2月末、仕事で「スマートエネルギーWeek」という展示会(@東京ビッグサイト)に行ってきて、
その中の[国際]水素・燃料電池展会場で展示されていた燃料電池車(FCV)をチラ見してきました。
国内の石油・ガス関連会社や自動車メーカーなど十数社が参画している水素供給・利用技術研究組合
HySUTがFCVの試乗車も用意していたようですが、残念ながら時間が無くて、走っているFCVまでは
見ることができませんでした。
展示エリアでは来年~再来年に市販化を目指すトヨタ、ホンダ、日産の3社がHySUTブースにて出展。
それらのうち、日産の展示品はX-TRAILベースの車体の一部をカットして内部が見えるようにした
モックアップ品で、水素タンクやリチウムイオン二次電池の大きさや配置がよく分かるものでした。
で、入手した各社FCVのカタログがこちら↓
FCVは既に語り尽くされているとおり水素と酸素が燃料(動力源)で、走行中に排出されるのは水のみ
ということから「究極のエコカー」と言われてますが、その原理をちょっとおさらいしてみました。
簡単には、水素分子(H2)と酸素分子(O2)が化学反応して水分子(H2O)ができる過程で水素がイオン化する
際に放出される電子を基にして得る電気エネルギーを利用して走るのがFCVということのようです。
電気自動車の1種とも言えそうですが、現行の電気自動車(EV)は動力源がバッテリー(蓄電)だけであり、
外部からの充電が必須になる一方、FCVは電気エネルギーを生む仕組みを最初から搭載しているため、
基本的に充電不要である代りに電気エネルギーを得るための燃料(水素と酸素)が必要と理解しました。
酸素は大気中から取り込んで賄えるからいいとして、問題は水素ということになるわけですが、
走行で生成した水から水素を再生させる仕組みをクルマに搭載するのは現実的ではないようなので、
ある程度の大きさの車載タンクに燃料としての水素ガスを圧縮して積む必要があるんだそうです。
でも水素には爆発性があり、車載タンクに充填した際の圧力は350気圧または700気圧を想定していて、
これは相当な高圧でもありますから、安全性はどうなのかが一番気になるところですね。
事故発生時はもちろん、水素をクルマに充填する際にもガス漏れが発生したら大変です。
水素ガスには色も臭いもなく、漏れの検知が難しいガスの一つと言われてます。
ガソリンも可燃性があって危険ですが、それ以上に注意を要する燃料と思われます。
正しい取扱い方をすれば大丈夫と言う人もいますが、その前提が崩れれば危険なことは確かなので、
予期せぬアクシデントにも対応できる二重三重の安全対策を施す必要があると思います。
ところで、その燃料(高圧水素ガス)の価格がいくらぐらいになるのかも気になりますね。
「水素ステーション」と称する燃料補給施設は現行のガソリンスタンドと比べると
建設費が5~6倍以上になると見込まれていて、水素ガスの製造コストも含めると
FCVのランニングコスト(主に燃料代)はかなり高くつくものと予想されます。
ではFCVのクルマ自体の価格はどうかというと、2015年に市場導入予定の市販車でやっと1000万円を
切る程度の価格設定になると予想されています。庶民にとってはまず手が出せないレベルであり、
当面はイニシャルコストでもHVやEVと比べて随分とお高いシロモノになるのは必至でしょう。
生産コストを押し上げているのは水素と酸素の化学反応を起こさせる電極に必要なプラチナらしいです。
これはレアメタルですから致し方ないのですが、FCVの量産化に伴い希少資源がさらに無くなっていき、
原料価格がどんどん高くなっていくようなことはないものかと心配してしまいます。
今後、あらゆる面でコスト低減につながるブレイクスルー技術が出てくることに期待したいですね。
究極のエコカーの展示もあるんですねェ。
水素・燃料電池車の本物は昨年の春にトヨタFCV(クルーガー版)を見ました。
まもなく登場しそうな感じですがお値段とインフラの整備が追い付いてない状況ですよ。
電気自動車の普及もこれがネックなんんでしょうねェ。
FCVはコスト高の水素ステーションを作らなければならない点からして前途多難ですね。
インフラ整備コストがFCVより低いと思われるEVさえも普及が進んでないですし・・・
自分が生きているうちにマイカーとして購入することはまず無いような気がしてます。