震度7を記録した能登半島の西端の志賀町香能(かのう)地区は小高い山の中にある=写真・上=。周囲にはレストランや牧場もあり、民家も点在している。外見を見る限り、建物の倒壊や屋根のめくれなどの被害もなく、道路などでの地割れも見られなかった。むしろ、香能から5㌔ほど離れ、震度6弱の揺れに見舞われた富来領家(とぎりょうけ)地区の方が被害は甚大と感じた=写真・中=。海沿いの平地で家並みが続く。両地点のこの違いは地盤の固さによるものなのか。富来領家地区のすぐそばには富来川が流れていて、地盤が柔らかかったことが被害拡大の要因なのだろうか。
その富来領家地区では、仮設住宅の建設が進んでいた=写真・下=。いわゆる「トレーラーハウス」で、説明書を見ると、高さ4㍍、幅11㍍、奥行き3.4㍍、広さ37平方㍍の1LDKだ。浴室やトイレのほか、キッチンやエアコンも備え付けられている。水道などが整えば、早ければ今月下旬ごろ入居が可能になるようだ。
志賀町ではトレーラーハウス22戸に加えて、プレハブ住宅77戸の準備が進んでいる。でも、まだまだ足りない。何しろ石川県のまとめ(2月1日付)では、志賀町での全壊・半壊・一部損傷の住宅は4749棟になる。そして、石川県全体では4万7904棟にも及ぶ。これに対し、馳県知事は先月23日の記者会見で、被災者向けの仮設住宅を3000戸、賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設住宅」を3800戸、県内の公営住宅800戸、県外(富山、愛知両県や大阪府など)の公営住宅8000戸の計1万5600戸を3月末までに確保すると発表している。
ただ、現実問題がある。震度6強の揺れに見舞われた輪島市や珠洲市の全域など、県内の4万490戸(今月1日付・県発表)でいまだに断水状態が続いている。仮設住宅の建設が進んだとしても、水道というライフラインが追いつくのかどうか。自宅が倒壊を免れた人でも風呂に入れず、トイレも流せない状態で、避難所から住まいに戻る妨げになっている現状がある。
先日の馳知事の発言に違和感を感じた。BSフジ『プライムニュース』(2月2日)で、リモート出演した馳知事が、「大阪万博、ぜひやっていただきたいと思っております。それも身の丈に合ったカタチでやっていただきたい」と話していた。この発言に司会の反町キャスターもエッという表情を浮かべていたが、自身も同じだった。万博会場の建設と能登地震の復旧は今後、同時進行で進むことなる。そこで、当該の責任者である知事の言葉とすれば、「能登地震の復旧を最優先でお願いしたい」を冒頭に持ってくるべきだろう。震度7の地を訪れて感じたことだ。
⇒5日(月)夜・金沢の天気 くもり
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