昭和55年。自宅から2km離れた場所に、狭いながら「畑を作りたい」と土地を手に入れた両親。
家を建てるでもなく、毎年春から秋まで、仕事前の早朝に夫婦で出かけては、家庭菜園を楽しんでいた。
平成28年、父が逝去し、母はわずかな年金から固定資産税を支払うことが辛くなってきた。
十数年前から売りに出しているにも関わらず、場所が悪いのか、買い手からの打診もいっさいなかった物件だった。
毎年、固定資産税のみが重くのしかかる。
一人娘の私とて、早くに一人身になり 生活するにアップアップ状態だが、子供たちが成人した後、今も決して裕福な生活ではないが、母の精神負担を減らしたくて、毎月わずかずつだが助けになればと母に渡していた。
昨夜、”決まりをつける時が来た” と直感した。
数年前に「何があった時のために渡しておく」と母から預かった土地登記書。
それを持ち、当時お世話になった不動産屋さんに相談に行った。
司法書士事務所を紹介していただき、即日 訪れる。
てきぱきとコトを進め、書類を作成してくださる司法書士先生。
父が逝去した際に余分に取り置きしておいた書類のコピーが、今回とても役に立った。
戸籍謄本や印鑑証明、住民票など。
モノによっては 三か月以内のものでなければならないものもあり、それらは役場住民課へもらいにいった。
現在は存在しない父からは 相続、病床にいる母からは 贈与 という形で 土地を譲り受ける。
名義が 私になった時点で、”両親が懸念していた 『土地を手放したい』” を実現したい。
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亡くなった父にとっても、現在 病床にいる母にとっても
モノを持っていることにより生まれる 余計な出費(時間やお金や気遣いや不安・心配)を ひとつでもなくしたいという思いがひしひしと伝わってくる。
元気なうちはいいが、病気などで自分が動けなくなったあとに、自分が手に入れたあとに付随してくる様々な負の要素が 子や孫にかかってくることを懸念していた。
自分も年を重ねて来たな、と実感している。それらの気持ちが手に取るようにわかる。
病床にいる母の「心残りをひとつでもなくしていきたい」を、できるかぎり早く 現実化してあげたい。
週明け月曜日、司法書士の先生により 書類が送られる。