きのう閉会した東京オリンピックのことを海外メディアはどのように評価しているのだろうか。イギリスBBCのスポーツ編集長は「Tokyo Olympics : Sporting drama amid a state of emergency but how will Games be remembered?」との見出しで記事を書いている。印象の深いのは最後の下りだ。「パンデミックという事態であっても、オリンピックを否定することはできなかった。そのことに安堵した人も、失望した人もいたはずだ。そして、東京オリンピックの開催が正しかったのかどうかは、今後ずっと議論されていくだろう。しかし、不安に満ちた時代でも、スポーツ選手はこれまでと同じように、その元気な姿で我々を励ましてくれる存在であり続けた。それだけは確かなことではないだろうか」
17日間、自身がテレビでオリンピック競技を視聴して、印象に残っているのは、番組での解説やコメントなどスタジオのバックで流れていた、桑田佳祐の『波乗りジョニー』だった。もともと、テレビCMに流れる、日本の夏を象徴する曲だった。夏のテーマソングがそのままオリンピックのテーマソングのようになり、盛り上げてくれた。
逆説的な意味でオリンピックを盛り上げてくれたのは韓国選手団だったのかもしれない。選手団は選手村入りすると、さっそくにバルコニーに掲げた横断幕だった。豊臣秀吉の朝鮮出兵に抗した李舜臣将軍の言葉にちなんだと連想させる、「臣にはまだ5000万国民の応援と支持が残っています」とハングルで書かれていた。IOCは政治的宣伝と勧告し、横断幕は7月17日に撤去された。
さらに韓国選手団は、選手村の食材は放射能で汚染されている可能性があるとし、独自に給食センターを設置して選手らに配給した。選手村の食材の一部が福島県から調達されたものであったことから、「放射能フリー弁当」を自国で調達すると、「復興五輪」のネガティブキャンペーンを展開した。
世界から批判されたのは、7月23日の開会式を生中継した韓国のテレビ局だった。MBCは、ハイチの選手団が入場した際のテロップで「大統領の暗殺によって政局は霧の中」と、マーシャル諸島を選手団を紹介するテロップには「アメリカのかつての核実験場」と、ウクライナの選手が入場する際にはチェルノブイリ原発事故の画像が使われた。不適切放送として批判を浴びた(7月26日付・CNNニュースWeb版日本語)。
メダル以外に大会をいろいろと盛り上げてくれた選手もいる。男子テニスのダニール・メドベージェフ選手(ロシア五輪委員会)は7月28日、東京の暑さの中で「オリンピックの試合中に暑さで死亡した場合、いったい誰が責任を取るのか」と審判に問いただした。世界2位ランクの選手のひと言で、国際テニス連盟は暑さ対策として、29日の第1試合の開始時間を当初予定していた午前11時からを午後3時に変更した。その29日の準々決勝で、メドベージェフ選手はスペインの選手にストレ-ト負けを喫した。ラケットを破壊し、無観客のスタンドに放り投げた(7月29日付・AFP通信Web版日本語)。何かと話題の多い選手だった。
オリンピックを多様に盛り上げてくれた人たちだった。「そして笑って もう一度 せつない胸に波音が打ちよせる」。2024年のパリオリンピックもぜひ盛り上がってほしい。
(※写真は8日の東京オリンピック閉会式で映し出された2024年のパリ五輪の映像=NHKテレビ)
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