薄い茶色とクリーム色と 2012年01月17日 22時46分50秒 | 光と空間 鉄格子の奥に、クリーム色の段々。 薄い茶色とクリーム色は、それぞれに正確なリズムを刻み、それぞれの角度で交錯する。ややぬるんでオレンジ色を増した冬をまとって たたずむ。冬は、しっとりと、朝露のように柔らかい。
世界を空に返す 2012年01月09日 22時04分21秒 | 光と空間 脂肪の塊のようにこわばった一面の雲はいつしか切れ、すっかり溶けた紅花色のバターに乗って、ゆっくりと空を滑っていた。 夕刻。 踊る木々も、あらゆるものを拒む有刺鉄線も、みな等しく厚みを消して黒い影になる。 世界を空に返す。 世界はきっと、今朝、頭上の白い絹幕から染み出してきた。 白い絹幕は、目の前にあって逃げはしないのに、いくら手を伸ばしても、指先が吸い込まれるだけで届かない。 やがて、やわらかな白い絹幕に甘い露のにじみが広がった。世界が音もなく染み出して降りそそいだ。 その世界を、今、空に返す。
空は淡い灰色を帯びます 2011年08月28日 22時57分40秒 | 光と空間 町の向こうから日が昇り始める頃、空は淡い灰色を帯びます。 青かった空は、赤くなる前に、白くなる前に、静かな灰色に染まります。 日が町の向こうに沈み終わる頃、空は淡い灰色を帯びます。 青かった空は、赤くなる前に、白くなる前に、静かな灰色に染まります。 写生の時間に、絵の具にまみれた絵筆を洗いに洗って真っ黒に濁った水で真新しい青色を溶いてしまったような、そんな空の色。 それが空の色。空は、決してその色が悲しいわけではありません。
無機質な世界の緑 2010年06月10日 18時05分01秒 | 光と空間 回廊が弧を描き、直線的なエスカレーターや円い柱と交錯する吹き抜け。 吹き抜けを見るとぞくぞくする、吹き抜けフェチであります。 吹き抜けの一番下の階には、背の高い木が植わっています。人の背より高い木です。無機質な世界の中にぽつんと立つ緑。