自在コラム

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☆能登半島地震 地域再生は可能か~6 被害判定で困惑も

2024年03月30日 | ⇒ドキュメント回廊

  地震の住宅被害を自治体が判定する罹災証明書をめぐり、輪島市など6市町で、1次調査判定を不服とした2次調査の申請(今月19日現在)が8236件に上り、1次調査件数の1割におよんでいることが共同通信の集計で分かった(26日付・共同通信ニュースWeb版)。判定結果により公的支援に差が出るため、2次調査での精査を求めるケースが相次いでいる。証明書は支援金受給や税の減免手続きに必要で、発行が遅れれば、被災住民の生活再建に影響する(同)。

  罹災証明書の発行に当たり、それぞれの自治体は損害割合に応じて「全壊」(損傷割合50%以上)、「大規模半壊」(同40%台)、「中規模半壊」(同30%台)、「半壊」(20%台)、「準半壊」(同10%台)、「一部損壊」(10%未満)の6分類で判定している。外観から判定する1次調査に納得がいかない場合は、被災者の立ち会いのもとで、建物の中に入って確認する2次調査を申請できる。ただ、2次調査は建物内を詳しく調べるため、より時間がかかるとされる。(※倒壊した輪島市の家屋=2月5日撮影)

  1次調査に不服が出る背景には、政府の生活再建支援金に大きな差があるからだろう。全壊の場合の支援金は300万円、大規模半壊は250万円、中規模半壊は100万円だが、半壊以下は支給の対象外となる。実際に能登の現場で聞いた話だ。一部損壊との判定だったが、雨の日には家の中で雨漏りがして、住める状態ではない。屋根の修繕を見積もってもらったところ、240万円だった。しかも修繕は順番待ちで、いつ作業が行われるかは予定が立たない。結局、親族から紹介された金沢のアパ-トで暮らしている。一部損壊なので応急修繕費(半壊以上で上限70万6000円、準半壊で上限34万3000円)も出ない。

  外観を調べただけで住宅の損害の程度をランク付けできるものなのだろうか。2007年3月25日の能登半島地震(最大深度6強)で、輪島市門前町の被災家屋で片付けのボランティア活動をした。このとき、外見上は被害がないように見えたが、実際中に入ると、2階への階段が壊れるなど住める状態ではなかった。数年後にその家の前を通ると建て替えられていた。

  経験を積んでノウハウを有する自治体職員ならば内部も推察できるだろうが、応援派遣で初めて認定調査に当たった自治体職員もいただろう。1次調査の判定は生活再建にかかわるだけに、被災者にとって切実だ。建築士の支援を得るなどプロ目線での調査が必要ではないだろうか。

⇒30日(土)夜・金沢の天気     はれ


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