先月25日から始まった聖火リレーはきょう7日、三重県四日市市をスタートし、鈴鹿サーキットや鳥羽市の離島、伊勢神宮など県内の12市町を巡る。それにしても気になるのは、新型コロナウイルスの新規感染者の拡大が関西方面で急増している。大阪府ではきょう新たに800人台後半の新規感染者が出たようだ(4月7日付・毎日放送ニュースWeb版)。きのう6日は719人の感染が確認されている。その大阪府での聖火リレーは今月13、14日の両日だが、大会組織委員会は公道でのリレーを中止し、吹田市にある万博記念公園で代替の走行をすると発表した(同)。
オリンピックに関して別の難題も持ち上がっている。時事通信Web版(4月7日付)によると、アメリカ国務省のプライス報道官は記者会見で、中国による人権侵害に懸念を示し、来年2022年2月に開催される北京冬季オリンピックについて、ボイコットの是非を同盟国や友好国と議論していく考えを示した。 オリンピックのボイコットと聞いて思い浮かぶのは1980年のモスクワオリンピックで、アメリカのカーター大統領の提唱で旧ソ連によるアフガニスタン侵攻に抗議して日本を含め50ヵ国余りがボイコットした。それにしても、プライス報道官の記者会見でのコメントは絶妙なタイミングだ。
今月15日、菅総理はアメリカ訪問に向けて出発し、16日にバイデン大統領と首脳会談を予定している。おそらく主要議題として、中国による台湾侵攻の可能性の分析や、有事に際してアメリカと日本はどう対応すべきか率直に意見交換することになるだろう。それと、今回の北京冬季オリンピックのボイコットについての論議がセットになるのではないだろうか。むしろ、バイデン氏はセットにしたいが故にあえてこの今回この報道官コメントを通じて問題提起をしたのかもしれない。
バイデン政権による中国の人権弾圧に関する対応は強硬だ。アメリカの国務省の報道官は、中国がウイグル人に対して「ジェノサイド(大量虐殺)」を行っていると認め、この点においては前政権と現政権の見解は一致していると繰り返し述べている(2021年2月5日付・AFP通信Web版日本語)。
ただ、日米首脳会談に臨む菅総理の心中は穏やかではないだろう。何しろ、アメリカの同盟国としてボイコットに同調すれば、中国は趣意返しとして3ヵ月後の東京オリンピックのボイコットを切り出すことは想像に難くない。さらに、中国は息のかかったアフリカの諸国に東京オリンピックのボイコット圧力をかけてくるだろう。そうした状況が見えてくるだけに、菅氏とすれば北京オリンピックのボイコット案件は東京オリンピック後に回答したいとバイデン氏に伝え、その場をしのぐのではないか。
有名な言葉「オリンピックは参加することに意義ある」(元IOC会長・クーベルタン)はもう過去の話なのだろうか。オリンピックの政治利用という真逆の方向に世界は動き出している。
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