2年前の2017年7月、海上自衛隊で最大の護衛艦「かが」が金沢港に寄港したので見学した。その年の3月に就役したばかりで、艦名は「加賀」に由来するとのことで、海上自衛隊の基地以外の初の寄港地として金沢港が選ばれたということだった。一般公開の日ではなく、乗艦はできなかった。基準排水量1万9500トン、乗組員470人。全長248㍍、幅38㍍の広い甲板を有するヘリコプター空母型の護衛艦だ=写真=。甲板の前方に2機、中央に1機、後方に1機の計4機のヘリが駐機していた。
広い飛行甲板を活用して、潜水艦を探す哨戒ヘリコプター5機を同時発着させることができる。海上自衛隊の潜水艦の探知や追跡力の向上を狙ったものとされるが、具体的には、性能の向上で探知が難しくなりつつある中国潜水艦への対応を念頭に置いているといわれる。陸上自衛隊との連携も想定していて、10機のヘリが収まる格納庫には、陸上自衛隊の大型トラック50台を搭載することもできる。また、陸上自衛隊が導入した新型輸送機MV22オスプレイも発着が可能となる。
その護衛艦「かが」を、国賓として日本を訪れているトランプ大統領はきょう28日、安倍総理とともに視察する。今回の視察は安倍氏が打ち上げている「自由で開かれたインド太平洋構想(FOIP)」を具体的に見て理解してもらおうという意図でトランプ氏を誘ったようだ。インド太平洋構想はインド洋と太平洋でつないだ地域全体の経済成長をめざし、自由貿易やインフラ投資を推進する構想のこと。これは安全保障面ともリンクしていて、法の支配に基づく海洋の自由を訴え、 南シナ海で軍事拠点化づくりを進める中国を封じ込める狙いがある。昨年2018年6月、海上自衛隊、アメリカ海軍、インド海軍による共同訓練(マラバール2018)がグアム島の周辺海空域で実施している。2017年7月のマラバール2017ではインド南部チェンナイ沖で行っている。
ではなぜ「かが」なのか。「かが」は今年4月に適用された新防衛計画の大綱で空母化が決まっている。大綱には「日米同盟の一層の強化には、わが国が自らの防衛力を主体的・自主的に強化していくことが不可欠」と記されており、防衛力の強化の象徴的なアクティビティが空母化といえる。安倍氏はそこをトランプ氏に強調したいのだろう。
通商だけでなく、安全保障でも一体感を示す場としての「かが」だ。ところで、安倍氏は「かが」の意味をトランプ氏から問われたら、どのように説明するのだろうか。聞いてみたい。
⇒28日(火)朝・金沢の天気 あめ
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