がんぼのぶらり紀行

北海道オホーツク遠軽で、昭和時代のお茶の間みたいな食堂 やってる おばちゃんです。

長い一日

2011年10月07日 23時29分22秒 | 徒然

枕元の携帯が鳴った。

寝ぼけた目で携帯画面を凝視する。 誰からか確認すると、母。

こんな時間に?

こちらからかけ直したが、母は携帯に出なかった。

嫌な予感がした。

 

時刻は午前2時半過ぎ。

時間を確認した直後に大サイレンが鳴った。 それも大きく、長い!

背筋が寒くなった。 まさか!

 

ベッドを飛び出し、玄関のカーテンを開け店の方向を見る。

大きな煙が立ち上っていた。 下の方は赤くなっている。 火事!!

 

「起きて! 店の方が火事!」 (というようなことを言ったと思う) 息子に叫んだ。

「何!?」

「店が燃えてるのかもしれない。ばあちゃん、電話に出ない! お姉起こしてくる!」

二階へ駆け上がりながら大声で怒鳴る。

「お姉!起きて。店が火事かも!」

「んあ?」

 

寝ぼけたような声だったが、再び繰り返すと娘も飛び起きた。

 

階段を降り、まずトイレへ走りこんだ。 こんな時にと思われるかもしれないが、正直なところ先が見えない。 いつものように [事が起こる前にはまずトイレ] へ行っておくべきだと思った。

落ち着け。 何を持てばいい。 落ち着け。 慌てるな。

 

トイレを出て、まず身じまいだ。 時刻は午前3時。 寒いはず。

手近にあった長袖セーターを頭からかぶり、ジャケットを引っかけた。

 

そして考えた。 もし店が火事で両親が無事に外へ逃げているとすれば、両親は起き抜けの着の身着のままのはずだ。

 

トイレを飛び出し寝室に戻ると、着れそうな服を3つ4つ、押し入れクローゼットからハンガーごと引っ張り落とし片手に抱えて次の事を考える。 

「いい?! 行くよ!!」

携帯電話、忘れずに。 子供たちにも確認。 それから・・ うちのガス。 ちゃんと消えてるか。 それから・・ それから・・なんだっけ。

息子が 「コスモちゃんで行くぞ!」 家の横にはつい2日前に営業用にと本社から預かった軽自動車を止めてあった。

そうだ、え~と。 鍵。 鍵をちゃんと閉めていかないと。 猫どもが脱走する。

 

息子がエンジンをかけている間に娘と私が乗り込む。

急いで!

 

 

実家が燃えていようとも信号無視はできない。 無情にも信号は赤。 そして次の信号もまた赤。

なぜこんなときに!

「行け! 行って!」 「いや、それはできない!」 そうだろなぁ・・

 

自宅から店へは車で約5分程度。

 

息子に車を任せ、私と娘は一番近い交差点で車から降り、店へ走った。

 

きな臭い。

お願い! 無事でいて!!

 

 

店へ向かって曲がろうとした瞬間、友人のS氏が目に飛び込んだ。

リアルで見かけるのは久しぶりだったが、今はごめん! 声をかけてる時間も惜しい!

 

すり抜けざま、腕をポンと叩いて (もっと強かったかも。ごめんね。S氏) そのまま曲がる。

 

店が目に飛び込んだ。 後方から真っ赤な炎が大きくものすごい勢いで噴出しており、今にも店の壁は炎になめられそうだ。

火の勢いを見て覚悟した。 消火は無理だ。 店は燃える。

息子の携帯で撮った写真

 

燃えている家と、実家は棟続き。物置兼用の通路でつながっており、建物どうしはわずか2間(3.6M)ほどの距離。

 

消防さんたちが必死の作業で何とか火の勢いを収めてくれたが、私たちが到着時、大きな炎が噴出していたのは写真中央の窓だった。 その時には、右手前の建物~私の実家・食堂~の外壁を、炎がなめていた。

 

燃える室内で、パァン! パン!  と、3度鋭い音がして何かが爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

両親を探した。 父は、母はどこ? どこにいる?


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