米の花

 「米の花」とは、まったく正しくない。正確には稲(いね)の花である。稲の実の外皮つまり籾殻を取り除いたものが米。この状態のものを玄米と云い、このままだと炊いても美味しくないので精米してから食べるのが普通である。

 しかし米は不思議だ。先に花と書いたけれど花弁が無いから花のようには見えない。籾殻の裂け目から蘂だけを外に出している。花が咲いたあとに実が生りその中に種があるのが普通の植物のように思うのだが、稲の実には「実」らしいものが無く、我々が食べているのは多分、種なんだと思う。

 林檎の木に生るのはリンゴで、葡萄の木にはブドウが生る。胡瓜にはキュウリが生り、茄子にはナスが生る。でも、稲に生るのは米であり、稲の実と云う言い方は余り聞かない。稲の実が米と呼ばれるのは、英語でCow(牛)の肉がBeef(牛肉)と呼ばれ、Pig(豚)の肉がPork(豚肉)と呼ばれるのと似ていて、命名の考え方が日本語的じゃないように思える。


 今日の一枚は、稲(いね)の花。田植えから2ヶ月半で花が咲き、もうひと月もすると稲刈りである。稲の生長は本当に早い。
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