木こりの郷秋<Gauche>

 昨日の夕方、我が家の辺りを、強い風を伴った雷雨が襲ったらしい。「らしい」というのは、私の帰宅以前のことなので、どの程度の風や雷雨だったのかは定かではないという意味だが、隣家との間に植えてあった、樹高3m程にもなっていたスカイロケット(コニファー)3本の内の2本をなぎ倒すには十分な風が吹いたことは間違いないらしい。

 8時過ぎに帰宅し、306を入れるために、駐車スペースの手前に停めてあったAstra Wagonを奥に入れよと4、5メートルバックしたところで慌ててブレーキを踏んだ。バックするクルマの行く手を、2本のスカイロケットが塞いでいたのである。

 ここに引越してきた9年ほど前に植た1mにも満たなかったブルーロケットは、8年程の間にあれあれよと大きくなり、最終樹高の一歩手前程の大きさになっていたのだった。駐車スペースのためにコンクリートを打ってタイルを張った場所と、隣家との境のコンクリートの擁壁との間の30cm程のスペースで、どうしてこんなに大きく、と思うほどに育っていたのだか、その見た目の姿を支えるだけの十分な根を張らす事はできていなかったのだろ。

 せめてもの幸いは、隣家側にではなく、我が家の建物側に倒れたことと、いつもはその場所に停まっているはずのAstraが、昨日に限って通り寄りの場所に停めてあったために、2本のスカイロケットの直撃を免れたことである。

 今朝、5時に起きて、何度か元通りに起こす事が出来ないかしばらく試してみたけれど、起こすことは出来てもまたすぐに倒れてしまう。元々、駐車スペースと隣家との狭いスペースに植えてあっただけに、添え木を立てることも出来ないことから、止む無く切り倒すことにした。

 天を突く、ロケットのように綺麗な形に伸びた枝を落とすのは辛かった。根元では10cm程にもなった幹を鋸で切るのは何とも悲しかった。小一時間程をかけて2本のスカイロケットを取り払うと、昨日の朝までは2本の木が立っていたその場はぽっかりと穴が開き、清々したようでもあり物足りないようでもある、何とも不思議に落ち着かない空間となっていた。

二日目の今日は、森の畑で咲き乱れる鬼百合(おにゆり)。
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