事がベースだった。が、写真が大きく、モニュメントそのものに記者の目が向いたのだろう。なにしろ、欧米ではタコやイカをデビルフィッシュ(Devilfish)、「悪魔の魚」と称して忌み嫌う人も多く、話題性に富んでいる。そこに目をつけた。BBCの報道の後、フランスのAFP通信、アメリカのニューヨーク・タイムズなども追いかけるように取り上げた。
また、2020年5月にテレビ番組に出演していた女子プロレスラーがSNSで誹謗中傷を受け自死した問題を、海外メディアとしていち早く取り上げたのはBBCだった。2020年5月23日付のWeb版で、「Hana Kimura: Netflix star and Japanese wrestler dies at 22 」の見出しで 「彼女の死のニュースについて、ファンや関係者は、サイバーいじめとその精神衛生上の影響について多くの声を上げている」と論評していた。女子プロレスラーが出演する番組が動画配信サービス「ネットフリックス」で流されていたことから世界でもファンがいた。
BBCのニュースの取り上げ方で感じるのは、グローバルメディアにありがちな上から目線ではなく、視聴者の目線に徹している、ということだ。そもそも、BBCはイギリスの国営メディアで、1922年11月14日にラジオ放送を開始し、ちょうど100年になる。経営のベースは「受信料」だ。なので、視聴者に「見たいものがないので受信料を払いたくない」と言わせたくないために、報道姿勢として視聴者目線を重視しているのではないだろうか。
ただ、インターネット動画配信サービスの普及もあり、受信料制度の見直しが検討されているようだ。「BBCの受信料一律徴収の制度は2027年にも終了となる可能性がある。代わり視聴状況に応じて受信料を徴収する制度の導入などが検討されている」(6月28日付・ロイター通信Web版日本語) 。ネットの時代、放送環境はますます厳しくなっていくだろう。BBCのような視聴者目線こそ、放送メディアの生き残りのカギではないだろうか。
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