誰がどう見ても、常識的に考えても、この2つの行為はおかしい。北朝鮮によるミサイル発射と、日本が主張する排他的経済水域(EEZ)での韓国の一方的な海洋調査のことである。きょう帰途のバスの中で、私の前の席に座っていた会社員らしき2人の男が交わしていた会話の中で、「南北(韓国と北朝鮮)共同の宣戦布告みたいなもんやろ」という言葉もあった。こうした「車内の声」は意外と世論なのである。
この2つの行為が連動していないにしても、また意図がどうであろうと韓国が北朝鮮と同等だとみなされたことは韓国にとって大きなダメージだろう。先にこの「自在コラム」で韓国の土地バブルが崩壊寸前だと書いた。この動向はすでに日韓の懸案になっていて、ことし2月の日韓財務長官会議で、韓国に通貨危機が発生すれば日本が100億㌦を、日本に危機が生じれば韓国が50億㌦を支援することに合意している。 支援は、通貨危機にある相手国の通貨をドルに換える形式(通貨スワップ)で行われる。双方の危機に対応するというかたちをとっているが、実質的に韓国のデフォルト(破綻)に対する救済策なのである。しかし、今回の北朝鮮によるミサイル発射を受け、政府が新たな制裁措置を行う過程で南北の2つの行為が連動していたものとなれば、この100億㌦の合意は当然、ご破算だろう。
しかも、北朝鮮はきょう5日未明の午前3時から8時かけての6発で国際世論が沸き立ったにもかかわらず、夕方午後5時20分にも中距離ミサイル1発を追加で発射している。国連安保理が日本時間の午後11時から緊急会合を開くと決めた以降もこうしてミサイルを発射し続けているのである。天を仰いで唾(つば)するとはこのことだろう。
北朝鮮が巧妙だったは、アメリカの最大の祝祭日である独立記念日に「派手な花火」を打ち上げたことだ。 アメリカ時間の4日午後2時38分、フロリダのケープカナベラル基地から7人のクルーを載せた宇宙船「ディスカバリー号」が飛び立った。北朝鮮の最初のミサイル発射はアメリカ時間で午後2時32分だった。つまり、北朝鮮はディスカバリー号打ち上げ6分前に最初のミサイルを発射したのだ。これは意図的なものか、偶然か。アメリカがショックを受けているのはこの事実なのである。
それにしても滑稽なことがある。このタイミングで共同通信など日本のマスメディアが北朝鮮を訪れている。きょう5日、横田めぐみさんら拉致被害者が一時居住していたとされる平壌市郊外の2カ所の招待所や、めぐみさんの「遺骨」を焼いたとする火葬場を見学した。真実が語られることのない北朝鮮で何を見ても聞いても果たして取材に値するのだろうか。北朝鮮がお膳立てした現場で撮ったものを、これがめぐみさんを焼いた火葬場の写真であると掲載しても、日本の読者は信じるだろうか。「さっさと戻って来い」。私ならそのひと言である。
⇒5日(水)夜・金沢の天気 あめ
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